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青いタヌキが地球を壊す

作者: 物部がたり

 未来からやって来た青いタヌキ型ロボットが活躍する国民的アニメを、毎週欠かさず観るほどにれいは好きだった。生まれる前の作品はDVDを借りてもらって沢山観た。

 だが、今は年に一度上映される劇場版を観るくらいで、アニメは観なくなった。嫌いになったわけではなく、観なくなっただけだった。好きなのは今も変わらない。


 ストーリー展開は青いタヌキ型ロボットが出す様々な秘密道具を通し、登場人物たちがハチャメチャな出来事を巻き起こす、お決まりの繰り返しだが、悪意のない夢と希望が詰まったエピソードは毎回安心して観ることができる。

 だが、中には考えさせられるエピソードもあり、まるで子供と一緒に観るであろう大人に向けて作られたと思われる話もあった。

 例えば、登場人物の男の子がタイムマシンに乗って過去に戻り、亡くなったおばあちゃんに再会する話。

 例えば登場人物の男の子が未来のお嫁さんを見に行く話。

 例えば、主人公のタヌキ型ロボットが未来に帰ることになる話。

 

 それらは数あるエピソードの中でもファン人気の高い話だった。

 そのような感動できる話も多いが、大きくなってから見ると中にはトラウマにならないまでも、うすら寒い恐怖を感じさせる話も少なくはなかった。

 れいの印象に一番残っているのは、青いタヌキ型ロボットが苦手なネズミをこの世から一匹残らず消し去るために、地球を破壊できる爆弾をポケットから引っ張り出した回だった。

 終始コメディ調の話だが、れいはその明るさの裏に潜むドス黒い闇を見た気がした。どうして地球破壊ができる爆弾など未来の人々は作ったのだろう、と。


 仮に抑止力のためだとしても、手違いで地球自体が破壊されたら取り返しがつかないのではないだろうか。それだけではなく地球破壊できる爆弾の上位互換に、銀河を破壊できる爆弾なるものも存在するという話だ。

 そこまでいくと“抑止力のため”という大義名分も怪しく思えた。

 人間の飽くなき好奇心の産物のようにれいは思った。

 それ以外にも、明るい物語の裏側にドス黒い闇が見え隠れする秘密道具が沢山登場する。道具は使う者によって善用も悪用でき、未来の人々はアニメの善良な登場人物たちには考えもつかないような方法で道具を活用しているのだろう。

 少なくともれいは、道具を善用する方法よりも、悪用する方法を多く閃く。もう純粋に観られないのだろう――。

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