表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/4

第1話 謎の固有能力【時空リセット】を手に入れた

15歳の誕生日を迎えた朝。

俺ことルイスはベッドから身体を起こすと……早速、自分のステータスを確認することにした。



15歳になった人間は、誰しもが「神の加護」と「固有能力」を手に入れることとなる。

そしてそれは、人生において最も重要だと言えるイベントだ。


その理由は単純。

どんな「神の加護」と「固有能力」が手に入るかは、自分がどんな職業に就けるかにダイレクトに影響するからである。


「どうか……★3以上の神の加護、そして固有能力は【賢者の素質】とか【剣の神】とかが手に入ってますように」


俺はステータスオープンをする前に、両手を合わせてそう祈った。



なぜ俺は「★3以上の神の加護と、【賢者の素質】や【剣の神】などの固有能力」を欲しいと思っているのか。

それには、俺が憧れている職業が関係している。



俺がなりたいのは……「迷宮探索者」という、ダンジョンを攻略して深層を目指していく職業だ。


なんせ、単純に「迷宮探索者をやってる」って、カッコいいからな。

ダンジョンには、まだ誰も到達したことのない『最深層』がどこかにあり、そこには『伝説の宝』が眠っていると言われている。

そこを目指すのは男のロマンであり、俺を含め多くの人にとっての憧れなのだ。


だが……この職業は、誰でもがなれるわけではない。

なぜなら、この15歳の誕生日で強力な「神の加護」と迷宮探索者向けの「固有能力」が手に入らなければ、実力不足でどうあがいても浅い階層で挫折することになってしまうからである。


だからこそ……最低限、★3の神の加護と、戦闘能力を高める系統の固有能力が1つは欲しいのだ。



さて……俺は実際、そういった加護を手に入れられているのか。

早速、確かめてみよう。



―――――――――――――――――――――――――――

ルイス

Lv.1

HP:10/10 (1×10)

MP:10/10 (1×10)

物理攻防力:10 (1×10)

魔法攻防力:10 (1×10)

固有能力:時空リセット

加護:アマテラスの加護(★★) Lv.1 【全ステータス x10】

―――――――――――――――――――――――――――

※()内……ステータスの内訳(基本ステータス×神の加護)



そして……ステータスを確かめた俺は、落胆するより他なかった。


加護、★2。

これは、「迷宮探索者には向いてない」という現実を突きつけられたようなものである。


加護は★の数によって、ステータスの上昇倍率が変わるのだが……★2の上昇倍率である【全ステータス x10】というのは、ぶっちゃけショボい。

一般的には、この加護を持つ者では、どんなに努力しても8階層以上は全く進めなくなると言われているのだ。

既に知られているだけでもダンジョンは20階層以上あることと比較すれば、これがどれほど中途半端かよく分かるだろう。


ちなみにステータスを見ても分かるように、加護にもレベルというものがあり……★2のLv.2の加護の場合、ステータス上昇倍率は★3Lv.1の加護と等しくなる。

こう言うと、加護の★が低くても希望があるようには聞こえるが……実際は加護のレベルというのは生涯に1〜2上がるかどうかという程度であり、はっきり言って当てにできるようなものではない。



それに、だ。

加護だけでなく、固有能力も酷いものである。


俺の加護、【時空リセット】って……こんなもの、絶対戦闘の役に立たないではないか。

というか、そんな固有能力があるなんて聞いたことも無いぞ。


手にした固有能力がこんな得体の知れないものとあっては、迷宮探索者どころか普通の職に就けるかさえ怪しいものである。


「マジかよ……」


お先真っ暗な現実が受け入れられず、頭が回らない。

俺の15歳の誕生日は、そうして最悪の気分で迎えることとなった。







それから……3年とちょいの月日が経った。



結局俺はこの3年間、迷宮探索者として活動していた。

諦めが悪かったのと、「固有能力が正体不明のものだったため、他に特に向いてる職が無かった」というのが、その道を選んだ理由だ。


そして……一般論の通り、俺は8階層で挫折することとなってしまった。

それまでは、あの手この手で亀のような歩みでも進み続けてこれたのだが……8階層に来てから、魔物を全く倒せなくなってしまったのである。


結果、俺はダンジョン8階層の安全地帯にある街で、余生を過ごさねばならないことがほぼ確定してしまった。

ダンジョンは、一度先の階層に進んでしまうと、特殊な方法を使わない限り二度と帰還できない仕組みになっているからである。


「クソみたいな人生だったな……」


そうぼやきながら、俺はステータスを開いた。


―――――――――――――――――――――――――――

ルイス

Lv.15

HP:210/210 (21×10)

MP:170/170 (17×10)

物理攻防力:500 (20×10×2.5)

魔法攻防力:200 (20×10)

