再戦と過去
2022.11.26追伸
この章ではとあるキャラが男体化します。
苦手な方はご注意下さい。
鳥居を抜けた石階段のその先に、境内がある。木々に囲まれているせいか、何処か薄暗くも感じるが、私は存外気に入っている。毎日掃除してくれるし、大切に扱ってくれる。参拝者も来るしね。そう、上機嫌で畳の上で寝転んでいると、二人の男女が目に入った。
男の方は短髪よりやや長めの髪。瞳は切れ長。女の方は長髪に、丸こい双眸が輝いていた。
「おん? なんだ、別に珍しくもない人選だな。二人揃うのは、まぁ、珍しいが」
私は口を引き結ぶ様にしてニヤッと笑った後、境内から舞い降りた。男の方、誠也の顔に手を伸ばし、両手で包む。指の先が頬に触れるか触れないかという微妙な距離で、此奴は顔を強ばらせた。それから僅かに頬を紅くした。
「………っ」
全く、良い反応をする。暫くその挙動不審になった を楽しんだ後、女の方、ヨハネに向き直る。ん、このままじゃ可哀想だな。
私は気を使って一つ、術を使った。肩甲骨まであった、ふっさりとした髪が短くなる。細かった腕に筋肉が張る。所謂、男体化という奴だ。この姿は結構女性陣に人気があって、ヨハネの他、此奴の後輩である も良い反応をしていた。この姿を保ったまま、するっと髪を撫でる。閉ざされた口が半開きになり、頬が紅くなる。恋知らぬ少女が初めて一目惚れを知ったような反応。手を離して上機嫌で様子を伺っていると、拳を固く握り締めて、歯を食い縛った。
「…………っ。くそっ……いつ見てもドタイプ……。この姿ならぶっちゃけ何されても惚れそう」
「ははは。お前達はいつ見ても良い反応をする。やはり無理難題を押し付ける時にはこの姿になろう」
この誠也の反応、最初は分からなかったんですけど、(あ、感情的な意味は理解してます)後々分かってきました。
ヨハネと三狐神様と誠也の関係。
暗喩な上に、この物語としてもはっきりとした回答は出てません。
けれども誠也の夢は叶いました。
初恋が叶うって良いですよね。




