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誰が為に銃は鳴る  作者: 空雅
第一章 スラスト小隊
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プロローグ

心地よい風が頬を撫でる。


静かな森の中を三人で寄り添いながら逃げる、かつての仲間たち。

私は拳銃を握り直しゆっくりと構える。誤魔化しはきかない。


無線から聞こえてくる声は怒り、困惑、悲しみが入り混じって、最早無線の体をなしていない。

無線から意識を切り替え狙いを定める。肉眼で見える距離だ。外すわけがない。

この先は住宅街。逃げ込まれてしまえば私は戦えない。だからここで当てるしかない。

お願い……お願いだからーーーーー避けて。


思い切り引き金を引く。辺りが震えるほどの爆音。一発の弾丸とともに3本の閃光が逃亡犯へ走る。

それらは二人の体を的確に撃ち抜き無数の赤い飛沫が弾ける。

目を背けたかった。現実だと思いたくなかった。


三人は血を流しながらも止まることなく走り続ける。

構え直す暇もなく、三人の影はそのまま住宅街へ消えていく。

あぁ。よかった。住宅街に入ってしまった。これ以上追撃できない。皆は逃げ切れたんだ。


無線機に手を伸ばす。

「住宅街に逃げ込まれてしまいました。これ以上の追撃は私だと被害が広がりすぎます。他の部隊が追った方が良いかと。」


無線の向こうから、ふんっと鼻で笑う声で聞こえる。

「了解。捜索隊を編成し向かわせる。真桜、お前は速やかに帰投しろ。緊急事態だ。報告書は今日中で頼むよ。」

隠そうともしない機嫌のいい声色。人を嘲るような不愉快な笑顔が目に浮かぶ。


こいつか、こいつが仕組んだのか。怒りで肩が震える。強く握る手からは爪が食い込み血が滴る。

何が隊長だ。何も守れてないじゃないか。


三人が消えた住宅街を見る。

必ず、必ず助けてあげる。いつか絶対に。

そのためにも今はまだ冷静でいなくちゃ。動くべきは今じゃない。

そう言い聞かせながら無線へ返答する。


「了解。」

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