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第37話

朝。バオの宿屋。


ドンドンドン!


「アラン!見てみて!」


ケイトが鉢を持ってアランの部屋の戸を叩いている。


「昨日の種から、もう芽が出てるんだよ!」



アランが目をこすりながら部屋の戸を開ける。


鉢を覗くと、乳白色の双葉がピョコッと生えていた。


「育つのが早いですね。」


「魔法の植物だからねー!」






今日のアランとケイトは紫の田園に行ってクエストをする事にした。


「害獣を退治するのに火球魔法は使わないほうが良いのでしょうか?」

アランは依頼者のピンクのエプロンのおばさんに確認する。


「そうね、畑の中で魔法を使うのは止めてもらいたいわね。

 魔法の影響で、作物が変異しちゃうといけないから。」



「え?魔法で普通の野菜が変異するのー!?」

ケイトが耳をピクっとさせた。


「変異すると無駄に大きいだけで、ちっとも美味しくないのよね。」

おばさんがエプロンを払いながら言った。



「では、剣で退治することにします。」


「よろしく頼むわ。」



タヌキが畑の中で穴を掘っている。


アランとケイトはタヌキに向かって行った。






退治し終わりシルバーを受け取る。

昼食の時間になるので、一旦宿へ向かう。



「今日のお昼ゴハンは何だっけ?」

ケイトがスキップしながら言った。


「何でしたっけ。覚えていません。」



「おう、アランか。」

田園と街の境目くらいの場所で、タス・チャンが声をかけてきた。


いつも食堂で顔を合わせてはいるのだが、話をするのは久しぶりである。



「と、アランとよく一緒に居る・・・・・・名は何だったか?」


「ケイトだよ。ケイト・ポリフェン!」

元気いっぱいで答えるケイト。



「アランとケイトは、いつも2人でクエストをやっているのか?」

タスが尋ねる。


「はい、ケイトさんは植物に関する知識が豊富なので

 一緒に行って頂けると助かるんです。」

アランが言った。


「ボクも1人でやるより一緒にやる人が居たほうがいいからさー。」

耳をピクピクさせているケイト。



「仲が良いのは、良い事だ。」

空を見上げてタスが言った。



ポツンと雨粒が落ちた。


最初はポツポツした降り方だったが

だんだん強くザアザアとした降り方になった。



宿に向かって走るアランとケイトとタス。


「野菜を育てるには、自然の雨も必要だよねー。」

ピョンピョン水たまりを避けながらケイトが言った。






宿に着くと体がだいぶ濡れてしまっていた。

念入りにタオルで体を拭いても寒気がした。


これでは風邪をひいてしまう。

食事まで、まだ時間もあるので浴場に向かうことにした。



考える事は皆同じで、脱衣所が混雑していた。


「ベガル、そういえばスズメは見つかったのかな?」


「えー、また逃げちゃったの~?」


「今日は出かけずにスズメを探していたおかげで

 雨に濡れずに済んだようだよ。」



またスズメが逃げたのかと話をなんとなく聞きながらアランは服を脱いだ。



濡れた服を洗わねばならない。

綿のシャツは、まだ良いとして革のパンツはくせ者だ。


後で商人広場まで持っていってキレイにしてもらう事にする。

でないと濡れた所に、最悪カビが生える。


面倒だから、革ではない素材の服を買おうかな。



ゆっくり考え事をしながら支度していたら

いつの間にかケイトが居なくなっていた。


先に浴場に入ったのかなと思いながら浴場に行くアラン。



ケイトがボーッと突っ立っている。


「どうしたんですか?」


「なんかさ。隣の女子の浴場からの声が聞こえない?」


耳をすませてみる。

確かに何か聞こえる。



「隣の声ですね。」


「何を話してるのかなー。」

壁際に近寄るケイト。


「盗み聞きは良くないですよ。」

と言いつつ気になるので一緒に近寄るアラン。



「じゃあ、食事付きに変えて、毎朝挨拶する!ってのはどう!?」

リンコの声だ。


「アランはいつも食事つきだから、毎日3回くらい会えるはずよね!」

レミの声もする。



「なぜ私の話をしているのでしょうか・・・・・・。」


「なんでだろー。」


アランとケイトは同時に首をかしげる。



「リンコもレミも、恥ずかしいからもう止めて!!」

ムーエ・カリナの声がした。






浴場から出て、体をよく拭き服を着る。


「今日の午後は、もうクエスト出来ないかな?」

ケイトが言った。


「そうですね。部屋でゆっくりする事にしましょう。」

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