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「おい。坂口(さかぐち)。ここにその犯人が現れるって本当か。」

黒崎(くろさき)が半信半疑で聞いてくる。

「こんな廃墟ビルに人がくるとは思えないけど。」

「彼がそう言ったの。だから信じて。」

「その彼の気持ちが変わってたらどうするの。ここに来たのはあたしの車だけど、車が止まってたら警戒してこないんじゃない。」

「そこだけは信じるしかない・・・。」

 時間がたつにつれて自分でもその自信がなくなってくる。

「もう来ないんじゃないか。」

黒崎(くろさき)は時計を見た。もう次の日になっているうえに2時を回っている。

 突然白い物体が上からドスンという音を立てて自分たちの前に現れた。

 その光景に思わず目を閉じたのは黒崎(くろさき)だ。刑事のわりにこういうところに弱い。すぐに私はビルの上を見た。

(あずさ)。あそこ。」

指差して、黒崎(くろさき)の目線を目の前から上にずらす。

「ウソ。いつの間に。」

ずっと張っていて人が通ったということはない。それなのにビルの屋上には人が立っているのがはっきりと見えた。

「中行こう。」

「ちょっと待て。逃げちゃわないか。」

「大丈夫。彼は逃げない。死体遺棄の現行犯で逮捕すればいい。」

「・・・。」

 坂口(さかぐち)に促される形でビルの屋上まで行く。確かにそこにはさっき見たであろう人が一人立っている。

「おい。」

黒崎(くろさき)は大声を張り上げる。どうせこの時間だ。聞いている人はここにいる人以外恐らくいない。そして、焼け落ちた廃ビルだ。

「すべては僕の計算通りです。」

彼はそういうと倒れこんだ。黒崎(くろさき)が駆け寄ったが、その時には遅かった。口の中からアーモンドのにおいがする。青酸だ。

 黒崎(くろさき)坂口(さかぐち)に首を小さく横に振った。坂口(さかぐち)はそのあとすぐに崩れた。

(もえ)。悪い。これはしょうがないんだ。」

死んだ人の声が自分の耳に入った。


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