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第12話 決意と覚悟

「詳しい話を聞こう」


 俺はおやじさんの話を聞くことにした。

 おやじさんは、そんな俺を見てニヤリと笑い、口を開く。


「お前さん、魔界って知ってるか?」


 口を開くや否や、俺の知らない単語を口にするおやじさん。

 マカイ?なんだそれ?また鉱石かなにかなのかな?

 隣で未だに膝を抱えて落ち込んでいる幼女を見る。


「クロエ、お前知ってるか?」


 すると目に涙を溜めながら、こちらにゆっくりと顔を向けるクロエ。

 涙を拭い、鼻水を啜って、クロエはゆっくりと口を開いた。


「うむ⋯⋯。知っておる⋯⋯」


 流石はクロエ。

 伊達に長生きしてないということか。

 クロエの説明によると、魔界とは魔物が蔓延る異世界なのだそうだ。

 そしてその魔界に魔王は居るらしい。


「おいおい⋯⋯。その魔王がいるっつー魔界に行けってことか⋯⋯?」


 どう考えても駆け出し冒険者にする依頼じゃねぇだろ!

 と言っても、オリハルコンが足りなかったんだから、弁償するにはこの依頼を受けるしか選択肢はないんだが⋯⋯。

 すると俺の質問に対して、おやじさんは首を横に振る。


 「最終的には魔界に行ってもらうが、まずは冒険者ランクを上げないといけない。魔界に行くためには、冒険者ランクSにならないとゲートを通してくれないんだ」


 なるほど。つまり魔界にはいずれ行かなくてはならないという事か⋯⋯。

 いやめっちゃ怖いんですけど⋯⋯。

 なに魔界って。しかもSランク冒険者じゃないと行けない場所って、相当危険ってことだよな!?

 行きたくねぇ⋯⋯。

 チラッとクロエを見ると、クロエは俺の顔を見るなり、言いにくそうに口を開いた。


 「儂もあまり詳しくないのじゃが、魔界というのははっきり言って地獄のような場所じゃ。魔物の数、強さ、それに環境の過酷さ。気を抜けば一瞬であの世にいけるような場所じゃ」


 絶対行きたくないんですけど!?

 いや分かってるよ?嫌でも行かないと弁償出来ないからね?

 くそぅ⋯⋯。あの時オリハルコンの剣を見つけなければ、こんなことにはならなかったのに⋯⋯。

 オリハルコンの剣を折ってしまったことを猛烈に後悔しながら、俺は魔界に行く覚悟を無理やり決める。


 「覚悟は決まったようだな」


 俺の覚悟を感じ取ったのか、おやじさんはそう言って本題に入った。


 「まず依頼というのは、魔界でしか手に入らない『魔鉱石』という鉱石の入手だ。ちなみに分かっていると思うが、オリハルコンより貴重で価値のある鉱石だ。その分入手難易度は⋯⋯言うまでもあるまい」


 入手難易度Sランク以上。

 魔界に行くだけでSランクの資格が必要なんだ。

 おそらく入手難易度は最上位だろう。

 おやじさんは続ける。


 「そして肝心の魔界に行くためにはSランク冒険者の資格がいる訳だから、まずはそこを目指してもらう」


 Sランク冒険者。

 冒険者のトップに位置する者達。

 そしてさらにその上に位置する者達が『七星剣』。

 七人の選ばれし者達。

 その中の一人が、あの男だ。

 そして最強の男『勇者』。

 ちなみに今の俺はFランク。一番底辺の駆け出し冒険者だ。


 「ランクを上げるためには何をすればいいんだ?」


 俺はおやじさんに訊ねる。

 というのも、ランクはクエストをこなして実績を積んでいくことで上がっていく。

 それは冒険者登録のときに説明を受けたから知っているのだが、俺が知りたいのはそういうことではない。

 そんな俺の意図が伝わったのか、おやじさんは微かに笑みをこぼしながら口を開いた。


 「手っ取り早くランクを上げるには、自分の実力を見せつけるのが一番早い」


 「と言うと?」


 「一週間後、一年に一回の武闘会が開かれる。そこで優勝すれば、Sランク冒険者になれるかもしれねぇ」


 そんな催しがあるのか⋯⋯。知らなかった。

 ていうか優勝なんて出来るのか⋯⋯?

 俺冒険者になったばかりなんですけど。

 ま、優勝出来なかったら地道にクエストこなすか。


 「ロキなら必ず優勝出来るから安心せい」


 クロエがいきなり自信満々といった態度で言う。

 なにを根拠にそんなことを⋯⋯。

 いくら【レベルアップ】があるからって、力ではどうしようも出来ないことがあることを、思い知らされたばかりだというのに。

 と、俺は思い出したように顔を上げる。


 「その武闘会、七星剣も参加するのか?」


 「どうだろうな。分からないが、参加してくる奴もいると思うぞ?」


 「そうか」


 もしかしたら、あいつが参加してくるかもしれない。

 俺はそんなことを考えながら、自分の手のひらを見る。

 もっと強くならないと。

 あの雪山での戦いを思い出しながら、俺は強くなることを決意する。


 武闘会まであと一週間。

 時間がないな⋯⋯。

 俺は焦る気持ちを落ち着かせ、一度深呼吸する。

 そしてゆっくりとクロエに向き直り、真剣な表情で口を開く。


 「クロエ、俺に魔法を教えてくれ」


 それを聞いたクロエは、待ってましたと言わんばかりの表情で頷く。


 「そう言うと思っておったぞ。ロキよ」


 そうして俺は、クロエに魔法を学ぶため、武具屋を後にした。



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