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第4話 狂脚の令嬢

 「もしも…よ…」


 そう問いながら振り返った横顔は、ドコとなく切なかった。

 彼女の白銀色に近い髪が、屋敷のバルコニーにへと吹き下ろす風に強く揺れ動かされる。


 「もしも…って何かしら?」

 「えぇ…それが…」


 彼女の名は、エミリヤ・グリアナ男爵令嬢。

 歳は、十九才。

 貴族が通う事が許された名門アンバー学園を、今年学部を首席で卒業した事は、他の貴族はもとより一般の市民の間でも、広く知られている。

 しかも彼女は、在学中に薬学と武芸を選考しそちらも、中々の成績を収めていた。

 大の男を、その白く透き通った手で投げ飛ばし…

 指揮棒でも振るように、靭やかな剣技で吹っ飛ばしもした。


 しかも、ワルツを嗜むような軽い身のこなしと足運びに付いた字名は、狂脚のレディージェネラル男爵令嬢。


 その名を聞けば、特に王侯貴族達は、彼女の顔を知らなくとも、速やかに察する。


 見栄えは、眉目秀麗で非の打ち所がない……とは、よく言ったもので…

 彼女の成績や歴戦を聞くと、同い年の若者や青年達は、分が悪いとばかりに一目散に走っていってしまう。

 それは、彼女が異才を放っているのは勿論。

 並みの男性よりも、高身長に由来しているからだろう。


 ただでさえ…


 全て兼ね備えた非の打ち所がない彼女は、文武両道。成績優秀。

 薬学に精通しスタイル抜群。

 しかも身分としては、爵位の順で男爵は、下から数えた方が早い。


 武芸の腕をかわれ現在は、騎士団で、主に王族の女性を対象とした警護を任されている。

 警護対象者も、女性だと安心してか、茶会や舞踏会やパーティーにとエミリヤとならと…指名してくれる。


 ただ貴族側の男性達からは、酷評を受ける事がある。


 『背の高い女』

 『女のくせに強い』

 『なんで女なのに騎士団に入隊しているんだ?』


 要するに男というのは、プライドの高い生き物だ。

 自分よりも、優れた者の隣になど並びたくないが本音。


 だからこの国の三番目の王子が、騎士団へと先に入隊して、在学中から実力を認め目にかけていたエミリヤが、卒業を控えた頃に自ら騎士団にスカウトした事が、全ての転機だった。


 学園を卒業すると、特に貴族の令嬢達の多くは、婚約者を見つけ花嫁修業となるのが通例だ。

 中には職探しで、自立して働く者もいるが、貴族達はどうもそれが許しがたいのか、男よりも目立つ女性を軽蔑する思考が根強い。


 農村部や街では、自立して生きて行く女性は多いのだが、貴族令嬢は別。

 男に尽くすが、未だに良いとされている。

 それを勘違いした貴族側の男が、結婚を期に支配口調になったり一部では、暴力を振るうと言う話しも良く耳にする。

 そう言う貴族を取り締まると、口を揃えて女は尽くすのが当り前。 


 『黙って従えば、いればいい』


 …と、貴族社会の方が、荒んている。


 それが、あるからか…

 エミリヤ達が、在学中に開かれデビュタントでも、エミリヤに声を掛けてくる者など居るはずもなく。

 壁の花と化したのは、言うまでもない。


 「そんなことないわ! エミリヤは素敵よ。親友としてアナタの才能は、とても素晴らしいものよ。それをチンケなプライドで爪弾きにする男なんって、こっちから願い下げよ!」と、親友のナディアは、結い上げた髪に付けられた青色のリボンを揺らしながらエミリヤを、褒め称えた。


