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いつか醒める久遠  作者: Ayuwan
エピローグ
33/36

最終話 永久不変

これで最終話となります。


よろしくお願い致します。

 ──────────


 ─────


 ────


 ……………。


 …………。


 ………。




 ──視界のない暗闇の中。俺は意識が戻るのを感じていた……また、何かの夢を見ていて、ああ、今、目が醒めているんだな……そんな感覚を感じている。


 同時に最近こういった状況に陥る機会が多いな……そう思い、心の中で軽く失笑した。


 ──そっと目を開けてみる。


 ───


 そこはまだ暗い闇の空間だった。


 そして狭い。その空間の中で、俺は仰向けになっていた。


 そう感じた瞬間。正面上方から何か、プシュッと蒸気が吹き出すような音が聞こえてきた──次に正面の、おそらくは扉がゆっくりとせり上がっていく。

 隙間から光が差し込んでき、やがて、それは完全に開ききった。


 ───


 ──外部から匂いが感じ取れる。医療施設などで漂っている消毒液やなんらかの薬品……そんな独特の匂い。


 身体は特に異常は感じ取れない──俺は上半身を起こした。


 どうやら何かカプセル状のような物に入っていたようだ。身体には真っ白な患者衣のような衣服を身に纏わされている。


 俺はこの体勢のまま周囲を確認した。


 あまり広くはない飾り気の一切感じない機械的な部屋。所々にコンピューターやパソコン。大きなモニターや伸びる多数のケーブル線。そして何の用途の為なのか、その知識もない数々の器具達。


 かつての夢の中の俺であれば、ここはまるで、SF映画でよく目にする研究機関の一室。そう思わせる様な無機質な光景が広がっていた──


 ───


 そこでひとつ何か違和感を感じる……そう、ここには人の気配が全く感じられない。それに何故か、部屋全体が少しくたびれているような……そんな気がした。


 その証拠に部屋の中にあるたくさんの器機、そして床に至るまで、長い間放置されていたかの如く、白っぽい埃がまるで雪のように薄く積もっているのが確認できた。


 実際、この場所は誰も立ち入る事なく、無人のまま放置され続けていたのかも知れない。


 今度は横を振り向いてみる。


 今、俺が入っているカプセル状の物が、少し間を隔てて設置されている事に気付いた──同一形状のカプセルが横に並んでいる。

 俺のと合わせて部屋に並列に設置された、計三つのカプセル。


 俺の隣、つまり中央のカプセルは、まだその扉を閉じている。そしてその隣、すなわち端のカプセルはすでに扉が開いていた。


 その中は既にもぬけの空、つまりは無人である事は、この場所からでも容易に確認する事ができた。


 ───


 あいつは……もう──行ってしまったか……。


 ───


 俺はカプセルを出て立ち上がる。その時に右手の中に何かを握り締めている事に気付いた……だが、確める事はしない。


 何故なら、何を手にしているか既に知っているから──


 俺は隣のカプセルに近付いて行く。そしてその前に立ち止まった。


 それに反応するかのように、カプセルの扉がせり上がる。


 中には長い黒髪の女性が、瞳を閉じ、静かに眠っていた。


 ──少しのあどけなさが残る美しい顔。穏やかに、そして健やかに眠るその表情。


 小さい頃からずっと一緒にいた幼馴染み──



 ──見慣れた大切な人だ。



 俺は身を屈め、彼女の唇にそっと自分の唇を重ねた──


 やがて彼女は薄く目を開く。


 ───


「確か、寝坊すけの戦乙女は、唇にキスしなきゃ、目が覚めないんだったよな──?」


「……なんか違ってる様な……まあ、でも取りあえずは良くできました。にじゅうまるです──」


 俺の問い掛けに答えながら、彼女は上半身を起こす。そして俺を視線に捉え、ニコッと笑顔を向けてくる。


 大好きな彼女の笑う顔。その笑顔に向かい、俺は声を掛けた。



「──おはよう、久遠(くおん)。良く眠れたか?」


「おはよう、(こう)。うん、良く眠れたよ──」



 俺は彼女の頭に手を伸ばす──黒髪を手で掬い上げ、そして右手の中にある物でその髪を止めた。


 彼女は自分の頭に付けられた物にそっと手を添える。それが何であるのかを、既に彼女は気付いている様子だった。

 

 再び彼女は俺へと、にっこりと微笑む笑顔を向けてくる。俺はその手をゆっくりと離した……そして目に入ってくる物。


 久遠の頭に付けられたピンク色の花。



 ──スターチスのヘアピン──



「ふふっ、『永久不変』──ずっと変わらない……私達は、小さい時からずっと一緒にいたんだね──」


「ああ、ずっと一緒だ。そしてこの先、どんな世界が広がっていようと、お前が俺の傍にいてくれる限り、俺達は、ずっと何処までも生きて行ける──!」


 俺達は互いに手を取り合い横に並び立った。


 ───


「さあ、行こう─!!」


「──うん!!」



 これから先、俺達ふたりはずっと、一緒に歩き進んで行く──そしていつか辿り着くだろう。


 ───


 部屋の出口は壊れていて、反応がなく、開く事ができなかった。俺は能力、青い光によって、それを強引に破壊する──


 その時、破壊された扉の外側から、目が眩むような、目映い光が溢れるように差し込んできた。


 俺達ふたりの道を指し照らす光──何故だか、そんな連想を抱いた。


 その光の中へと、俺達は手を繋ぎながら進んで行く。


 ───


 ──さあ、探そう! そして見付け出そう! ふたりの──




 ──『醒める事のない。久遠の世界を』──



 ──そう。


「俺達は──」


「私達は──」



 ──『永久不変』──




 ──『ずっと変わらない。ずっと一緒』──




 真っ白な空間にピンク色の花。





     挿絵(By みてみん)





                 fin.  




  







 これでこの物語は完結となります。初めての投稿でしたが、なんとか終わらせる事ができました。


 正直、自分の脳内妄想を上手く文章にできたか、余り自信がありません。幾分ど素人なもので──


 もしもこの小説を読んで下さり、少しでも面白いと感じて貰えたのなら自分としては嬉しく思います。


 それではまた近いうちにでも。


 ……これって現実恋愛じゃなくて異世界恋愛だったんじゃ……まあ、いいのかな(苦笑)

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