第1章 1話〜ランドさん、大地に立つ!! 〜
百話出すまでに目指せ一万PV!!
暗く沈んだ空間に少しだけ明かりが灯る場所で勇者と魔王は闘おうとしていた。
魔王はこの世界の為に勇者は愛する女性の為にと互いに譲れない物を護るために、この世の行く末を決める闘いが遂に始まってしまう。
魔王を前にしていると言うのに勇者は伝説の武器などを持つことはせず思い入れのある唯の青銅の剣で挑む。
伝説・幻 などと言われる全ての形あるものは、この世界の抑止力達が用意した道筋を辿らせる為だけの武器であるからして今の勇者には忌々しい物でしか無いからだ。
勇者の背後に最も愛する者が見守っている、彼女はこの世界の抑止力達に忌々しく思われている為にこれまで多くの其の物達による悪意が襲いかかって来たがそれら全ては勇者が一蹴した。
しかし今回は此れ迄の悪意とは比べ物になら無い物が有った、今回はさすがに駄目なのかもしれないという不安が彼女を襲い掛かる。
勇者はそんな愛する者に対し何時ものセリフを告げるとその言葉を聞くだけで彼女は絶対に何とかなると思えてしまい自分もいつも返す言葉を口にすると彼の心と肉体に力が満ち溢れて来る。
『俺はこの身で貴女を護ると絶対の盾となり、この自慢の剣で貴女の障害となる全てを切り裂いて見せましょう』
『勇者様...お気をつけて』
勇者は剣を力強く握り直し強大な敵に向かうと暗い空間は完全な闇に包まれてしまい絶望に駆られる事になった。
『ヒッ⁉︎暗く...え.何で』
男が状況を把握出来ずにいると背後から声をかけられる。
『…ランド 話しがある着いて来い。』
『父さん‼︎何してくれるんだよ、漸くクリア目前って所だったのに!!』
彼がしていたゲーム、始まりの黙示録と言うゲームは総選択肢三万パターンと言う頭の可笑しなギャルゲーで業界ではクソゲーとまで言われていた。
クソゲーと言われる原因は総選択肢三万パターンの為では無くオート、スキップ、クイックセーブ、倍速と言うギャルゲーに必要とされている機能の殆どが搭載されていないゲーム性に問題があった。
このゲーム性により、数々の猛者達は散って行く。
プレイヤーは人間である為に働かなければならないからだ。
働けば当然時間が経つ、ある程度時が過ぎると新しいゲームは発売され猛者達は其方に意識を取られ気づけば積みゲーとされ誰にもクリアされぬまま眠っていた。
そんな折ある者が彼にこのゲを渡してしまってから話は始まった。
そう部屋のブレーカーを切られた男だ、彼は部屋に篭りこのゲームと膨大な時間を共に過ごして成長してしまった。
何故こんな時間がいくらあっても足りないゲームをクリア寸前まで行ったのかと聞かれれば答えは簡単だ。
彼が引き篭もりだったからである。
___________________________________________
『ランド、俺は言った筈だ成人になるまでは彼女を作れと』
『まぁ…おしゃっていましたね』
威圧する父と顔を合わす事が出来ず顔を晒す青年は弱々しく返事を返す事しか出来ない。
そんな青年を見下す様に父は言葉を続けた。
『何で出来ないか分かるか?それはな、お前に魅力を一つも感じないからだ』
『魅力ですかぁ..』
『あぁ、魅力だ...お前にはそれが全く感じない』
『そんな事、言わないで下さいよ〜』
父の言葉に息子は適当に相槌をうっておけば いずれ諦めて終わるだろう、彼はそんな風に考えてクリア一歩手前に終わったゲームへ思いを寄せていると思わぬ方向に話しが飛んで言ってしまう。
『約束した筈だよな?彼女を作らないと家を出すと。』
『あぁ、無理矢理させられましたね〜』
『うむ、分かってるのなら良い。此れだけ餞別でやるからさっさと出ていけ。』
『…え?』
『女を作るまで帰って来るなよ…』
青年が気付いた時には餞別として渡された物以外 何も持っていないと言う状況で家から叩き出される結果に彼の顔は焦燥感を隠せなかった。
ランドは深い溜息を吐き、家の扉とは反対方向に歩いた。
別に親父の言う事を聞く必要は無いはずなのに何故か体は歩き出している自分が恐ろしいが取り逢えず歩いていると、直ぐに村を出て山を下り始めていた。
山を降りて20分ほど経った頃のことだ、誰かに見られているような視線を感じて直ぐに今いる周辺がかなりの数モンスターが生息しており人が襲われ易い事を思い出した。
襲われた時に備えて何か対抗策は無いかと自分の所持品の確認をして見た所...
