食料管理官の憂鬱な毎日 三日目
continet atque duas tantum res anxius optat,
panem et circenses...
今日は少しだけいい日だ。
食糧管理の仕事でいいことが一つだけある。
それは食糧の優先配給、昔風にいうならば、出来立てが食べられるということだ。
出来立ての配給パンは、時間が経ったそれよりかは幾分か美味しい。
勿論、上級職員が食べているそれよりかは圧倒的に味は落ちるが、まぁ定期的に訪れるこの日が楽しみになるくらいは美味しいのだ。
配給パンは、定期的に大量に製造して、それを配給する。市民に配給パンが配られるのは大体生産から一年後くらいだろう。
俺は、製造からすぐの物を、毒見として食べることができる。
因みに、俺の前任者は、その毒見でなくなったのだが。
何故毒見が必要かというと、理由は簡単だ。
配給パンの中に入っている、薬剤のせいだ。
この薬剤は、俺たちを”幸福”にしてくれる。
たしかこの配給パンの名前は、サーカスとか言ったっけ。
とにかく、このパンは、地球号に必要な物資で、入っている薬剤は日々改良されている。
その被検体でもあるのだ、俺は。
まぁ、俺は、この配給パンが食べられればそれでいい。それでいいんだ。