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才能

「……え?……な、何が起きたの?」


スハナが目を開けると目の前に先程の赤髪の男がライガーの胸を水色の剣で突き刺していた。それも何の防具も武器も持っていなかったのに突然現れた水色の剣が目の前にあり、先程までは自分の反対側で座っていたのにも関わらずほんの一瞬目を閉じると後ろに回っていることに鳥肌が立った。


「魔物を倒した、ただそれだけだ。」


令は当たり前のように言う。


「いやいやいや!!そんな簡単なことじゃないですよ!このライガーは確かにDランク魔物で上級冒険者なら倒せます。しかしこの森の中では木や草で見つけづらく、さらに足場が悪いため簡単には倒せませんよ!!」


「何だっていいじゃねえか。お互い無事だったんだから。」


スハナは令の挟んだ言葉を無視して話し続けた。


「そして1番謎なのが僕があなたを見たときには確かにその水色の剣はなかった。のにも関わらず突然現れたその剣はどういうことですか?」


「…冒険者なら情報の大切が分かるはずだよな?自分の情報を簡単に話すと思うか?」


急に令の真面目な顔を見て、スハナははっと我に返った。


「あ、あ…ごめんなさい!」



「……ま、特別に教えてやるよ。」


「え!?いいんですか!?」


「あぁ、そんな隠すほどのもんじゃねえからな。」


そう言うと令の右手の周りに魔方陣が浮かび上がる。


「えっ!?ま、魔法陣!?」


スハナは剣を令の一部に隠していると思っていたため、驚きが隠せない。そして同時に疑問が浮かんだ。魔法を発動して何をするのか?魔法は本来自然の力を操ることしか出来ず、火魔法なら火を操ることしか出来ず、武器を創ることは出来ないからだ。


令の周りに浮かんだ魔法陣は水色に光り発動した。


ヒューヒュー


凍えるほどの冷たい風が渦巻き状に令の手元に集まる。すると徐々に氷の柄ができ、数秒後には氷の剣先が出来た。


「ま、こんなもんだ。」


「えぇ!?そ、そんな馬鹿な!!魔法で武器が出来るなんてあり得ない!!」


この世界の人間の常識では魔法で武器を創ることは不可能なためスハナはひどく驚いた。


「あぁ…、お前らは知らなかったんだっけ?…スキル持ちの魔法は使えば使うほど熟練度っていう経験値が溜まっていくんだ。そしてある一定の基準を超えると新しい魔法を覚えていく。さらに熟練度を溜めると武器が創れるようになり、さらに熟練度を溜めれば魔法生物を創れるようになるらしい。ま……俺はまだ武器生成までしか出来ないんだがな。」


坦々と令は話していくのに対してスハナはとんでもないことを聞いたような顔をしていた。


「ええぇぇぇぇーーーー!!!!そ、そんなこと初めて知りましたよ!!こ、これは大発見ですよ!!魔法で武器が創れて、さらには魔法生物!?そんなものまで創れるなんて誰も知りませんよ!!」


大きな声で驚くスハナはここが魔物が潜む場所、シーリアスということを忘れているようだった。


「おいおい、お前そんな大きな声で叫ぶとまた魔物が来るぞ。」


「あ!す、すいません!!」


「取りあえずここから離れるぞ。」


令は氷で出来た剣を手から離した。すると氷で出来た剣が地面に落ちる前に消滅した。それを見たスハナは今日で何回目の驚きをしたのか分からないが何度目かの驚きをした。


           :

           : 

           :


「さて、ここならゆっくりと話せるな。」


令とスハナが来たのはマナリィ王国の中にある草原エリアだ。ここは見渡す限り草原が広がっており、そこにはテーブルやイスが設置されていて、住民が休憩所として使う場所である。そこで令は1本のベンチにもたれかかっている。そして横にスハナが背筋をピンと伸ばして座っている。


「あ、あの…あなたは何者なんですか?」


スハナは素朴な疑問を令に問いかける。令はスハナの方へと顔一切動かさずに落ちていく夕日を見ながら口を開く。


「何者…か。別に大したもんじゃねえよ。」


「いやいや!魔法で武器を創るなんて誰も出来ませんよ!!」


「武器を創れるようになるのは意外と簡単さ。魔法系のスキルを持っているならずっと魔法を発動しまくればいいんだ。そのうち熟練度が溜まっていつの間にか武器を創ることが出来るようになる。」


「ずっとってどれくらいですか?」


「そうだなぁ…、俺の場合は魔法を複数発動させて1秒に20個くらい発動してたからなぁ。だいたい1週間ってとこだな。」


「1秒に20個ですか!?しかも、それを1週間なんて魔力が足りませんよ!!それに複数発動させるなんてあの魔道師と言われたカルメロンドしか出来ない技術ですよ!!」


魔道師、カルメロンドとは100年前に生まれた魔法使いのことである。カルメロンドは数々の魔法系のスキルを持ち、才能に恵まれていただけでなく血のにじむような努力をして魔法の複数発動を成功させたものだ。しかしそんなカルメロンドも2つ同時に発動させることしか出来なかった。

しかし令は同時に20個の複数発動が出来るのはスキル《複数発動》のお陰である。


「ハハハ、その通りだな。ま、俺以外の人間がそんなことすることが出来る奴なんざ、いないだろうな。……そういやお前さっきから詳しいな。魔法に関してもカルメロンドのことにしてもなかなか知るものは少ないぞ。」


「え、えぇ、まぁ。……僕の夢は世界一の冒険者になるのが夢だったんです。」


スハナは恥ずかしそうにそして哀しそうに言う。

令はスハナの顔を見た。


「だった?」


スハナが言ったことが過去の話であったことに疑問を感じて聞いた。


「…はい。僕は世界一の冒険者になるのが夢でしたがそれは冒険者になったときに打ち砕かれました。……僕は……才能がないんです。」


悔しそうに歯を食いしばりながら嘆いた。


「才能?……つまりスキルのことか?」


「…はい。」


「どんなスキルなんだ?」


「………僕のスキルは…転写です……。」


「は?……わりぃ、何だって?」


「だから転写ですよ!目に映るものを紙なんかに写らせることが出来るゴミスキルですよ!!」


「……。」


令は口を閉じた。


「ハハハ、笑ってくださいよ。こんな使えない業務なんかでしか使えないスキル持ちが冒険者なんかつとまるわけないって……。」


スハナはうつろな目をしながら笑う。


「そりゃあ、笑えませんよね。…こんなスキルでも資料をたくさん用意するときに役に立つって言われてるんですけどね。やっぱり僕には冒険者なんか向いていないって言っ「おい、お前さっきから勘違いしてるぞ!」てくだ…さ……い…。……え?」


令が突然口を挟んだ。それも興奮したようにスハナに言う。


「僕が何を勘違いしてるって言うんですか!?」


「お前のスキルはチートだ!!」


「ちーと?」


「あぁ、…そのスキルを使えばお前に敵う相手はほとんどいなくなるだろう。」


「……え?な、何を言ってるんですか?そんな気休めにもならない言葉はやめてください!!」


「これは気休めでも嘘でもない真実だ!!……いいか?そのスキルはラノベで出てくる最強のスキル、コピー能力だ!!」

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