ラウル死す!?
「魔族だと?人間の国に魔族が忍び込んでいたのか?」
ラウル思わず疑問の声が漏れてしまう。なぜ魔族が人間の国にいるのか?なぜヴァンパイア以外の魔族が人間などの劣等種族を囲うのか?ヴァンパイアの対になる魔族なんているのかと?疑問が尽きない。
「…サンライ族は太陽の下で暮らし、太陽が昇っている間全ステータスが上がる。そして奴らは人間たちを経験値稼ぎとしか見ていないんだろう。人間たちはそこら魔物に比べて経験値が大量だ。僕たちヴァンパイア族も昔は人間の血を吸い取り殺すことが強くなる方法として語り継がれていた。」
「…フハハハハ!!!……その秘密を知る者は生かしちゃいけないなぁ。人間たちは俺たちサンライ族のことを神の使徒と称えているんだからな!!」
ガゼルはサヨキル王国の住民たちと充分に離れているからか本音を語り始めた。
「俺たちは神の使徒としてこの国を守ってきた。それもこの国が生まれたときからな。初めは何度も人間たちを皆殺しにしようとも思った。何たって人間は生物の中でも劣等種族だからな!!
…だが人間たちは魔物や魔族よりも圧倒的に高い繁殖力と経験値を持っている!それを利用しようとしたのが俺たちの初代サンライ族だ。何度も失敗を繰り返し、途中投げたしたこともあった。その時がお前の言うヴァンパイア族と争い、領土を奪ったときだった。しかしそんな俺たちサンライ族でも魔界は厳しかった。他の魔族は俺たちよりも天と地ほどの差がある者ばかり。いつしかサンライ族は衰退していった。そんなときだった、1人のサンライ族が思い出したのさ。人間領のことをな。人間たちをもう一度俺たちの家畜にして更なる強さを求めた。多少面倒なこともあったが今、俺たちは昔のサンライ族では到底たどり着けぬ境地にいる!!非力な俺たちに負けたお前たちヴァンパイア族が俺たちに勝てるわけがないのさ!!」
「……クソ野郎が!!てめぇらサンライ族なんかにはやっぱり人間たちを任しちゃおけねえな!!」
ラウルは地を蹴り、いきよいよくガゼルの前まで来て剣を振りかざす。
「さっきからワンパターンだぞ!!」
先程と同じように剣を振るうラウルを見て、思わずガゼルは笑いがこみ上げてくる。
しかしラウルはそのまま剣を振りかざすと思われたときだった。急にラウルがガゼルの目の前で分身し出したのだ。それも10体以上に。
「バカな!!何のトリックだ!!」
「悪いが俺とクイのコンビネーションを突破出来る者なんていねぇんだよ!!」
合計15体にも及ぶラウルが様々なパターンでガゼルを襲う。さすがにガゼルも全ての攻撃をさばけず攻撃を受けると思ったとき、再び煙のようにラウルの目の前から消えた。
「ちっ!!またこれかよ!!てめぇのほうがワンパターンじゃねえか!!」
「さすがにそろそろ遊びを辞めて本気でかかろうかな?…ウグイ!!」
ガゼルの後ろに立つウグイが詠唱を唱える。するとガゼルが灰色の光を浴びて薄く輝いている。
「ではでは終わらせてやる。」
ガゼルがポンっと視界から消えた。
「ど、どうなっているんだ、クイ!!?」
「多分ウグイとか言う奴の魔法が強化系の魔法でガゼルをいきなり目の前から消えたり現れたりしているんだ!!…予想では透明化、または幻影魔法、そして転移系の魔法やマジックアイテムなどが考えている。あと2分くらい粘れ!そのくらいすれば僕も奴の能力が分かる。」
「無茶苦茶だな!!…だがやってやるぜ!!」
「そのへんでおしゃべりはやめたらどうだ。」
突然ガゼルの声がする。
「どこだ!!?どこにいるんだ!?」
「…悪いがもう直ぐ日が沈む。その前に全てのヴァンパイアを倒さねばいけないのでな。終わりだ!!」
ガゼルがどこからか声が聞こえ、言い終わると同時にラウルの全身鎧ごと太陽に照らされ一層輝きを放つ自慢の槍でラウルの胸を突き刺した。
「赤き紅蓮の炎よ、敵を火炎の地獄に落としたまへ!《炎熱丸》」
ガゼルの詠唱が終わるとラウルの前に赤色ともオレンジ色ともとれる小さな太陽が現れた。その太陽は徐々に大きくなっていく。
「なっ、おいラウル!!早くそこから逃げろ!!それは《炎魔法》の上級魔法の一つ《炎熱丸》だ!!その火力は小さな山をも溶かすぞ!!」
「ガハッッッッ!!……逃げれない!!この槍のせいで身動きがとれないんだ!!クイ、何とかしろ!!」
そうこうしている間にも小さな太陽は大きくなり、今ではラウルの胴体くらいの大きさになっており、時期にラウルを飲み込みやられてしまうことは明白だった。
「おい!!クイ、早くしろ!!!ヤバイヤバイ!!クイーーーーーーー!!!!!」