 「ありがとう。ナディアが、そう言ってくれると嬉しいわ」


 ふんわりと優しく微笑むエミリヤが、ナディアには愛おしく映る。

 二人の出会いは、アンバー学園の初等科入学から始まる。

 最初は、ナディアも同学年の中では一際背の高いエミリヤを、遠巻きに見ていたが、エミリヤの凛とした普段の雰囲気から時折見せる可愛らしい表情と仕草に魅了されファンに…

 その内ナディアのガーデニング好きに興味をもったエミリヤが、声を掛け二人で話している内にお互いの家を行き来する程の親友となっていった。


 「本当にエミリヤは、笑うとこんにも、可愛らしいのに見る目ないヤローばっかりね…」


 一瞬、エミリヤはシュンとなった。


 「どうしたの?」

 「うちは…爵位持ちと言っても、金持ってる豪商と変わらないぐらいの男爵家。兄が、爵位と家督を継ぐことは、もう決まっている事なのよ」

 「それは、そうだけど…」


 そんな何もない残ってないような令嬢と婚約する貴族など居ない。と、エミリヤは冷やかだ。

 自分が、散々な言われような令嬢だと言う事には、気付いている。

 先日の王族主催のパーティーでも、狂脚のレディージェネラル男爵令嬢と、すれ違いざまに言われたことがあった。

 自分には、可愛らしい容姿がない。

 あるのは、剣の腕だけ…

 それだけで、のし上がる事が難しい事ぐらいエミリヤには、分かっていた。


 「…だから第三王子のアーク様からのスカウトには、親族一同感謝しているわ。今は、それで食べて行けていし実家にも仕送りが出来ているのよ。領地は小さいけれど兄が、そのお金で灌漑用水の整備の足しにしてくれて…完成した橋を、領地の皆で喜びあえた事が、今年一番の良い思い出よ」


 エミリヤには、5才上の兄が居る。

 兄のクロスも、また美しく兄妹揃って文武の才能に恵まれ高身長。

 兄は令嬢が、どよめく程の甘く魅惑的な顔の持ち主。

 本当に通り過ぎるだけで、女性を一瞬にして虜にしてしまう程で、王子達に並んでも引けを取らないルックスだと言うのは、有名な話だ。 


 「あら? でも…お兄さんのクロス様って確か、秋頃にご婚約されたと聞いたけど?」

 「えぇ…兄とは、初等科からの幼馴染で、順男爵御令嬢よ。彼女も、草木を育てるのが好きで、領地に合う草木を植えて観光資源にならないかって、二人で話しているそうよ」

 「エミリヤとも、仲が良いとか聞いたけど?」

 「えぇ。薬学を学んでいた時によく学園の花壇や畑で、一緒になっていたから。こう言う子が、お兄様の婚約者となったらと…彼女もつ植物の知識が、生かされるのではと、たまたま家に呼んだら兄とも知り合いで…」


 それにあまり口にしたくはないが、準男爵なら。


 「あぁ…なるほど…」


 爵位や貴族と言うのは、本当に不便な階級で…

 男性側だと自分と同じか、それよりも下の者と…

 女性側だと嫁ぐ訳だから家柄に政治的な立場など政略など…

 あからさまに格上と言うのも、立場的に不釣り合いだと噂のネタにされかねない。


 「確かにね…それはあるわ。しかも親が、爵位持ちでも次男以降は、自分で職探しだものねぇ〜」

 「そうなのよね…」


 そう言う親友のナディアでさえ騎士との婚約が、決まっている。

 ちなみにナディアは、建国当初から騎士団に所属し王族達の警護や式典を取り仕切る役を、仰せ使う一族であって貴族とは、また異なる血筋を引く家系である。


 ちなみにエミリヤの兄クロスが、一時期剣の修業として武士道を学べと、一族からの命で、お世話になったのがナディアの家だった。

 そこで幼いながらも、同い年の二人は意気投合し同じ名門アンバー学園に入学したことで、良き親友となったのだった。


 兄の稽古を見様見真似で、覚えた構えが、同い年の貴族令息達からは不評で、怖がらせや嫌がらせの名目で、木刀を手に斬り掛かる真似をして泣かそうとしたが、エミリヤは、軽くターンして襲い掛かってきた貴族令息達を不本意ではあるが、横倒し状態にしてしまった。

