4 ステーキとご一緒に
俺とノルンは、憩い亭という名前の宿で泊まることにした
早速中に入る
「いらっしゃいませぇー、お泊まりですかー?それともご飯ですかー?」
なんとものほほんとした口調である
「宿泊をお願いしたいが大丈夫ですか?」
「はぁーい、大丈夫ですよぉー、何泊されますかぁー?」
「とりあえず十日間お願いしたいのですが」
「はぁーい、2名様で銀貨十枚になります」
俺はお金を出した
「 ではこちら鍵になりまぁーす
お風呂とトイレは一階にありますのでよろしけ
ればご利用くださぁーい」
俺たちは二人分の十日間の宿代を払った後、部屋に向かった
中に入ると、部屋の中は基本的にはすっきりした感じだった
必要最低限のものしかない感じ
でもまたそれがいい、シンプルイズベスト
ベットは、うーんふかふかではないけどまぁ許容範囲内か、
ぎゅるるるー
「ごしゅじん、はら、なった」
そう言えばもうこんな時間かー
「よし、下で食べに行こっかー」
「わふっ!」
ノルンは嬉しそうな顔をした
「あ、さっきのひとー、ごはん? 何食べるぅー?」
「どうしようかなーーー、、、」
俺が悩んでるいる時ノルンは周りのテーブルをキョロキョロ見ていた
「ごしゅじん、ノルン、あれ、のむ」
ノルンが顔をキラキラさせて指差していたのは冒険者の酒だった
「ノルンにはまだ早いよ」
「ガーーーーーーーーーン、、、」
ノルンは膝から崩れ落ちた
さっきノルンが指差していた冒険者のテーブルを見てみるとステーキっぽいものがあった
「あのステーキ?を二つもらえますか??」
「オーク肉のステーキですねー、かしこまりましたー」
あれ、オークだったのか
しばらくしてステーキが運ばれてきた
ん、美味しそうだな、それじゃあ
「いただきます」
俺は一口食べて味を見てみた
...ノルンはガツガツ食べ進めていたけど
うーん、なんか味たりないなー、肉だけの味で塩こしょう、もちろんソースなんか使ってないからかなー?
俺の料理スキルでソースってできるのかな
試しに収納から水を少量取り出してソースをイメージしてみた
「調理!」
ポンっと出てきたのはデミグラスソースだった
これに肉を絡ませて食べてみる
「・・・」
革命が起こった
なんだこのデミグラスソースの深いコクはーーーーー!
それがオーク肉にとんでもなく合っている
まずい、手が止まらない
そんな俺を不思議そうに見るノルン
「ごしゅじん、それ、ちみたい、たべる、だめ」
どうやらデミグラスソースがノルンには血に見えたようだ
「一口食べてごらん?」
「うー、じゃあ、ちょっと、ほんの、ちょっと」
気づけばノルンはもう半分ほど食べてしまっていた
ノルンは本当にほんのちょっとだけを切り、デミグラスソースにつけて食べた
ぱくっ
もぐもぐもぐもぐ
「・・・・・・」
すると垂れていたノルンの耳が急にピンっと元気に立ち、全身の毛が逆立つようだった
「これ、ぜっぴん、ち、ちがう」
「これはデミグラスソースといってお肉に合う魔法のソースなんだよ」
ノルンは自分のステーキを続々と俺のデミグラスソースにつけて行儀悪く食べていた
そんなに急いで食べんでも、、、
とうとう口の周りはべっとりソースまみれになったノルンのナイフは空振りした
無意識のうちにすべて食べてしまったようだ
「ぅぅーーーーー」
そんな悲しそうな顔して悲しい声出すなよ、、、
すると突然目がきらーんと光り、俺の皿に注がれた
「おなか、いっぱい? しょうがない、たべてあげる、もったいないから」
なんともガキ大将の考えだ
「残念だけどお腹いっぱいじゃないんだなー、これは俺がきっちり食べるから大丈夫だよ」
なんかもうノルンが泣きそうな顔をした、可愛い
俺はSなのかもしれない
「ん、なんだ、それは」
冒険者らしき人から疑問を投げかけられた
「よろしければそのお肉にこちらをつけてみてはいかがですか?」
「オーク肉のステーキにか?合うのか?」
「はい、とても合うと思いますよ」
冒険者は何の迷いもなくステーキをデミグラスにつけた
さすが冒険者、決断が早い
「なんだこれは!めちゃくちゃうめぇぞ、俺たちは今まで何を食ってたんだ!」
「よろしければこちらの方のパーティーの皆さんもどうですか?」
俺はこれを広めるチャンスとばかりに誘ってみる
案の定みんな同じ反応をした
これは売れるかもしれないなー
この世界には味を際立たせるものがないのかー
俺のスキルレベルはチート並だから水からでもソースが作れそうだ
少し試して見る価値はあるかもしれない
耳が垂れ下がり、失望した顔をし、しょげたノルンの横でそう考える俺であった
お読みいただきありがとうございました
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