豪華龍
「はぁ、はぁ……」
なんだこの龍?ボクをここまで消費させるなんて…
「とりあえずステータス確認するか」
今ボクは岩陰に隠れている。見つかるのは時間の問題だろう。急がねば。
腕から滴る血で円陣を書き、呪文を唱える。
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アルマイト・カーラー
種族 夜雀
Lv780
HP4500/185000
MP630/7050
SP1740/1740
ATK3086 DEX1000 DEF1423ME892
オートスキル
刻印の加護
クイックスキル
オーバーロード
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……嘘だろ…。
魔王のボクがここまで疲弊されるとは…
こんな場所で奥義を使えば確実に他の奴らまで寄ってくる。いつもなら軽く蹴散らすのだが今の状態じゃ無理だ
ここは撤退するしかない。
く、魔王ともあろうボクが…っ!
この雪辱必ず倍にして返してくれるわ。
せめてもの土産ににあの忌々しい龍のステータスを見てやるか。
さっきセジェンで切った際に彼奴の血が付着したはずだ。
円陣を書き、呪文を唱えボクは絶望した。
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ゼル・ウィンド
種族 豪華龍
Lv2850
HP7345080/12000000
MP10/480
SP500/500
ATK7850DEX2580DEF9850ME1780
オートスキル
????
クイックスキル
????
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「はは、バカげてる」
なんだこの魔龍は。
撤退しないとマジでやばい。
ボクは残る魔力を振り絞って力一杯飛んだ。
ふと、視界の端に人間らしきものが見えた気がした。
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「・・・あれは、龍か。
なんだあの龍の周りを飛ぶ小僧は、勝てる訳ないだろ。愚かだな。自分の実力も自覚していないのか。」
俺の視界には龍に向かって全魔力を注ぎ込み攻撃しては吹っ飛ばされを繰り返す重装備の大剣使いがいる。
「それにしてもあの龍、俺に近い魔力を感じるな。どうゆうことだ?」
考えながらブツブツ言っているうちに鈍い音を立て上にいた奴が落ちてきて無様に岩陰に逃げ込む。
そいつの兜は吹っ飛んでいて病的に白い肌とは真逆の漆黒の長い黒髪をポニーテールにした、綺麗な緋眼の青年だ。
彼は、こんな事有り得ない!とゆう表情でステータスを見ている。
彼は龍のステータスを見て絶句した。
あらゆる物を超越するかの様なステータス。
今の俺の力では無理だ。いくらステータスを超越する力があったとしても俺の今の実力では無理だ。
まずは呪いを解除しなくてはならない。
そして、知識と力であいつを超越する!
ッと。少し気持ちが昂ってしまった。
魔力が少し流れていた。俺は魔力を止め龍を見る。
今の俺はステータス的にも全く及ばない。
今は諦めるしかない。
だが、アイツの力は!
あの力は俺の物だ!
俺から幸せを奪った力!
そしてその力でこの世界をぶっ壊す!
俺は村の方に踵を返して歩きはじめようとする。
「せいぜい怯えることしか出来ない矮小な存在よ!自分の実力を思い知ったろ、怯えながら尻尾巻いて必死に逃げな!」
俺は振り返り岩陰にいる奴に自分に対する苛立ちをぶつける。
もちろん俺は魔力も気力も流れを止めている為、魔族に感知されない。
誰にも感知されない距離に行ってから村の方へと飛び立った。