 血の気の多い貴族令息達の人が、避けたたけのエミリヤを、疎ましく思い本気の力で木刀を構え振りかざしたが、当のエミリヤは、また華麗にターンしてクルクルと弧を描き持っていた学校の鞄でその一撃を防ぐと、そのまま鞄ごと受け流しその貴族令息は、自分の力が、反転されていると思わないまま廊下の壁に激突。

 鼻血を垂らしながら顔を真赤にさせ号泣するも、目撃者多数で厳重注意と反省するまで自宅謹慎を言い渡された。


 あの時のエミリヤは、カッコ良かったと、ナディアは未だ口にするが、似たような襲撃や嫌がらせは、初等科の終わりまで続いた。

 その都度、エミリヤは自らは決して手を出すことなく避け切った。


 中等科に進んでからは、さすがの貴族令息達もエミリヤには、敵わないと学んだのか、特に何かを仕掛けることないと思われたが、エミリヤが中等科の途中から剣技を学び始めた事で、またやっかみが再燃する事になった。

 

 陰湿とは、よく言ったものだが…

 道具類を隠されるは、日常的だった。

 ただエミリヤは見掛けからは、特に気にした風もなく決まって、その日は、筋力アップのメニューに重点を置き柔軟や走り込みと言った基礎トレーニングを欠かさなかった。

 

 いつも冷静沈着で、どんな時でも表情を崩さないエミリヤだが、頭にこない訳がない。

 大事に手入れをしていた道具や防具に木刀を、隠されたのだから。

 多くの場合は、学園の裏に無造作に捨てられていた事が多かったが、さすがに嫌がらせで学園の噴水の中に木刀や防具類が浮いているのを見た時は、発狂しそうになるのを必死に抑え自ら噴水に入り防具類を回収したが、腸が煮えくり返る思いをしたのは、あの時が初めてだった。

 その場に居合わせた親友のナディアでさエミリヤに対して声が、掛けられなかった。

 多くの人が、騒ぎを聞き付け心配しているその後ろで、ヒソヒソと面白がる貴族令息達の声が聞こえていた為に言い返してやろうかとしたナディアの腕を掴んたのは、エミリヤだった。

 片手に水浸しの防具類を抱え濡れたもう片方の手で、ナディアを静止させているエミリヤの目線の先には、不敵な笑みを浮かべてた貴族令息達がいた。

 

 最初は、自分達は関係ないと言った表情の貴族令息達だったが、冷静を努めていたエミリヤの表情が、剣技の試合で見せる顔付きになった時、周囲は水を打ったように静まり返った。

 エミリヤの鋭く研ぎ澄ませた眼光に睨まれた貴族令息達は、動けずタジタジになり少し震える者さえいた。

 その様子を察したように周囲は、引く波のごとくエミリヤの前を開けた。

 貴族と言う者達は、ただ仲間意識で動くものではない。

 勿論、慈悲と言う事でない。

 礼儀を欠いた者に対して、礼儀は無用だと悟ったに過ぎない。

 そんな者達に同じ貴族として、接するのを止めただけである。

 

 無言のエミリヤが、視線を向けたその先には、不自然に目すらし合わせようとしない貴族令息達が、その目を泳がせていた。

 何も言わず黙って見つめ続けるエミリヤに貴族令息達は、慌てたように走り去っていった。


 「礼を尽くす義理もないわ…」


 そう小さく吐き捨てたエミリヤの言葉を、ナディアは聞き逃さなかった。

 その時のエミリヤの精悍な表情と、力強い瞳の輝きには幼馴染のナディアでさえ身震いする程だった。


 それから間を置かずに開催された王族主催の御前試合で、エミリヤは、学年でアッサリと優勝してしまった。

 その中で数人の貴族令息達が、病院送りになったのは、言うまでもなかったが、誰も異議を唱える事はなかった。


 「それが今では、王族の護衛だもん。エミリヤは、やっぱり凄いわ」

「アハハ……」

「笑う所じゃないわよ!」

「でも実際…貴族の間では、私に対する音も葉もない噂が、囁かれているのは本当よ」


 第三王子のアーク小隊長補佐からのスカウトは、色仕掛けなのでは?


