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第9話

ショコラトリス。それが例のモンスターの名前であった。


『ショコラトリス。

 体長約70センチ(尾を含める)

 焦げ茶色でニワトリに似ている。

 鱗の生えた尻尾がある。

 尻尾はミルク色をしている。』



「ディークの?」

ケイトは手作りの図鑑を覗き込んで言った。


「1つ1つ丁寧に書かれていますね。」

アランはページをめくった。



「うわぁ、キレイな絵だ!

 ディークって絵が上手いんだね!」


「ほんとうにそうですね。」






ショコラトリスの魔法を防ぐには

魔法耐性を上げる装備が必要らしい事がわかった。


そういう効果を持った宝石がついたジェムアイテムや

あるいは魔法を使って作られたマジックアイテムを装備すれば良いという。



「つまりさ、高いんじゃない?」

ケイトががま口の中を見ている。


「ボクのハンマー、チョコになって欠けちゃったから

 それも買わなくちゃいけないし。」

ハンマー全体がピンク色になっており、ガリッと欠けている。



「多少の出費は、仕方ありませんよ。」



商人広場のアクセサリー店。


金の腕輪。

キンイロスナトカゲの彫りが入っていて目の所に黒いオニキスがはまっている。

ジェムアイテムだ。


「1つ20ゴールドくらいで買えるみたいだね。」


「今までの貯蓄を全部集めても・・・足りないですね。」


購入したかったが、諦める事にした。



「あーあ。ボク、ショコラトリス退治しに行きたかったなー。」


「まぁ、すぐに装備を揃えた所で必ずまた会えるとは限りませんし。」


「とりあえず、地道にクエストやってお金を貯める事からだね。」

ケイトの新しいハンマー、シルバーウォーハンマーがキラキラ光っている。


「では、今日もクエストをやりに行きましょう。」



「ケイト、アラン。」

声の主はディークである。


「あ、ディーク!」


「この3人皆武器の属性が違うんだよ。」


「・・・・・・?」


ディークが解説を始める。



攻撃には属性と呼ばれる種類分けがある。


ソードやアックスなどは斬属性。

ハンマーやウィップなどは打属性。

スピアやレイピアなどは突属性。

ロングボウは突属性にあたる。


モンスターには、それぞれ耐性があり

よく効く攻撃と、そうでない攻撃がある・・・ということらしい。


「アランは斬属性で、ケイトは打属性。そして俺はレイピアだから突属性。

 パーティ組むにはぴったりなんだよ。」


パーティというのは、一緒に戦う仲間という意味らしい。


「たまには俺と一緒に行ってみない?

 リンコとハリーのためにショコラトリスを探そう。」


「!?」






場所は緑の森。

昨日のショコラトリスがまだ居るかもしれない。


ディークは銀の十字架が彫られたバングルをつけているが

アラン、ケイトは装備が不十分であるから用心して進まねばならない。


「アランには盾がある。もしショコラトリスが現れたら

 まず2人は盾の後ろに隠れれば良いと思うよ。

 ・・・盾がチョコレートになるかもしれないけど。」


「そうします。盾は、また買えば良いので。」



「ここかな?ハリーが居た場所は。」


「そうそうこの辺だったよ!」



「ふむ・・・。」

ディークはスッとしゃがんだ。


「やはり目撃情報があれば、モンスターは見つけやすいよね。」

地面の砂をつまむディーク。


「何ですか?」


ディークが、つまんだ砂をペロッと舐めた。


「!?」


「うん、ココアパウダーだ。見てみろよ。線状に落ちてる。」


「な、なるほど。」


「これを辿って行けば、ショコラトリスが居るって事だねー!」


「辿ってみよう。」



「それにしても、ディークさんは、すごいですね。」

アランが感心している。


「そうかな?」


「そうだよ!いっぱいモンスター知ってるし。

 モンスターだけじゃなくて他のことも詳しいし!」

ケイトも拍手して言う。



「経験かな。もう3年くらいやってるから。

 俺が特別なわけでは無いよ。」



「ベガルとは大違いだよねー!」


「あいつは・・・俺よりだいぶ後に来たやつだから。比べたら可哀想だ。」


「そうだったんですね。」


「まだ1年くらいじゃないかな。」



「ちなみにリンコさんやランランさんは?」

アランが尋ねる。


「んー。どれくらいだったかな。ランランがまず来て次がリンコ。

 2人ともベガルより先だったと思うけど。」



「あ!ココアパウダー途切れてるよ!」

ケイトが叫んだ。


「ほんとですね。」


「近くに居るのかもしれない。気をつけろ!」






「こっかこっこぉー!!」



「でたあー、アラン盾!盾!」

ケイトは小さく丸くなってアランの後ろに隠れる。



「でたな。ショコラトリス!」



絵で見た通りの姿をしたニワトリっぽいモンスター。

尻尾はまるで蛇のようである。



「覚悟しろ!」

レイピアを構えるディーク。



キンッ! カンッ! 


クチバシでレイピアの突きを邪魔するショコラトリス。


「くそっ!」



キンキンッ! コツッ! カーン!

全然本体に当たっていない。


「こうなったら、アランに手伝ってもらうしかない!」


「え?はっはい!?」


「俺がショコラトリスの気を引くから、背後から攻撃してくれ!」



「や、やってみます!」



キンッ! キンキンッ! カーン!

キンキンキンッ! コツッ! ゴッ!



「うりゃ!」


スパーン。真っ直ぐキレイに斬れた。


「こけ!?」


コカトリスが走って逃げ出した。



「あっ!」「そんな!」「おいっ!」






「逃げられちゃったの?」

リンコががっかりして言う。


「ごめんね、退治出来なくて。」

ケイトもがっかり顔で言う。


「ううん、ありがと。」



「作戦を考えないといけないな。」

ディークが言った。


「実は・・・今までショコラトリスは見ただけだったんだ。いつも逃げられるか

 時間切れでレイピアがチョコレートになるかで倒せた事が無い。」


「そうだったんですか。」

とアラン。



「いつも1人で戦って駄目だったから

複数人なら大丈夫だと思ったんだけどね。」


「ベガルも呼ぶ?」

ケイトが提案する。


「ってべガルさん居ませんよ?」

アランがベガルの居ない事に気がつく。



「そう。どこかへ行ったっきり戻ってこないの。」

リンコが言った。


「じゃあランランは?」


「ランランは行けない。夜中ハリーの番しててくれたから。」



「何か方法は無いのかなー?」


「それならランランさんから毒薬を分けてもらうのはどうでしょう?

 そして明日もう一度チャレンジしてみましょうよ。」

アランが言った。


「毒薬をどうするの?」

不思議そうな顔をするリンコ。


「ケイトさんがショコラトリスの動きを封じるんですよ。」


「ボク?」



「確かに、ケイトは何もしていなかったね。」

ディークが苦笑いする。


「だって、出来ること無かったからー。」


「ですから、タイミングを見計らって

 毒をショコラトリスの体に打ち込むんです。」



「出来るかなー。ボク。」


「やってみましょう。」

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