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4、期待と嘲笑
「おっはよう~」
るんるん顔のコウタロウくんは、大きなあくびを漏らしながら教室へ入ってきた。
クラスメイト相手に朝から大笑いをとっている。
素晴らしい能力だと思う。
「コウタロウ、朝っぱらからみっともないぞ。」
クラスのお父さんこと、タツヤくんのお叱りが降る。
身長差30㎝の2人が話している様子は親子のようだった。
「昨日、いっぱい勉強したら眠くてさ!!」
鼻息が見えるくらいに胸を張っている。
堂々と誇らしげに語る彼にクラス中から野次が飛ぶ。
「コウタロウが勉強って、課題やっただけだろ」
笑い交じりの野次に、クラス中が同意の声をあげる。
「違うって!昨日教えてもらったら、分かるようになったn「早く席につけ、コウタロウ」
先生が教室に入ってきて、ほんわかした空気が急激に締まる。
生徒たちが席に着き始める中、先生が近くの生徒にコウタロウが昨日勉強したらしいということを聞き、悪い笑みを浮かべた。
「今日の授業は楽しみだなぁ」
教室の前側に座る数人だけ先生が先生の呟きを耳にした。
ホームルームを始める先生はなんともいえない笑みを浮かべていた。