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想いの詩(仮題)

明け睦(むつ)

作者: 浮き雲

たまに、早起きをして散歩をします。

水平線が紫になって、その上に金糸雀色が重なります。その上はしらじらとした鈍い光の空になって、その境界から、まだ、灰色っぽい暗い空のてっぺんまで青が滲みはじめ、やがて、陽がのぼっ来てます。

穏やかな逆光の中、桜並木を降りていくと、まだ、黒々とした幹が、早朝の色彩のグラデーションに影絵のように浮かび上がって綺麗です。



外に()ずれば、未明あかときの 空には星の鮮やかで


目覚めぬ夜のみる夢に しばし見惚れて立ちすくむ



身を切るごとき風はなく 雲もほどけて消え失せて


晴れたる冬の小春日の その一日の思われる





道を歩めば、東雲(しののめ)は 海と空との境より


少し明りて、しらじらと 朝の近さを知らしめる



暁烏より、山鳩の 枝に止まりて、ただ、一羽


(いま)だ目覚めぬ人の世を ()かすがごとく鳴き始む





やがては、淡き紫の 匂うがごとき朱仄(あけほの)


東の海を打ち寄せる 波もしずかになりにける



砂を歩めば、靴底に 乾いた音の刻まれて


脈絡もなく、なお軽き きみのヒールを懐かしむ





日の出の頃は朝朗(あさぼらけ) 月は、夜のうち沈みゆき


有明(ありあけ)の中、消え残る こころにきみの偲ばれる



水平線の紫に 重なるごとき金糸雀(カナリア)


色を辿(たど)れば、まだ、暗き 空にも青の溶け入りぬ





明けぬ時刻を明けるまで (あした)歩けば、明けきれぬ


こころのうちを眺めつつ きみを想いているばかり




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― 新着の感想 ―
[一言] 街中に住んでいると、海から昇る陽を目にすることはほとんどありません。 果てしない水平線の先、海と空とが共に色変わっていく夜明けの時間というのは、さぞ美しいものでしょうか。
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