File:5 説明
それからというもの萌はナガシィと話そうとしただが、こちらから話しかけても話してくれなかった。ナガシィが口を開いたのは探偵事務所についてからだった。
「まず。ここ2か月ぐらいのことを話そう。」
彼は重々しい口調でそう言って、語り始めた。
「僕が最後に依頼を受けたのは2か月前の依頼だ。その人の依頼は自分の身辺で起きていることを探ってほしいとのことだった。」
その人に対しナガシィはできる限りのことをやっていたらしい。そして、一つだけ気になることが彼の周りで起こった。彼が歩いているとその隣の人が倒れこむということだ。そして、その直後彼は姿を消してしまいということだった。これを調査している過程でナガシィはそれに自分がなってしまったという。
「これをおってて分かったことだけど、この事件には目撃証言がないっていうのが共通事項。俺だって被害者が倒れるところしか見てない。」
「そんなのどうやって捜査すればいいんだよ。」
当然の答えが返ってくる。
「確かに。だが、一つだけ見分けることができる。」
そう言ってさらに続けた。
「こいつらは犯罪者を見ると左目のみ赤くなる。僕が経験した限り写真でも反応する。もちろんそいつが生きていればの話だがな。」
「でも、そんなことしたら、ナガシィまた。」
「その可能性はもうない。俺も今こう言う能力を持っているけど、薄れているのを感じてる。恐らくこの世にいる他の誰かに乗り移りつつあるんだ。」
「・・・。」
「もちろん。その人がここにいるのかということ自体わからない。見つけるしかないんだ。」
「・・・。それってあたしの近い人でもあるってことでしょ。」
「そういうことだ。だけど、このことはそんな甘ったれたこと言ってる場合じゃない。僕だってなったんだ。萌だって例外じゃなくなる可能性は否定できない。今の僕からしてみればお前だけが頼りだ。」
彼は強くそう言った。