File:6 気付き
「協力するのはいいけど、見つける方法が瞳を見るしかないっていうのが難題ね。」
「そうだな。それは俺が見てもいい。」
「あたしもできうる限りのことはするけど・・・。」
「・・・。」
しばらくお互い黙ったままになる。
「難しすぎる。どうしてもやるとなるとこれの吹っ飛び方が違うだろうなぁ・・・。」
「今はそんなこと気にしてる場合じゃない。この事件恐らく日本の人口の90%がいなくなると考えても不思議じゃないんだ。その最悪の事態に陥る前に食い止めないと。」
「90%・・・。」
ナガシィの言葉に耳を疑った。
「もしかしたらの話だ。だけど、見ている限りそれくらい消えてもおかしくない。」
「・・・。」
「ふっ。見つけたよ。」
外でだれかがつぶやくのが聞こえる。ナガシィはすぐに窓を開けて、あたりを見回した。
「ナガシィ。どうしたの。」
「・・・。相手っていうのはよっぽど頭がキレるみたいだなぁ・・・。」
そう言うと
「感づかれたかもしれない。」
と言った。
「どうしたの。感づかれたって・・・。」
すぐの窓を閉めて、カーテンも閉めた。
「おそらく。僕の持っている力っていうのはこの世の中に一人しか存在しないものだということです。」
「どういうこと。つまり、ナガシィが持ってる左目が犯罪者によって赤くなるっていう力を持っている人がこの世に一人だけ存在できるってこと。でも、ナガシィはもう幽霊になってて、こっちの人間じゃないよねぇ。」
「多分。能力者にとっては僕もそのうちの一人に入るってことでしょう。まず、幽霊っていうのは実体のないもの。人間の作りだしたものにすぎない。でも、能力者にはこの作り物の幽霊でさえ、実体としてとらえることができるのかもしれない。」
「・・・それってナガシィにその能力者が包丁とか刺したら、ナガシィに刺さるってこと。」
「そうだろうね。全部の能力が欲しいと思う。多分、今の人の中にはこの能力のほとんどが入っているんだと思う。人の秒殺は可能だよ。」
「・・・。」
そのやり取りをビルの上から見ている人がいた。
「ふん。いくら考えたってむだだよ。元刑事さん・・・。まったく、死んだっていうのにしぶといねぇ・・・。」
コツコツと後ろから歩いてくる音がする。
「よう。刑事さん。」
「ミスターN・・・。やつを見つけました。どうしますか。」
「どうすることもないよ。彼のことはよく知ってるからねぇ・・・。」
そう言ってから、そいつは歩いてきた人のほうを見た。
「どうする。力が欲しかったら、あいつを殺ればいい。そうすれば、君は瞬間移動する殺し屋になる。」
「・・・やつを討ちます。」
「フ・・・そうかい・・・。気を付けるんだねぇ・・・。失敗したら、今度は君がマスコミにたたかれることになる。黒崎・・・梓。フフフ。ハハハハハハハ。」