表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プロト・イストリア  作者: 生ゴミ&燃えないゴミ
3/6

第三話 強き魔王/道中にて

ボクは荒野の中心に立っていた。

目の前にはおよそ800の悪魔の死骸が転がっている。

もう何度見たかわからぬ光景だ。

ふと、自分の体が返り血まみれで汚いことに気づく。

大層気持ちが悪い。

そういえば近場に湖らしきものがあったな。気分転換がてら水浴びを行うか。

ボクは湖の方へ歩き出した。


バシャバシャ…湖には水の音のみが響く。

体に付着した返り血を流し、念入りに洗う。

本来なら魔王がこんな無防備な姿で水浴びしてたら襲われそうだが、特殊な結界が張ってあるのでぬかりはない。

呆然と湖面に映る自分の姿を見てふと思う。

本来鮮やかに光る緋眼は今は輝きを失っている。何故なのかはわからないが。

さて、いくら結界が張ってあるといってもこの状態のまま長居するのはさすがに危険である。

ボクは素早く身支度を整えアルライルへ向け飛翔する。


そういえば今日は下級悪魔どもが騒がしい。

何かの前触れなのか?

ざわめきたってるのはあの小さな人村か。

人という貧弱な生物しかいない土地になにをそんな怯えることがある。

気になりはするが、今は一刻も早く城に帰りたい。

ボクは飛行速度をさらに上げた。


____________________________________


戦闘の熱が冷める頃にはすっかり魔物はバラバラになっていた。

俺は魔物の皮をポーチに入れようと探ったが転移したとき無くしてしまったようだ。

仕方ない。俺は魔物の肉を分けてそれ以外に手をかざす。

心の中で念じる。

『エナ・ファイア』

無詠唱魔術。これは魔法発動の感覚を覚えてしまえば誰にでもできる。

ほかの奴らは詠唱が絶対に必要と勘違いしているが覚えてしまえばいらない。

俺の手から放たれた小さな火球が魔物の蔵物や皮を燃やし始める。

どうやらこの世界の魔術とこっちの世界の魔術はさほど変わらないらしい。

俺はその辺に落ちてい木の枝を肉に刺し焼いてみた。

腹が減っては戦は出来ぬ。

そんな言葉を誰かが言ってていた。

大切な人のような、違うような。

魔物の肉を口に運んで見る。硬い。マズイ。だが空腹よりはましだと思い全て食べ尽くそうと手を伸ばす。

「待ってくれ〜!俺にも食わせてくれえー!」

どこからか、声が聞こえ俺は短剣を抜く。

どたどたと大柄な男が俺の方へ走ってくる。俺はとっさにそいつの背後にまわり首筋へと短剣をピトッと当てる。

「何者だ?名乗らねば頭を無くすぞ?」

「ひぃッ!ま、待ってくれ!怪しいモンじゃない!俺はカール!カールだ!聞かないか?自分でゆうのも何だが村一番の鍛冶屋だ!」

俺は警戒の色を強めカールの首の薄皮を切るくらいまで押し当てる。

「鍛冶屋の人間がなぜこんな所にいる?」

「痛ッ!必要だったんだよ!俺の最高傑作を作るための素材が!けど途中で魔物に襲われて逃げれたのだけど荷物を取られちまって腹が減ってんだよ!」

嘘は言っていない。

肉はマズイし食わせてやるか。

俺はカールを解放し1つ肉を渡す。

「やるよ。かわりにこの地について詳しく教えろ。」

「ふぅ。首はしっかり繋がってんな。何なんだよ!全く!まぁ肉くれたし許すけど!」

がぶり。カールが豪快に肉に噛みつく。しばらく咀嚼した後吹き出す。

「ぶっふぅぅーッ!何だこれクソマジいじゃねぇか!何の肉だよ!」

「この肉か?この肉はなんか茶色い毛で一回り大きい狼のような魔物の肉だ。マズイのはわかるが何も無いよりましだ。大人しく食え。」

男が茶色の一回り大きい狼と言う単語に反応する。

「あんたの狩った魔物の目ってもしかして青かったか?」

思い出すと確かに青い。絶対に狩れるとゆう自信で飛びついて来た。

「そうだが?なんかあんのか?」

「てことは・・・、あんた化物か!?あの怪物を倒すなんて!あれは昔悪魔が生み出したとされる怪物だぞ!?作られたといえ下級悪魔程の強さはあるんだぞ!」

「そうか。」

たいして驚きもしない。ステータス的には大幅に低下しているが潜在的に眠っているものと同じだ。

一撃位なら本来のとはいかないが半分位の力なら出せるだろう。

「そうかってお前・・・。ところで!そいつの素材あるか?是非とも貰いたいんだが!」

俺は黙って肉を見て燃えている素材の方を見る。

「ま、ま、まさか、今燃やしてるなんて言わない、よな?」

俺はこくりと頷く

「燃えてるぞ」

「はぁァァァああ!?」

カールは炎に手を突っ込むか否かで迷っているようだ。

いいことを思いついたとりあえず装備をしっかりしたいしこいつを使うか。

『エナ・アクアショット』

魔力を調節してぼとりと水をたらし火を消す。

そして、魔力を大幅に消費するがこいつを上手く使えばいい。

「我、アウァーリティアが命ずる。我が魔力を糧とし世界の理を切除し彼の者の時を巻き戻せ『時の逆行』」

この魔術はこっちにはない魔術だ、だから詠唱が必要だ。

魔力が枯渇寸前になり意識を手放しそうになる。

みるみるうちに解体した時の状態戻ってゆく。

「やるよ。だがその代わりお前の村へ連れてけ、あと金だ金をよこせ。」

「あ、あ、あぁいくらでもやるよ・・・!こんな魔術見たことねぇ!その強さ、見たこともない魔術!まさか魔界から・・・安心して寝れねぇぜ!」

カールは素材をかき集めて自分の胸元に集め俺に怯えたような眼差しを見せ、こっちだと言って斜面を下る。俺はカールの後に続く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