 「えっ…なにそれ? 結局。エミリヤが、綺麗だって認めているようなものじゃないの!!」


 この容姿で、成績もぶっちぎり。バッタバッタと悪友達を、その脚と剣技で蹴散らしてきたエミリヤ嬢。 


 「男は、プライドがあるから自分よりも、優れた相手がとなると…見比べたくないから引くのよ…サァ〜ーーッとね…」


 それは、引き潮の如く…

 海割の如く…


 「あぁ…私が、男だったらなぁ…」


 それが、エミリヤの口癖だった。


 「エミリヤの騎士姿、カッコいいのよねぇ〜っ…私も、男だったら惚れてたわ!」

 「ナディアったら。おかしな事を言うわね…」

 「そうぉ? 幼馴染みなら有り得る話よ!」

 「そう言う事にしておくわ…」


 実際、在学中に女子生徒達から告白されたのは、一度や二度じゃない。

 それも、男が寄って来ない理由の一つかもしれない。


 「お手紙も貰っていたじゃない? 出会い頭にプレゼントや贈り物とか…」

 「………あったわねぇ…そう言う事も…」

 「第一王子のハルトナ様の婚約者で当時、学園で生徒会長をしていたベロニカ様だって…』


 武芸の試合にてエミリヤを、大声援で、応援していたのは各園内外に有名な話だ。


 「よく覚えているわね…数年も前の話なのに…」

 「だって私も、一緒に応援幕作ったし」

 「えっ…そうだったの?!」


 ナディアの言う応援幕と言うのは、黒地に金糸の刺繍で、大輪の赤い薔薇と共に銀糸の糸でエミリヤのフルネームが施された応援幕の事だ。

 御前試合や武芸大会の度に会場に貼られた応援幕の存在は、来た者たちの度肝を抜いてきた。


 「確かに、あのデザインは凄かったわ…それから毎年、私が卒業するまで必ず応援に来てくれて…」

 「まだ…ベロニカ様は、例の応援幕を持ってらっしゃるらしいわ」

 「えっ…」マジ?


 男性側の応援よりも、対戦相手の女性の方が、明らかに声援が凄いなどと言われたら世間体や肩書、身分、自身の体裁。

 階級社会と言う縦の繋がりからすれば女のくせにと、良くも悪くも口されるのをエミリヤは、諦めている。


 自分が、好奇な目で見られる理由は女だからだ。

 だったら騎士団で、のし上がってやる。

 今のエミリヤを、突き動かすのは闘志と決意の現れだ。


 「そう言えば…話がだいぶ脱線してしまったけど…何かあったの?」

 

 あッと、思い出した風に声を漏らした。

 

 「それがね…」浮かない顔でナディアに話始めた。

 

 「その…配置換えになるかもしれないって…ハイス様からお話を頂いていて…」

 「ハイス様って…アナタが所属している小隊の小隊長補佐の?」

 「うん…」

 「まぁ…上司から命じられた事なら…絶対的な事だものね」


 ナディアもまた騎士家計と言う事もあり内情と言うのか、絶対的な圧をしている。

 騎士の仕事は、王侯貴族の護衛や要人の警護。暴動鎮圧に犯罪の鎮圧に抑止。

 国の保全だ。

 中には、部所移動で大きく生活スタイルが変わるこも多い。


 「まさか…部所移動?」

 

 部所移動は、珍しくない。

 王都での警護から国境の警備に配置換えは、よく聞く話だ。

 ただエミリヤの場合は、略王侯貴族の女性専門の護衛騎士と定着しつつあった為に、ナディアは困惑した。


 「あの…ちなみに、どんな話なの?」

 「えっと…同級生だけど、学部が違って略面識ないんだけど、とある方の護衛…」

 「あっ」


 先程のあッとは、比べ物にならない驚きを見せたが…


 「ちょっと待って…その話。お父様から聞いたわ…」

  

