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 次に描いたのは、神社仏閣巡りをしている記憶。甘い上質な檜の匂い。涼やかな社の空気。気を蕩かす程に居心地が良かった記憶。こんな凄惨な現場であるが、必死になって思い出す。

「よし。有難う」

 舞楽様はその発光する玉を問答無用で少女の心臓部に捩じ込んだ。光のない双眸に妖艶な光が宿る。清らかだった空気が淫らに蕩ける。あぁ、もう此奴は生まれ変わったのか……。

「お前はこの子の父親であり、恋人だな」


それからだった。雛鳥のように此奴が懐いたのは。一人で良いと言っていた癖に、存外甘えられるのは悪くなかった。俺の御魂が半数を締めているせいか、やたらと気が合う。まるで女になった自分と過ごしているようで、気が楽だった。

「御魂が一緒だから、やれる事もありますしね」

 親戚という間柄に加え、かなりの割合を俺の御魂が占めている。故、神々の視点で言えば同一人物が同一空間上に存在しているもんだ。同じ人間は、二人も要らない、片方が居ればいい。

 だが今こそは一緒だからこそやれる事をするか。そう思って三狐神様から鈴を下賜する。丁度その時一人の声が聞こえた。

「悪い遅くなった」

 がなりの効いた低音。女にしてはやや低めの声の持ち主は、息を上げて髪を搔き上げる。手首を返して音の鳴りを確認した後、再度彼女の方を見やる。

「凛さん。慧さんは?」

「遠くで待機してる。今は舞楽様の元にいる」

 凛さんは身の丈程の巨大な箱を背負ったまま、髪を払い除けた。手首の数珠が黒の中で良く映える。前はそれ、着けてなかったのに。凛さんは俺の視線を受けても、なんでもない様に腰を下ろした。ま、貴方ほどの手練なら素手でいけますでしょ。

相変わらず暴走してます。

何でも許せる方向けです。


久しぶりですねー!! 凛!!

抱き着くと、凄い顔でひっぺがす凛ちゃんですよー。

なんで何時もカリカリしているのは、恐怖心の裏返しです。可愛いですね。

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