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圧倒的力の差

「マーレイ様が一瞬で倒されるなんて馬鹿な!!」

「マーレイ様…。」

「あ、あいつ化け物か!!?」

「信じられない…。」

「に、人間なのか!!?」

「クソぅ!!」


ヴァンパイアたちは皆マーレイが一瞬で倒されたことに動揺し混乱を招いていた。すでにほとんどのヴァンパイアたちは恐怖で戦意はなくなり、ほとんどの者が逃げた。

そんな中、未だ逃げずに戦意を持つ者がいた。

それが五大吸血鬼の1人であるヴバとマーレイの部下であったタティオルのふたりだ。


「…お前らは逃げなくていいのか?」


冷たい口調で令はふたりに忠告する。今逃げれば命は助けるが戦うことになれば必ず殺すことになると宣告しているのだ。


「俺は強い奴と戦いたいだけだ!!マーレイよりも強い奴、初めて見る!!楽しみ!!」


ヴバはその巨大に似合わない明るい口調で子供のように喋る。今にも戦いたいが始まりそうなときタティオルが口を開く。


「…俺は別に貴様と戦いたいわけではない。負けるのは目に見えているからな。」


「ほぅ…、その方が俺としても助かるわけだが、ならなぜ逃げずにここにいるんだ。お前の目的は何だ?…そもそもヴァンパイアならなぜお前は赤色の瞳ではなく緑色の瞳なんだ?……お前は本当にヴァンパイアか?」


令の言うとおり、タティオルはヴァンパイアの中でただ1人、目が緑色のヴァンパイアだ。いや正確に言うとヴァンパイアではない。タティオルは…


「残念だが俺は貴様が期待しているような目的はない。確かに目の色が緑の俺はヴァンパイアの中では異様に見えるだろうな。ま、当然だ。俺はヴァンパイアではなく、ヴァンパイアと人間の間に生まれたダンピールだからな。」


タティオルはヴァンパイアではなくヴァンパイアと人間との間に生まれたハーフのダンピールだ。その存在は忌み嫌われる。またダンピールは生まれても幼少時までに死んでしまう。なぜなら生んだ母が人間のため生まれた後に体力や気力を使いすぎて死んでしまうからだ。そんな中ここまで生き残ったタティオルは希少な存在だ。


「へ~、ダンピールか…。初めて見たな。」


「それもそうだろうな。ただでさえヴァンパイアはそう易々といる存在ではない。そんなヴァンパイアがわざわざ人間と子供をなすなどあり得ない。しかもその中から生き残るダンピールは100人に1人だ。」


「で、どうしてヴァンパイアの群団に紛れているんだ?」


「…マーレイ様には確かにお世話になった。だが所詮は俺の人生の余興だ。暇つぶしに入ったに過ぎない。このグループが潰れようが構わない。元々ダンピールは忌み嫌われ、グループには合わないからな。」


「そん…「も、もう我慢できない!!自喰自強(オートファジー)!!死ねぇ!!」…。」


令とタティオルが話している最中にも関わらずヴバは長い話に飽き飽きし令に襲いかかった。


「うるせぇ!!」


令は自分が話している途中で遮られたことに怒り、ヴバのお腹を殴った。

しかしヴバも自喰自強を使っており、元々巨大な筋肉で覆われた体は更に肥大し、令のパンチを受けても貫通することなかった。だがその代わりヴバは令のパンチの威力でどこか遠くへとんでいった。


「う゛ばあぁぁぁぁぁぁぁ…………。」


「ちっ、折角ちょっとやる気出してたのに一気に冷めちまったな。…はぁ、もうやることやってさっさと帰ろ。」


令は先程までのヴァンパイアとダンピールの話を聞いて、少しは謎や生態を知ろうと思ったがヴバの邪魔により一気にやる気をなくし、タティオルをほっといてとっととやることをやり帰ろうとカリスの方を見た。


「カリス、それで例の死体はどこにあるんだ?」


令の言う例の死体とは最も知識のあるヴァンパイアのことである。


「すでにここに。」


カリスが笑顔で取り出したのはクイの顔だった。その天使の笑顔を見れば思わず見とれてしまうがその手に持つ物がヴァンパイアの顔面でありしかも半分ほどはえぐれ焼かれていて脳が少し見えているグロい物と分かればこの光景が夢であると思いたくなるほど異常な光景だろう。


