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  作者: 平丸
3/80

3話


『ハァ...』


あれから一夜をお兄さんと供に過ごしたのだが心身ともにダメージが深かかった。


その理由はお兄さんにボコボコにされ続け全く寝られなかった為と言うのもあるが其れよりも、痛みを代償にして更に手に入った情報が俺の目的からすると致命的だったのだ。



彼女は、男が怖いらしい。


言葉にすればたったそれだけなのだが理由を知れば中々に重い話で踏み入っていいものなのかとランドは、悩まされてしまう。




彼女は昔、父親の仕事柄想像が簡単につく話しなのだが仕事のトラブルで首になった元部下たちの集団に

誘拐されたそうだ。


幸い慰み者などにはならなかったがその時に誘拐犯の

男達に浅くは無い傷を負わされてから男性へ恐怖を感じるようになったみたいで最終的に恐怖の対象が男性だけで終わらず女性にまで広がり重度では無いが人間不信になってしまったらしい。



この話を聞いてから俺の初めての標的である彼女の

難易度も生い立ちもかなりハードである事に気が付いてしまい流石に厳しいよなぁ、男が怖い相手に話し掛けるのも可哀想だし諦めようかなどと思い始め一瞬断念しかけていたが重要な事を思い出した。


コレもし諦めたら奴隷としてどっかに売られるくね?と


ヤバイよ もはや、彼女作らないと家で

ダラダラして暮らせないとかってアホな事言ってる状況じゃないわ!


どうした物かなどと初めは思っていたがそんな事を言ってる場合じゃないと気づいた俺は早速行動を始めた


俺はこの奴隷生活を六日過ごし自分から行動しなければ中々前へは進まないことに最近気づいたのだ。


流石俺!かっこいい、惚れるね‼︎などと内心思いながら商人達が俺の方を注目して来るがそんな事は気にせず彼女が座っている場所を目指して俺は堂々と猛々しくも一歩一歩踏み締める様に歩きこの歩は俺の成長を表している様だ…などと思いながら彼女の所にたどり着いた。


彼女は俺の顔を見て顔を顰められたがそんな事は気にせず、俺は数回、深呼吸をして息を整えて話し掛けた。




『ァアっあ、あの元気ですか?』


『えっ?』


また吃ってしまった。

彼女もこの人何言ってんだろうって思ってるかも知れないがそんな事は関係ない、まだ目的は達成してない

ので話をつづけることにした。


『……………』


しまった勢いだけで来たから何も考えてないや。


『…………』


『………………』


『………………………………………………』



『お前、何でこっち来てんだよ‼︎』



彼女とただ見つめ続けることしか出来なかった俺の背後にお兄さんが怒鳴りながらやって来て昨日の夜に自慢された棍棒【罪の報い】の一振りで気付けば場所の外に吹っ飛ばされて馬車から数十メートルは離されていた。


確かに誰かこの空気なんとかしてって思ったけどさぁ

お兄さんの暴力オチはそろそろやめにしてもらえませんかねぇ。


お兄さんを毒付きながらも感謝して立ち上がろうとしたがどうしてか力が入らない。


いや、力は一瞬入るのだがすぐに体が抜けて行くといのが正しいのかも知れない。


お兄さんのもっていた棍棒の嘘だろうと思わせるやばそうな話をよく聞かされていたけどそよ内の一つの効果が本当にあったのかもしれない、確かその効果は…


「肉体と精神の位相をずらす事が出来る」


だったと思うけど俺もしかしたら魂少しだけ抜けてる状態なの⁉︎


マズイ、マズイマズイっ..

頭の中は狂乱していると言っていいのに、身体は一切と言っていいほどに反応がなくて心臓の鼓動さえも薄れていっている気さえさせられる。


そして初めは肉体の静止だけだったと言うのに遂には思考までも薄れて来る。


くそぅ...なんでこんな事に、なったんだろう 元を辿れば親父の..せいなのかな


そんな風に今この状況に陥った理由を考えて一言、言うとすれば。














『...あの人、手加減知らない の..?』


あ、口が動いた。


身体の一部が動くと不思議な話だが今まで一切、力が入らなかった身体が少しずつ動き始めた。


身体が動く様になった事を声には出さなかったが喜んでいると彼女の声が聞こえ聞こえて来た。


『だ、大丈夫ですかっ!』


彼女が馬車から吹っ飛ばされた俺を心配して追いかけて来てくれたみたいで俺の隣に座り込んで身体の状態を確認している様だった。


何か話を返さないとと思うのだが言葉が出てこない。

そんな時に一つ偉大な兄の言葉を思い出した。


〈自分のこころの中で本当にそう感じている事は

考え無くても言葉はかってに出て来る物だ〉


そういった兄さんは余りに情けなかったがその時の俺は確かにそうだと感じさせられていたので俺は勇気を振り絞り今の思いを彼女に向けて解き放った。






『痛い..で す...』



うん、やっぱこれだよね今の心の叫びは

と言うよりこれ以上喋れなかったよ、息が詰まって。



『きゃー!お兄さん何してるんですか‼︎

血だらけですよ わっ! 血も吐き初めてましたよ ‼︎

ちょっと大丈夫ですか、 しっかりして下さい! 』


息が詰まったのって気道に血が昇って来てたのね

そりゃ喋れないよ、それよりおかしいなぁさっきまで何処も血なんか流れてなかったんだけど。


少し前まではそんなに痛くなかったと言うのに今は全身に激痛が迸っていた、不思議に思ったりもしたが

そんな事は襲って来る痛みで頭から抜け落とされその後で徐々に意識も一緒にフェードダウンされていった


俺の意識が薄れていく直前に目に入ったお兄さんの顔はいつも悪気げなく殴りかかって 来ているというのに本当にやってしまったという様な顔をして告げた言葉は次に起きた時も忘れられなかった。






『…まさか、あの話も本当だったとは。これ本当にヤバい物を買ったのかもしれねえなあ ..おい』






【罪の報い】の効果


魂と肉体の位相をずらしそのどちらか一方にダメージを加えると位相を戻した時に障害を受けていない方にも同程度反映される。


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