プロローグ
…朝…
いつものように5時起床
もう15年…たった一人の肉親である母の介護をしている。元気だった頃はなんでもこなす憧れだった母…私が35の時にふとした事故がきっかけで寝たきりになり、他に身よりも無く母子二人だったので必然的に面倒を見ることになる。
嫌ではない…ただ何も出来ずベットの上で老いていく母をみるのが辛かった…
そんな日常もある日突然に終わりを向かえる。
いつもと変わらない朝。いつものように母に声をかける。
「おはよう。かあさん。今日もいい天気よ…」
いつもなら恥ずかしそうなくすくすと笑う母の笑い声が聞こえるはずなのに反応が無い…
「かあさん。寝てるの?」
カーテンを開け母の顔を覗き込む。満足げな微笑みを浮かべた母の顔…
「かあさん?」
異変に気がつく…
救急車を呼ぶがすでに母は亡くなっていた…前日まではいつもと変わらなかったのに…
それからは慌しい日々…なんだか現実味の無いまま母とのお別れが進んでいく…自分で動いてはいたのだろうけど、なんだか他人事のようにすべての処理をしていく。
母との別れから一ヶ月が過ぎた
身についてしまった習慣…5時に起床
母の寝ていた部屋に向かい、カーテンを開ける…
もうだれもいないベットに向かい声をかける。
「かあさん…おはよう…」
慌しさに黙殺されていた感情がいっきに噴出す…
苦しくはなかった?幸せだった?なんで置いていったの?
さまざま感情が溢れ出す…
とめどなく涙が溢れ、なにも手につかないまま母のいなくなった部屋で佇む…
気がつけば日も暮れて辺りは夜の色が支配している。
…佳美…よっちゃん…
母に呼ばれた気がした。振り向くとうっすらと虹色の光をまとった母がベットに腰掛けている…
「かあさん??」
「よっちゃん…ごめんね…突然でなにも言えなかった…かあさん幸せだったわよ。よっちゃんと一緒にいられて…悲しまないで」
なんだか理解はできないけれど、母がいる…
「かあさん…かあさん…」
ただうれしくて涙で顔をくしゃくしゃにしながらかあさんに抱きつく…かあさんは優しくかみを撫でながら話始める…
「自分を犠牲にしまでかあさんの面倒みてくれてありがとうね。すごくうれしかった…でもねとっても申し訳なくてね…すこしはよっちゃんのため何か出来ないかなって色々考えて…かあさん神様にお願いしちゃった…」
少女のような笑みを浮かべて楽しそうに話す母…
「かあさん??」
「でね、神様にお願いしたの。よっちゃんがくれた時間を返してくださいって…」
「えっ?」
「そしたらね神様がいいですよ~って。でもねさすがに今の世界で時間を巻き戻せないですって…だからこことは違う別の世界でならいいですよ~って神様が言うの…すごいでしょ?かあさん頑張ったんだよ。で、よっちゃんどうする?」
くすくすと笑いながらガッツポーズする母…何言ってるんですか…かあさん??
「でもよっちゃん一人じゃ心配だからかあさんも就いて行きたいですって。言ったらすでに亡くなった人間は難しいって…でもど~してもって言ったらよっちゃん付きの妖精さんにしてくれるって。楽しそうでしょ?だから一緒にいこ?」
…いままでの私の涙かえせ…生前にも多少は能天気だとは思っていたけどこんなにひどかったとは…思いっきりだまされた…
きぃ~~~~私の人生と思いでかえせ~~~~~!!
はぁ…馬鹿らしい…もういいや…シリアスするのも疲れた…てか全部めんどくさくなった…
50になって今更女の幸せなんて無理だろうし、新しくなにか始める気力もないし…潤いや張り合いやまして仕事もなく一人で生きていくなんて考えただけでも憂鬱だし…楽しくやれるんならどこでも行ってやるわよ…はぁ…なんだかんだ言ってもやっぱりかあさんの子供だわ…思考がそっくりじゃない…
「はいはい…わかりました…でどうすりゃいいの?でもさぁ~もう私50だよご・じゅう・う?いまさら別の世界にいっても50じゃなんもできないでしょ?」
「そこらへんも大丈夫!!別世界…異世界なんだけどね、行くときに年齢も若返らせてくれるって。あと神様がなんだか面白そうだから色々してくれるって」
しかしいいんですかねぇ~面白いってだけで色々してくれる神様って…
「そうそう。神様っていっぱいいてね、今回色々してくれるのは女神様なのよ。メルヘンとかロマンスとか楽しいことが大好きなんですって。だから楽しませてくれるならいいわよ~ってことで」
「はいはい…わかったから…で、何かしなくちゃいけない事ある?」
「ちょっと待ってね聞いてみる」
しばらく独り言のようにぶつぶつと話す母をみつめつつ
なんだか今より大変になりそうな予感…でも今より楽しくもなりそうで昔においてきた感情…どきどきわくわく感いっぱいでもある。
まぁなるようになるかなぁ…
「よっちゃん。お話終わったわよ。特にこちらでしなきゃいけないことはありませんって。神様sideで事後処理はしてくれるそうなんで、今すぐ来てくださいって。女神様が」
行くってどうやって??母よあなたはすでに亡くなっていて幽霊(幽霊なのか??)だからいいけれどこっちは生身の人間ですけど??
「大丈夫。今から女神様の所への門を開きますって。そこを通ってくれば大丈夫ですって」
なんでもありなんですね…そうらや神様ですものね…
なんて考えてると目の前に光る門が現れる。
「じゃよっちゃん先にいってまってるね。」
母はそう言って満面の笑みを浮かべ、両手を振って消えていく…
ここから私の新しいじんせいが始まる…
他作品とどうじ進行になるかと…
できるだけ完結させれるよう努力します。
みなさんの声援が活力ですw