第7話 はじめての冒険
「なぁクロエ。つーことはそのインドラっつードラゴンがウンコするまで待たないといけないって事なのか?」
「う⋯うむ。まぁそういうことじゃな⋯」
俺たちは今、白銀龍【インドラ】が居るであろう東の山。【ファラウス山】に向かっていた。
もちろんクロエの背中に乗ってだ。
「俺ドラゴンのウンコなんて触りたくねぇんだけど⋯⋯」
「ロキよ。ドラゴンの排出物は人間のそれとは違うのじゃ。お主が思っとるような汚物ではない」
「そーなのか?じゃあクロエの排出物も何かしらの鉱石なのか?」
「馬鹿者っ!そんなデリカシーの無いことを言うでないわ!」
え?なんで俺今怒られたの??
何かまずいことでも言ったか???
いきなり機嫌が悪くなったクロエを見て疑問に思いながら、俺は内心ワクワクしていた。
なにせこれが俺にとってはじめての冒険なのだから!
「そーいえばロキよ。儂とお主はもう夫婦なのだ。そろそろお主のスキルについて詳しく教えてはくれぬか?」
クロエはずっと疑問に思っていたのだろう。
俺にスキルの事を聞いてきた。
「確かにそうだな。お前は俺のパートナーだし、教えてもいいか。だが俺もいまいち、よく分かってないんだよ」
そう。俺のスキル【レベルアップ】は謎が多すぎる。
なにせ詳細が一切わからないんだからな。
俺は、とりあえず今分かっていることをクロエに伝えた。
一つ、レベルとはおそらく、自分の全ての能力の事を指す。そしてスキルを使う事にレベル。つまり全ての能力が上がるのだろう。
一つ、スキルの常時発動という意味。これは俺の予想でしかないが、スキルを自動で使い続けているんじゃないだろうか。
つまり今現在も、俺のレベルは上がり続けているということだろう。
そう考えれば、この前のワイバーンを殲滅した時。
あれだけの魔力を使ったにも関わらず、俺はピンピンしていた。おそらくレベルが上がる事によって、魔力の総量も上がっているのだろう。
つまり実質、俺は無限の魔力を手に入れた訳だ。
あれ⋯⋯?そう考えたら、俺ってもしかしてすげぇんじゃね??
と、調子に乗ってみたりするが、これは全て俺の予想であって、事実そうなのかはわからない。
そうであって欲しい、という俺の願望だ。
「とまぁこんな感じだな」
俺はクロエに説明をして、反応を伺う。
「むぅ⋯それは多分願望ではない気がするのだが⋯⋯」
「え?なんて??声が小さくて聞こえねぇよ!」
「いや、なんでもない。お主のスキルについては大体分かった。礼を言うぞロキ」
「ま、まぁパートナーだからな。当たり前だ」
俺はすこし照れながら返事をする。
お礼を言われるのには慣れてないのだ。
「ロキよ。お主のスキルについては不明な点が多いが、お主の魔力が今も、凄まじい勢いで増えているのは事実じゃ。こんな魔力量を持っておる者は、お主以外に居ないであろう。だがお主はそれだけの魔力を扱う術を知らん。宝の持ち腐れというやつじゃ」
クロエは俺の魔力について説明してきた。
つまり、これだけの膨大な魔力を持ちながら、扱い方を知らないと。
「そんなこと言われても、魔力なんて使ったことないんだぜ?どーしろって言うんだよ?」
「心配せずともロキよ。儂が一から教えてやるから安心せい。魔力の扱い方さえ覚えれば、お主は誰よりも強くなるだろう。それだけの魔力を持っておるのじゃ」
クロエの過大評価に、俺は頬を緩ませる。
俺ってそんなに凄いんだ⋯⋯にひひ⋯
早く魔法とか使いてぇなぁ。
ファイアボール!!なんつってな!!あは。あははは!
そんなことを考えながら終始妄想していると、目的の山【ファラウス山】が見えてきた。
いかにも白銀龍が居そうな吹雪が吹き荒れている。
「ここに白銀龍【インドラ】が居るのか。そいつもドラゴンなら言葉通じるのかな?」
俺のふとした疑問に、クロエが答える。
「そうじゃな。ドラゴンは総じて言葉を喋れる。だが、喋るかどうかはドラゴンの気分次第じゃ。基本的に人間に口を開くことはない」
「そーなの!?でもクロエは俺に話しかけて来たじゃん!」
「それはお主がただの人間ではないと思ったからの。少し興味が湧いたのだ」
「なるほど。てことはインドラも、俺に興味を持ってくれたら、会話が出来るかもしれないんだな?」
「まぁ、可能性はあるだろうのぅ」
会話さえ出来ればこっちのものだ。
排便して下さいとお願いするだけでいいんだからな!
思ったより楽勝かもしれねぇな!
「ロキよ。お主まさか、排便して下さい。なんて頼もうとしてないだろうな?」
「へ?そのつもりだけど?」
「馬鹿者っ!ドラゴンにそんなことを言う奴がどこにいる!ドラゴンというのは誇り高い生き物なのだ。何よりプライドが高い。排便して下さいなどと言えば怒り狂うぞ!」
マジかよ!!いい作戦だと思ったのになぁ⋯⋯。
てことは、排便するまでじっと待ってなきゃいけないのか??
俺の考えていることが分かったのか、クロエが得意げな笑みを浮かべて言った。
「ロキよ。儂に任せておれ。いい考えがある」
そういって俺たちは【ファラウス山】に降り立った。
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