丁度着ていた服と一本のボロっちい短刀とポケットに入って飴玉一粒しか無いじゃないですか
何も考えずに取り逢えず山を下りようなんて考えた自分に激しく後悔してしまうが来たものは仕方がないと思い直し気持ちを切り替えた その時に奴らが現れてしまった。
『まさかこんな事になるとはな...それより早く山を出ないと あいつらが襲っ..』
『****っ!!』
『€€€€っ!』
『°°°°°°°3°3°°°°っ!』
『っ、遅かったか...』
三体いるモンスター達の鳴き声を聴いただけで何がやって来たのかが分かり嫌々ながら目を合わせ呟いた。
『よぅ...お前ら』
目の前のよく分からない叫び声を上げる三体のモンスターはこの森でよく見るモンスターだ。
引き篭もりを始める前の俺はよく親父に連れられて、このモンスターと戦う事で長剣の太刀筋、戦闘感、気はたまた魔力などの特訓を強要させられ無理矢理 鍛えられていた。
しかしどれだけ特訓をしようとも こいつらを倒す事は出来ず途中で面倒臭くなり気絶した振りをすると何時も親父が追い払う事でやり過ごしていた。
しかし今この場に親父はいないし、助けてくれる人は誰も存在しない。
負ければ死、勝てば生き残る事が出来る そんな状況で取るべき選択肢は一つしか無かった。
よし..覚悟は出来た
俺は中腰になり短刀を左手に持ち右手にとある物を持ち構えた。
『…基本の型【護】』
基本の型【護】これは取り敢えず相手の攻撃痛そうだし完全に防御しとこうかという時に作られた俺の曾曾曾曾曾曾曾曾曾曾曾曾曾曾曾曾曾曾じいちゃんぐらいが作った流派の基本の構えだ。
この構えは ほぼ完全に防御する事が出来ると言う利が得られるが本質的な物はそこでは無かった。
この構えを取る意味...それは相手の動きの癖や太刀筋、脚さばきなどを把握する事により相手の情報を集め どう行動をとるのが最善手なのかを考える時間をつくる所にあるのだが..
『『『...』』』
戦闘態勢に入っている目の前のモンスター達は此方を警戒したのか攻撃して来る事は無く互いに相手がどう動くかを睨み合いながら待つ緊迫した空気となる。
目の前のモンスター達はかなり知能が低い為、どんなトンデモビックリな技を放って来るのかと警戒しているのだ。
...お前らむかし 散々この構え見ていた筈だろうがちょっとは学習しろよとツッコミたいがそんな無駄な労力はかける事はせず、向こうが来ないのならと待ってていても仕方が無いと此方からアクションを掛ける事にした。
一歩一歩 ゆっくりとモンスター達に近付いていく、そして遂に短刀が届く距離の少し離れた所に辿り着くと右手に握っていた物を離しながら投げた。
『ウラッ!』
俺がとった行動は即効性があった為にモンスター達は頭部に掛けられて苦しそうな声をあげていた。
『****っ!!』
『€€€€っ!』
『°°°°°°°3°3°°°°っ!』
ふっ、たわい無いな...などとかっこいい事を言いたかったが別に対した事はしては無かった。
俺は右手にこびり付いた砂を見ながらこんな物がよく効いたなと呆れながらモンスター達を眺める。
何と無く分かったかも知れないが唯、右手に握った砂をモンスター達の目に入るようにかけただけだった。
しかしモンスター達は俺の呆れ等は気にせず目を擦り続けて転がる奴や手がない為に涙を流し続ける奴らがいずれも苦しんでいる。
しかしそんな事は俺には関係無いので決着を付けようと短刀を握り直して鞘に戻しモンスター達と対面している向きから180度反転し全速力で逃げた。
『じゃあなっ!』
この俺の行動をもし他の誰かが見ていたとすると情け無いだと宣う奴らもいるかも知れないが仕方が無かった。
戦いには基本 魔力、気、戦闘感と言った戦闘センスが無いとどうしようもない物があるのだが、斯く言う俺もその一人で魔力だけは人並みにはあったが戦闘感と気がてんでアテにならなかった。
気は感じる事が出来ないと云うより親父の言っている言葉の理解ができなかった為に進歩が全く見られず時間の無駄だと親父に断言されて諦めた。
まあ元から覚えたいなんかは思ってなかったから良かったのだけど親父の言っている意味が本当に分からなかった。
"気合いを入れれば気というものは自ずと現れるものだ"という親父の言葉は今でも忘れられない。
あんた馬鹿だろと何度思った事か..
