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第13話 魔法と魔力

 王都南の平原。

 つい先日、ワイバーンの大群を殲滅した場所。

 俺はそこで、クロエに魔法を教えてもらおうとしていた。


「早速じゃがロキよ。お主は魔法のことをどれくらい知っておるのだ?」


「全く」


 そう、全く知らん。

 村では魔法なんてものに触れる機会などなかったのだ。

 強いて言うなら、魔法の存在だけは知っていると言えばいいだろうか。

 俺の即答に、分かっておったと言わんばかりの表情で、クロエは丁寧に説明してくれた。


『魔法』とは、『魔力』を消費することで人知を超えた超常現象を引き起こす奇跡の技であると言われている。

 そして『魔力』とは、生き物全てが、初めから持っているらしい。

 それを自分の意思で操作することが出来る者が、『魔法』を使うことが出来るということだ。

 しかし、そう簡単に『魔力』を操作することなど出来ない。

 それどころか、自分の中に流れている『魔力』を認識すらできず、一生を終える者の方が遥かに多い。

 それほど『魔法』とは、才能が無ければ扱うことすら出来ない『奇跡の力』なのだ。


 そして次に、『魔力』には『属性』と言うものがあるらしい。

 主に、「地」「水」「炎」「風」「雷」の五属性があるのだが、それに加え、稀に「光」「闇」という珍しい属性を持っている者も居るらしい。

 そして、最も危険な属性。「死属性」と「無属性」というものがあるらしい。

 最後の二属性に関しては、太古の時代の歴代最強と言われた魔王と、その配下が持っていたらしいが、本当のところは分からない。

 その属性が本当にあるのかすら、分かっていないらしい。


 とまぁ『属性』の種類はこんな感じで、その『属性』毎に使える『魔法』は当然違う。

 そしてまず、自分の魔力が何属性なのかを調べなければならないのだが、クロエが既に調べてくれたらしい。


「ロキよ。残念ながら、お主の魔力は無属性じゃ」


 え⋯⋯?一瞬思考が停止する。

 そして思考が回復するのと同時に考えた。

 無属性っていったら激レア中の激レアじゃないのか?

 それなのに残念というのはどういう事なのだろうか?

 訳が分からないといった表情でクロエに問いかける。


「無属性つったら激レアじゃないのか? それがなんで残念なんだ?」


 するとクロエは、ゆっくり目を閉じて開くと、俺の目を見つめて口を開いた。


「ロキよ。無属性というのは確かに激レアじゃ。まず儂が生きてきた中で持っとる奴は居なかった。

 じゃが、それは無属性の魔法を使える者が居ないということじゃ。つまり、ロキに魔法を教えられる者が居ないのじゃ」


 落胆。俺の心境はこの二文字で表せる。

 つまり俺は、膨大な魔力を持ち、無属性という激レアな属性を持っているにも関わらず、魔法一つも使えないという、なんとも残念すぎるだろ⋯⋯。


「じゃがロキよ。まだ落ち込むのは早いぞ」


 そうクロエが言う。

 曰く、『魔法』が使えずとも、『魔力』を使うことは出来るという。

 つまり、自分の魔力を操作することが出来れば、色々と出来ることが増えるらしい。

 それに、膨大な魔力を持っている俺は、魔法など使わなくても、魔力だけで相手を圧倒できるらしい。

 要は使い方なのだそうだ。

 それを聞いて、すこしはやる気になった。

 魔法が使えないのは残念だが、今は少しでも強くならなければならないのだ。


「クロエ、よろしく頼む」


 俺の決意を感じ取ってくれたのか、クロエは笑みを浮かべながら頷いた。


 それからは、クロエの指南のもと、毎日魔力操作の練習に励んだ。

 と言っても、そこまで難しいものではなかった。

 自分の中の魔力を感じ取ることが出来れば、あとはそれを自由自在に操作するだけだ。

 大事なのは使い方。

 俺は魔力の様々な使い方を学んだ。

 一週間という短い期間で、どれだけ成長できるか。

 俺は武闘会に勝って、Sランクにならないといけない理由があるのだ。

 それに、あいつが出てくるなら、次は負けられない。

 そんな思いを抱きつつ、時間はすぐに流れていき、あっという間に武闘会当日。

 俺はギルドの受付を済まし、闘技場の控え室に来ていた。


「いよいよか⋯⋯」


 緊張しすぎて吐きそう⋯⋯。

 一回戦目は確か、Aランク冒険者だったな。

 初っ端からAランクとか⋯⋯。

 大丈夫かな、俺。

 そんなことを考えていると、コンコン。とノックする音が聞こえてきた。


 「どうぞ」


 俺がそう言うと、ゆっくり扉が開き、幼女の姿のドラゴン。クロエが入ってきた。


 「ロキよ。調子はどうじゃ? 緊張しておらんか?」


 「無茶苦茶緊張してます⋯⋯」


 クロエが心配して聞いてきたので、俺は正直に緊張していることを伝える。

 するとそれを聞いたクロエは、一瞬目を点にしたかと思うと、いきなり笑い始めた。


 「ロキよ。お主はやはり愉快な奴じゃのう」


 そう言ってクロエは俺の頬に手のひらを伸ばし、優しく撫でる。

 クロエの魔力が俺の中に流れ込んで来るのが感じられ、少し緊張がほぐれた。

 緊張をほぐしてくれたお礼を言い、深く深呼吸すると、ちょうど放送が鳴り響いた。


『只今より、武闘会第一試合を始めます』


 「行ってくる」


 俺は闘技場中央の広場へと向かう。

 広場に入場すると、一万人は居るであろう観客達が一斉に喚き出す。

 すごい数の観客だ。

 さっきクロエに緊張をほぐして貰ってなかったら、ガチガチに固まって動けなくなっていただろう。

 そして前を見ると、対面のゲートから対戦相手が入場してきた。


『さぁ選手が入場した所で、早速始めましょう!

 武闘会第一試合。Fランク冒険者ロキvsAランク冒険者アウラ。試合開始です!』


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