 強引にエミリヤの腕を掴むと、ナディアは、パーティー会場を後にすべく迎えの馬車に乗り込んだ。


 「…それって、第四王子のロイシ様を中心とした護衛騎士を組む件?…」

 「へぇ……」

 「私の婚約者が、父の補佐をしている関係上、私の耳にも入って来るのよね……色々と…」

 「……………」

 「親中お察しするわ…」


 エミリヤは、ロイシが次期宰相として現宰相や上司のハイス達から打診を受けていたが、ロイシが次期宰相と言う事はまだ発表されていない極秘の情報だった。


 幼い頃からの付き合いのナディアの表情は、全てを知ってますとばかりに力強く頷きエミリヤの肩に手を置いた。


 「…なんでも、その役職に付いておられる方の奥様は、役職に付いておられる方の相談役でもあって…共にお仕事をされているとか…」

 

 エミリヤは、馬車の椅子に深く腰掛け何も無い空間を、虚無の視線で見上げたままフゥーッと長い息を吐いた。


 「しかも…その方は、女傑でいらっしゃるみたいで…アンバー学園に在籍していた頃、成績の事で貴族令息達から酷いやっかみと嫌がらせを受けていたらしいわ…」


 どこかで見聞きした境遇に似ている…とは、思ったが口には出さなかった。

 

 「それもあって…いくら騎士でも、男性騎士にうろつかれると虫酸が走るとかで…今までの護衛も…女性騎士だったのよ…」

 「そうよ。今まで護衛をしていた騎士が、結婚を期に退任するとなって…」

 

 馬車の外に広がる夕闇と街明かりは、キラキラと光。

 街の中心の丘に作られた城にある塔は、海からは、灯台としての役割を担っている。

 それの横に囲むようにして十メートルはある塀が城をの敷地内を全て囲みその外には、同じく十メートル幅の深い堀がその周囲を取り囲んでいる。

 

 「まぁ…私以外にも、女性騎士はいるのだけど…」

 「ただの交代だけなら普通の女性騎士でも、良かったんでしょうけどね…跡継ぎになるかもしれない人材を預かる訳だから」


 同学年で、同じ学園出身。

 幸いなのは、お互いに略面識が無いことだ。


 『あの…まさかだとは思いますが…この間の王族主催のパーティーの席で私を護衛に付けたのは…』

 『鋭いな…流石だ。まぁ…何って言うか…王族関係者に対してのお披露目的な? エミリヤ・グリアナ上位騎士には、来月から現宰相と次期宰相にと名が挙げられている。第四王子ロイシの護衛を任せたいと思っている』

 

 やっぱりかと思う半面、ナゼか納得しているのもまた事実だった。

 

 『王族主催と言う事は、王族は勿論、王族の息の掛かった人間も多く集まるって訳だ。どうやって目の前にいるヤツを躓かせて、我先にと追い越してやろうかとか…甘い蜜はないかとかねと、悪い噂が絶えない連中も少なくない」


 表立って、悪いヤツらが暗躍しているわけではない。  

 中には、悪い知識で王族を支える者達の存在もある。


 先をと、優劣を付けたがるのは、自分の私欲にしか興味のない人間だ。


 「その点キミは、故意に転ばされても、ただでは起きない。相手をとことん追い詰める。それは越された先に戻りたいのではなく。もっと別なその先に行こうとしているからたろ?…』


 エミリヤは、目を見開いて目の前の椅子に座る第三王子のハイスを、見つめた。

 同じ場所にいるから阻止しよと、してくる。

 それならもっと高望みをしてみよう。

 学園の武芸大会でのし上がったぐらいでは、何に役には立たない。


 認められないなら。

 認めせるまで…

 足掻き続けていく。


 

 





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