そして戦闘感を鍛えさせられた時なんかはもっと色々と酷かった。
敵の攻撃を毒に苦しみながら眼を使わず感だけで避けるという狂気の沙汰とは思えない特訓をさせられたのだが攻撃を避ける前に使われた毒が猛毒すぎて死にかけるという結果に終わり此れも断念した。
親父が言うには眼を使わずに避ける事が出来る人間はゴミの様にいるが、他の複数の五感も共に侵されながらも避け続ける事が出来ると言う人間は価値が高い為に遣らされたらしい。
しかし毎度 毎度 毒で気を失っていた為それどころではなく話にならないとよく怒られたものだ。
そんなこんなで俺は諦めて家に引き篭もっていたと言うのにモンスター達を倒せる筈が無いので俺は全速力でモンスター達が生息している区域を抜けようと走った。
6時間程道沿いを歩いていると、ようやく道が平面になり山を下りきった事に気がついた。
『よ、ようやく下りれた..』
俺はそこら辺に落ちていた丁度いい太さと長さの木の棒を杖代わりにして手足を震わせながら呟く。
引き篭もりを始めて早6年経っていたんだ、そりゃあ体力は落ちるよなぁ。
山を降りる事は出来たとはいえ未だ町までかなりあつまた。
もう歩けないといつ事は無いが歩きたくは無かった。
『どうしようか...休憩しよ、疲れたし』
俺は木に寄りかかり水を飲もうと思ったのだが一つ
恐ろしい事に気づいてしまった。
『..水がない』
序でに言えば金さえ貰って無かった。
せめて餞別にそれぐらい貰えなきゃ何も始まらないよなぁ、それより御飯どうしようか…土って確か栄養あったっけ?
そんなアホな事を少し真面目に考えていると、少し離れた所から少なく無い数の馬車を引く音や人の声が聞こえて来た。
その様な音を聞いている内に妙案が浮かんだのでそれを実行に移した。
俺は近付いて来る馬車の音を聞きながら彼らが通るであろう道に辿り着くと急いでうつ伏せに倒れ込む。
何をしているかって?教えてやろう。
俺の服装は山を下山した事とモンスターと激闘(1回)を行なった為に服装はボロボロで何処からどう見ても倒れている人にしか見えない。
だからきっと心優しい人が見つけると、水をくれて序でに馬車で町まで送ってくれる筈だと考えたのだ。
この案を発案した俺は流石だと自分を褒めたくなった。
流石、俺っ!
自分を褒めていると馬車が見えたきたので助けを求めた。
『だ、誰か水をくださ.グッフォォ!』
結果を言うと俺の考えは上手くいかず、誰も助けに来る事も無く寧ろわざと馬車で俺を轢いてきた。
.....何台も何台も
気が付けば気を失っていた俺は町へ向かう馬車に乗っていて、ベットに眠る俺に馬車を引いて生じた揺れが俺の微睡みを覚ました。
おお、馬車の上だ..と自分の作戦がうまく言ったと喜んでいたのだが直ぐに思い直す事になる。
目を覚ました近くには麻の服を着て足に鉄球を付けた人間が沢山いる事に気づき何でこんな物付けられてるんだろうと考えていたのだが、途中で自分の足にも違和感を感じて足を見ると鉄球が付いていました。
目が覚めて頭が回り始め、俺は漸く今の状況を理解する...
…何故か俺は奴隷にされて捕まったみたいであった。
『何で、こんな事になってんだろう?
涙が止まらない。
これどうするよ..奴隷だよ?奴隷。
よく分からない回る物を手押しで回させられたりするんでしょう?どうせ。
そんな事を考えていると如何やら言葉が漏れていた様で、艶やかな栗色の髪を背中まで延ばしている内気そうな女の子弱々しく話しかけて来た。
『ど、奴隷さん静かにした方がいいですよ?ま、また殴られますから』
話しかけて来た女の子は回りの奴隷とも奴隷商人とも違い、動きやすい服装をベースにしているが華やかな雰囲気に包まれており、この場に不釣り合いな格好をしていた。
『あ、あのすいません。あなたは?』
『わ、私はこの奴隷商のリーダーのシャノンといいます。 よ、宜しくお願いしますね?』
……彼女と会話した俺は一瞬で決意した。
女の子と殆ど話した事も無いし寧ろ他人と話した事もほぼ無い。
だが何とかして目の前の少し気の弱そうな女を堕として奴隷から解放して貰おうと。
余り考えず見てくださいな。