「ん?何でこの死体は少し焼かれているんだ?」


「先程、この辺りで大爆発が起きたのに巻きこまれたのかと思います。」


「へ~、まぁいいや。冒険者ギルドも潰れてるみたいだし、もう帰るか。」


「はい!令様!!」


カリスは笑顔いっぱいの可愛らしい顔で見る者を元気づける。


「ま、待て!!」


「あ?」


令たちを止めたのは立つのがやっとのラウルだった。

ラウルは先程死んだかのように見えて、実は眠っているだけだったのだ。少し休んだことでヴァンパイアの回復力のお陰で少しは動けるようになった。


「そ、そのクイの顔を返せ!!俺はクイの墓を作ってやりたいんだ!!だからその死体を返せ!!」


ラウルは純粋にクイを弔う墓を作ってやりたかったのだ。そのために大爆発で焼かれ灰にならなかったたった1つの部分である顔を欲しがった。

しかし…


「はぁ?お前これが欲しいのか?ハハハハハハハハハ!!それでお前はいいのか?」


「な、何を言っているんだ!!?」


ラウルは先程のマーレイを瞬殺した所を見たため、震えが止まらない。


「お前の友人を墓に入れてそれでお前の気は晴れるのか?……お前はもう一度このヴァンパイアに会いたくはないか?それも生きた状態で、だ。」


「な、何を…そんなことが出来るのか?」


「俺が出来ないとでも思っているのか?所詮、生死なんて病気や状態異常と同じものだ。ま、生き返せることが出来るのはカリスだが。」


ラウルは少し考えた。そして答えを出した。


「それは神に歯向かう禁忌の行為だがいいのか?」


「ハハハハハハ!!面白いな!魔族が神を信じるのか?まぁ、どっちでもいいが禁忌だろうが禁断だろうが関係ないな、俺には。」


その言葉を聞いてサヨキル王国の住民やヴァンパイアのラウル、タティオルは皆あることを思った。


「そ、そうか。いやありがとうごさいます!!で、ではクイを蘇らせてください!」


ラウルは頭を地面につけてお願いをした。

すると令は目をカリスにやった。


「畏まりました。」


するとカリスの周りに半径20メートルほどよ青白い光が現れた。それは大きな大きな魔方陣で令とカリス以外の者は驚きで目を丸くしている。


クイの身体は徐々に治っていき、10秒ほどすると先程までなかった上半身が治っていた。そしてクイの全ての身体が治るとカリスの周りで光っていた魔方陣が銀白の色に変わった。そして空から光がクイに降りてくると何か不透明な物が降りてきた。それは丸い玉で野球ボールほどの大きさがあり、クイの身体に入ったとき、クイの心臓が胸打った。

しばらくすると空からおちてきた光は消え、カリスの周りに浮かんでいた魔方陣も消えた。するとクイはゆっくりと目を開けた。


「こ、ここは…。」


「ク、クイ!!お前、本当にクイなのか!!?」


「な、にを、言ってるんだ…い?ラウル。き、みも死んで…しまっ、たのかい?」


「馬鹿やろう!!…お前は、生き返ったんだよ…。」


「な、に?それ…が本当だ、とするなら研究…したい、物だ…ね。」


ちらりと令とカリスを見てまた静かに目を閉じた。


「クイ、クイ!!ど、どうしたんだ!!?」


「いや、お前今生き返ったばかりなんだから生力を消耗して睡眠が必要なんだよ。寝させてやれ。」


「そ、そうか!!良かった…。」


「じゃあ、俺もその男に用があるんでな。俺の城に行くぞ。」


「あ、あんたの城?わ、分かった。だが俺とあそこで寝てるヴァンパイアのラセンという奴も連れて行ってもらえないか?」


「心配ということか?……まぁ、いいが俺の城に来ればお前たちは一生俺に従ってもらうぞ。それが出来ないなら置いていく。」


「もちろんだ!!」


ラウルの顔には本気さが充分感じられた。


「……行くぞ。」


令の背中から半透明の銀白の翼が現れた。ラウルとラセンを担ぐとカリスと一緒に空へと飛んでいった。


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