第四話 火柱
「ん?」
アルライルに戻る途中、北の山脈に妙なものが見えた。
山が、燃えている?
別に山が燃えているだけなら珍しいことではない。下級悪魔どもが火炎魔法でよく力比べしているのは知ってるからな。
だが、この燃えからは異常だ。
火柱のように一点だけ上に高く燃えていてしかも黒炎だ。
一般的にこの魔界では黒炎は特殊な存在なのだ。上級悪魔程の魔力がなければ扱えるはずがない。
その黒炎をあんな上空まで燃やせる悪魔など数えるほどしかいない。
ボクは気になり、飛行進路を北の山脈に変えた。
「……龍?」
黒炎柱のそばによるとなにかが見えた。
大きな翼、強靭そうな大牙。岩山のような鱗。
典型的な龍だ。
だがボクはこんな龍は知らない。
黒炎を扱える程の龍なら普通知らないはずはないのだが……。
「……っ⁉︎」
やばい、気づかれた!
「グォォォ〜‼︎」
「くっ……っ!」
放たれた豪炎を辛うじて回避する。
あんな高密度な黒炎をまともに受けたらいくら魔王のボクとはいえども、ただでは済まないだろう。
本気でかからないとやられるっ!
ボクは背中から愛剣セジェンを構え、魔力を集中させた……。
____________________________________
カールの村は小さいいながらも人の行き来が多い村のようだ。
あいつ曰くここの山の木は品質がとても良いらしい。
今俺はカールの家に金を貰いに来ている。
「ほら、約束の金だ。1ミルで足りるだろ?」
カールが麻袋を差し出して来る。
1ミル?聞いたことのない単位だ。
「カール、この世界の金について教えてくれ」
「何故だ?と聞きたいが怖くて聞けねぇぜ。」
カールは自分の財布から何やら紙を出して俺に見せる。
「こいつがモネ硬貨。」
カールが指さしたのは黒っぽくて鈍く光る硬貨。
「こいつがミル硬貨。1000モネで1ミルだ。」
金属光沢のある銅色の硬貨を指さす。
「んで、これがディミル硬貨だ。1000ミルで1ディミルだ。こいつは稼ぎのすげぇいい奴や王族しか持ってねぇ。」
金色をした硬貨を指をさす。
「こいつは、権力のある王族しか持ってねぇ様な代物だ!サンミリオン紙幣!」
指をさされた所の絵には贅沢に金箔やらプラチナやらで着飾られた紙幣がのっていた。
「普通に生活するには50ミルあれば十分なんだぞ!感謝しろよな!」
「助かった。じゃ、俺はもう行くぜ」
俺はカールの家からでて村の商店街へ行く。
地図と布。ポーチに薬、水筒や水、干し肉それに魔力水と言った物を買って俺は村の商店街を出た。
魔力水は、飲むと魔力が回復するもののようだ。
とりあえず今日は宿に泊まるかな。
俺が宿に入ろうとした時、
すぐ近くで悲鳴が上がった。
「うわァァ!近くで悪魔が暴れてるのかっ!?皆!家に隠れろォ!」
ほかの奴らが見た方を見てみた
「火?黒炎だと?悪魔、か?少し気になるな。それにこの魔力只者ではないな、少し見に行くか。」
少し村を出たっ辺りの森に行き装備の再確認を整える。
「魔力水のお陰で遅いが飛ぶには十分だな」
魔力を体内に巡らせ、足へと集中させる。
ここで魔力を解放ッ!
ダンッ! とゆう音とともに俺の体が黒炎の火柱に向けて飛んでゆく。
風を切る中さらに動きをコントロールする為に魔力の翼を発現させ、火柱の近くに着陸する。
瞬時に魔力の流れを止め、完璧に気配を消す。
火柱まであと、150m程あるが完全気配を消すためさらに気の流れを止める。
完全気配は消えたはず。
俺は魔力水の最後の一本を飲みその辺に筒を捨て火柱に向かってあゆみ始めた。