固有能力:時空リセット

加護:アマテラスの加護(★★) Lv.1 【全ステータス x10】

装備:鋼の剣(★) Lv.6【物理攻防力 x2.5】

スキル:初級炎魔法Lv.6

    初級回復Lv.6

    初級割合ダメージLv.6

―――――――――――――――――――――――――――



確かに、3年前に比べれば、俺のステータスは見違えるほど上がった。

装備やスキルも手に入れ、ステータス欄は結構豪華になった。


だが……それだけだ。

そんなものは、「これ以上先の階層には進めない」という事実の前には、ちっぽけなものに過ぎないのだ。



……などとしみじみと思いながら、俺はしばらくの間、ステータスを眺め続けた。

そして……ふと、俺の意識は固有能力【時空リセット】に向かった。



時空リセット、か。

正体不明の能力だから、ずっとその存在を無視してたけど……これ、使ったらどうなるんだろうな。


もしかして、これを使ったら、15歳の誕生日に戻れたりでもするんだろうかな。


まあ、戻れたところで何なんだって話ではあるがな。

どうせ人生そこからやり直したところで、またここでつまづくだけなんだし。


でも……この現実を体験した今の俺が15歳に戻ったら、迷宮探索者になることだけはスパッと諦められるだろうな。

そして……もしかしたら、他の職業を模索してるうちに何か天職に巡り合って、ささやかな幸せを手にしているかもしれない。





……そんなことを考えてたら、なんか本当にできるか試してみたくなってきたぞ。

やれることを全てやり尽くした今、あと残されている未知の可能性なんてそれくらいしか無いんだしな。


ちょっと、ものは試しでやってみるか?

ここまでしか来れないと分かった以上、たとえ3年前に戻ってしまったとしても後悔は無いだろうしな。


そう思い──


「時空リセット」


俺はそう唱え、固有能力を発動した。

そして……俺の視界は暗転した。





目を覚ますと……そこには、懐かしい光景が広がっていた。


間違いない。

ここは、俺が15歳を迎えた日の……地上のベッドの上だ。


「……本当に……戻ってきたのか?」


半信半疑ながらも……まず俺は、自分のステータスを確かめることにした。


―――――――――――――――――――――――――――

ルイス

Lv.1

HP:10/10 (1×10)

MP:10/10 (1×10)

物理攻防力:25 (1×10×2.5)

魔法攻防力:10 (1×10)

固有能力:時空リセット

装備:鋼の剣(★) Lv.6【物理攻防力 x2.5】

加護:アマテラスの加護(★★) Lv.1 【全ステータス x10】

―――――――――――――――――――――――――――



すると……俺のレベルやスキルは完全にリセットされ、15歳の誕生日当初のものとなっていた。

やはり、固有能力【時空リセット】は、そういう能力だったようだ。

一つ違うことがあるとすれば、装備品だけはなぜか持ち帰れているということだな。

まあ、あっても無くても変わらないような、些細な違いである。


「本当に……人生、やり直しになったんだな……」


実感が湧かないなと思いつつ、俺はそう呟いた。


……さて、じゃあ第2の人生、どういう計画で進んでいこうか。

戻ってきてはみたものの……その点、全く考えてなかったな。


一旦欠伸をして、またステータスに目を戻す。

当然、そこには初期状態の俺のステータスがある……と、思ったのだが、そこで俺は初めて異変に気づいた。


―――――――――――――――――――――――――――

ルイス

Lv.1

HP:10/10 (1×10)

MP:10/10 (1×10)

物理攻防力:25 (1×10×2.5)

魔法攻防力:10 (1×10)

固有能力:時空リセット

装備:鋼の剣(★) Lv.6【物理攻防力 x2.5】

加護:アマテラスの加護(★★) Lv.1 【全ステータス x10】

<新着通知:アイテムボックスに「次元結晶」が届きました>

―――――――――――――――――――――――――――



ステータスの最後の一行に、俺は目を疑った。


……は? 次元結晶?

一体、何のことなんだ?


予想だにしない出来事に驚きつつも、俺はとりあえずアイテムボックスを表示してみることにした。

そしてそこに、俺は見たこともない宝石のようなアイコンを見つけたので、それをタップして説明を開いた。


すると……こんな説明文が表示された。



【次元結晶】

時空リセットの対価として手に入る神秘の結晶。

時空リセット時にダンジョンのより深い階層に潜っているほど、貰える量は多くなる。

この結晶は、神の加護のレベルアップに用いることができる ◼️




……は?

神の加護が……レベルアップする、だと?

通常、一生に1上がるかも分からない、あの「神の加護」のレベルが!?


衝動で書き始めてしまいましたが、リアルが忙しいのでしばらくは隔週火曜更新とします……。


ある程度落ち着いた時期になったら、毎日更新しようと思います。

今は評価受付停止してますが、その時期が来たら受付再開します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