第二話 前触れ/転移の代償
朝。
眩しい太陽が忌々しい。
ボクはその華奢な両足を床に降り立たせた。
そのままバルコニーに行き、新鮮な外の空気を堪能する。
「今日は東から500北から300か。少ないな」
敵が少ないことにこしたことはないのだが、妙だ…。
「いかがいたしましたアルマ様〜」
「サーシャか。毎度入ってるだろう。勝手に僕の寝殿に入るな」
こいつはサーシャ。幼い頃からボクに仕えてきた下級悪魔だ。
「ほんと、どうしました?顔が浮かばれませんよ?」
「ん?あぁ、たいしたことない。朝食に行くぞ」
「は〜い!」
「って、おい!従僕が主賓よりさきに行ってどうするんだ!」
ボクはサーシャの去っていった方向を呆然と見ながらふと思った。
この言われようのない違和感はいったい…?
ま、気にしても仕方ない。サーシャがギャーギャー五月蠅いのでボクも食堂に向かう。
「ですからアルマ様、お一人で戦に行くのは……」
「えぇい、五月蠅い!アルマ殿がお一人で行かれるのは今に始まったことではなかろう」
「それはそうだが、しかし……」
目の前でいつものようにボクの護衛のセルバとバロが口論をしている。
見馴れた光景だ。
「あ、アルマ様、ガントレットをお忘れですよ」
「ん?すまぬなセルバ。褒めてつかわす」
「なら、なでなでして下さい!」
「………」
「あぁ、そんな目で見られたらぁ……」
相変わらずセルバはゴツい見かけによらずMだな。テラキモス。
「では行ってくるぞ」
「お気をつけて、アルマ様」
今日もまたボクは一人戦場に赴く。
何事も無ければよいが…。
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眩しい日差し。目が覚めたばかりのようなフワフワした感覚。
このまま寝てしまいそうになる体に鞭を打ち立ち上がる。
目を閉じて頭の中の情報を整理する。
俺は誰だ?
アウァーリティア、何だったか?まぁいい。
此処は何処だ?
俺の滅ぼすべき世界だ。俺から全てを奪って行った滅ぼすべき世界!
だがなぜ滅ぼさなければならないかが思い出せない。何を奪われたかも。
頭の中を整理して、俺は落ち着きを取り戻す。
「此処は何処だ?」
目を開いて辺りを見渡す木々が鬱蒼と生い茂っていて視界が悪いな。俺は上空を飛ぼうと思って魔力をねるが魔力がほとんどないようで少しも込められない。
「とりあえず、ステータスを確認しておこう。」
自分の人差し指を咥え犬歯を突き立てる。
鋭い痛みが指の腹に走り口の中に血の味が広がる。
慣れた手つきで地面に魔法陣を書き詠唱する。
すると魔法陣から半透明なステータス表記が現れる。
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アウァーリティア
種族 ????
Lv.1
HP 152 /152
MP 58/859
SP 258/258
ATK45 DEX156 DEF25 ME69
オートスキル
転移の代償
クイックスキル
アークブレード
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転移の代償?それにアークブレードなんて見慣れないスキルもある。
どういう事だ?思い出そうとするが自分の名と基本知識しか思い出せない。
とりあえず俺は転移の代償の詳細を見てみる。
転移の代償
転移以前の詳細な記憶は封印され朧げになる、強い念と週刊的な事のみ覚えていられる。オートスキル、クイックスキル等は封印される。
ステータスの大幅低下
魔力回復阻害
「まさか、こんなスキルが発動するとは・・・想定外だったな。」
俺は自分の装備を改めて確認してみる。
太ももにつけたホルスターには投げナイフが左右で4本ずつ、両腰に長めのナイフが2本、腰の後ろに黒い肉厚な片手剣が収まっていた。
その上に俺は灰色のローブを着込んでいる。
「幸いDEXは元が高かったからLv.1にしては高い方かな」
少しステータス大幅低下による違和感を覚えつつも俺は森の中を散策し始めた。
焦る必要は無い。ゆっくりじっくり痛めつけてやるッ・・・!
しばらく歩くと広く見晴らしのいい場所に出た。相変わらずまわりには木が生い茂っている。
さっきから妙に静かだな・・・。
「―――ッ!」
背後に狩るものの視線を背後に感じると同時にバッと後ろを向いて俺は投げナイフを一本持って後ろの短剣に手をかけながら視線の方へに距離を詰める。
俺の今のステータスは大幅に低下している。
常人よりは十分戦えるが今大きな傷をおうと困る。
その時、木の後ろから茶色の毛をした狼のような魔物が飛び出して俺を狩るために飛びついて来る。
遅いな。
俺は狼の魔物の頭目掛けて、ナイフを投げる。
ストっ。と静かにナイフが入り頭を貫きつつ後ろの木に魔物が打ち付けられる。
遅れて魔物の頭から血と脳が混ざりあったドロドロした液体が流れ落ちる。
手応えはあった。仕留めた。
俺はナイフを狼の頭から抜いてローブの内側で軽く拭いてから解体作業にうつる。
戦闘の熱を冷ますようにゆっくりと正確に
ここまで読んでくれてアリガトです。