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マオマオくん裏地球に回される 1~今日もすこぶる平和です、悪い人もヒーローも仲良く遊んでいます~  作者: 楠本恵士
第五章・ご都合的な戦闘空間とド根性の銅色ロボットと姿が少し怖い怪人ヒーロー
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第三十三話・水浅木 音恩・参戦

 コックローチが、コバエに言った。

「コバエ、分身増殖だ」

「おおっ!」

 コバエがチェス盤の法則のように増えていく、一人から二人へ、二人から四人へ、四人から八人へ、八人から十六人へ……ワラワラと増えていく黒装束の忍者、背中にハエの羽を生やした忍者も空に群れる。

 ザ・ステンに変身した狂介が、増殖したコバエを指差して叫ぶ。

「増えすぎだろう!!」

 大量のコバエ発生に困惑している、緋色たちに背後から声をかけてきた者がいた。

「大量発生した忍者は、あたしたちに任せて」

 振り返ると、そこに格闘アイドルの音恩と一色が立っていた。

 マイクを握った音恩が言った。

「この間、路上ライブを邪魔されたから、ジャアクマンは放っておくと実害が出る」

 白衣コートの百々目一色が、片手をプラナリアのハンドパペット化させて言った。

「恒河沙が憩いの場にしている神社を、潰させはしない」

 そして、河骨は緋色たちを、仲間になりたそうな目で見ている。

 河骨の後方をよく見ると、いつの間にかジャアクマン側についた、メッキが棒を剣のように構えて桜菓を威嚇していた。


 コックローチが、正義のヒーローとは思えない言葉を発する。

「邪魔者を、抹殺しろ!」

 激突するヒーローたち。

 逆立ちした音恩が、足を広げて回転しながら増殖したコバエを蹴散らす。

「おっぴろげ竜巻脚!  口角あげていこう!」

 空中に舞い上がる、増殖コバエ。


 恒河沙に接近した本体コバエが、ドライバーを手に恒河沙に襲いかかる。

「バラバラにしてやる!」

 咄嗟にグリップカルテボードで、コバエをひっぱたき弾き飛ばす一色。

「恒河沙は、亜区野組織の大事な一員、手出しはさせない」

 一色の腕に目が並ぶ。

「邪眼、厄災……金ダライ連続落下」

 コバエの頭に落ちてきた金ダライが、金属音を響かせる。

 次々と落下してくる金ダライの山に、コバエは埋もれた。

 

 蛾の羽根を背中から生やして空中に浮かぶ、ドクガが痺れ燐粉を、地上の緋色と桜菓に向かって飛ばす。

 太モモのガンホルスターから宇宙銃を引き抜いた、緋色がかすむ目でドクガに向けて宇宙銃を連射する、発射された光弾は燐粉に乱反射させられる。

 膝を地面についた緋色が言った。

「宇宙銃を撃たせたら、緋色におまかせて……って、昔は言われていたのに銃の腕も落ちた……あのドクガをどうすれば」

 桜菓が言った。

「あたしに、考えがある……無限の魔法円に落とす」

 ドクガの頭上に直径二メートルほどの魔法円が現れる。同時にドクガの足下にも同じ直径の魔法円が現れ、ドクガは魔法円に挟まれた。

 身動きができなくなったドクガが言った。

「なに? これ? げふっ!」

 上の魔法円から出てきた、女の両足がドクガの頭を踏みつけて下の魔法円に落として、ドクガを沈める。

 同時にドクガを足で沈め上の魔法円から現れたドクガが、キョトンとした顔で言った。

「な、なにいったいどうなっ……げふっ」

 また、上からドクガが踏みつけて、ドクガを下の魔法円に沈める。

「自分で自分の頭を踏みつけ……げふっ」

 桜菓の魔法でドクガは、自分の頭を踏みつけ、自分に踏まれる無限を繰り返した。


 ゴクドーブレードを構える、ザ・ステンの前に土下座をして詫びているモスキートの姿があった。

「見逃してくれ、オレが悪かった」

 必死に頭を下げているモスキートに狂介は。

「とっとと、失せろ」

 そう言ってモスキートに背を向ける。

 その途端、土下座から豹変した表情のモスキートが立ち上がり、念動力で空中に浮かせたビリヤードの珠を。

 ビリヤードで珠を弾く棒──キューで背中を向けた狂介に向かって珠を弾き飛ばした。

「戦闘中に相手に背を向ける愚か者がぁ! その愚かさを地獄で悔いるがいい!」

 キューで突かれた球は狂介のメタルスーツに当たって弾かれる。

 ザ・ステンが横目で、モスキートを睨む。

「あんっ? 今、オレになにをやった」

 再び土下座するモスキート。

「事故だ、不幸な事故だ! 寛大な心で許してくれ!」

「ふざけるな!」

 銀河探偵ザ・ステンは、ゴクドーブレードの背でモスキートをボコッボコッにした。

「ぎゃあぁぁ! 悪かった、本当にオレが悪かった! だからもう一度、背を向けてくれ、ぎゃあぁぁぁ!」


 マダニのネジ巻き爆弾が、カッパーロボたちを取り囲む。

 マダニが嘲笑する。

「オンボロロボットどもが爆発で、バラバラになれ! ははははっ」

 三体のカッパーロボは、肩を組んで何やら会話をしていた。

「あれ、やるか」

「そうだな、リニューアルしてからは、初めてになるな」

「三体なら確実だな……ダニ野郎に見せてやろうぜ『転位回路』発動」

 肩を組んだカッパーロボの体が光り輝き、爆弾群の外にいたマダニと位置が入れ替わる。

 マダニに向かって、小さな足でチョコチョコ歩き迫る、ネジ巻き爆弾群。

 動揺するマダニ。

「な、なんでオレが自分が放ったネジ巻き爆弾に囲まれて? ひいぃぃ!」

 誘爆するコショウ爆弾の白い煙の中で、マダニは悶絶した。


 仲間が次々と倒されていくのを河骨の頭に座って、特大ハンバーガーを食べながら傍観していたコックローチが言った。

「チッ、役に立たねぇ連中だ……オレ一人じゃあ、河骨を操って走らせるコトはできねぇ、こうなったら河骨を自爆させて、町全体を吹っ飛ばすか」

 戦隊ヒーローのとんでもない呟きに、集まったヒーローたちは同時に。

「ふざけるなぁぁ!!」

 と、怒鳴る。


 河骨の頭から飛び降りてきたコックローチは、近くにいたメッキの足をつかんで振り回す。

 悲鳴をあげる老勇者。

「ち、ちょっと待て! オレ味方! ぐげぇ!」

 河骨の側面にブチ当てられ、意識を失ったメッキの体がコックローチの打撃武器と化す。

 コックローチの武器は現地調達だった、モノでも人でもその場にあったモノを利用する。

 ぐったりとしたメッキの体を、ヌンチャクのように振り回しながらコックローチが言った。

「止められるもんなら、止めてみろ。河骨の起爆スイッチはオレの腹の中にある」

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