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勇者見参!!

サヨキル王国のSS級冒険者《黄金》のアルスと五大吸血鬼のラウル=フレイムとの終戦から2時間が経ったころだった。


「おい、マーレイ。ほとんどの人間がここに集めたみたいだぜ。」


吸血鬼たちの力は圧倒的で冒険者たちのほとんどが戦死していまった。

ヴァンパイアたちはサヨキル王国のある地域の民家を全て焼き払いそこにサヨキル王国の住民たちを集めた。


「そうか。…では人間たちよ!聞くがよい!!」


《ブラット・インベーション》の王であるマーレイ=ブラットウォンがサヨキル王国の住民たちに演説を始めた。


「我がこのヴァンパイアたちの長であり、汝らの王でもあるマーレイ=ブラットウォンである!!ヴァンパイアである我がこの国の王になったからには当然汝らの血を貰う。しかし汝らが毎月払っていた税金が血に変わると思ってくれればよい。つまり、汝らは誰ひとり殺すつもりはない。安心したまえ。人間が死ねば死ぬほど我らの栄養源が消えるのと同じだからな。」


マーレイが言ったこと聞いた住民たちは殺されないことに安堵し、ならなぜ先程までは人間たちを襲ったのがかという怒りで溢れていた。


すると1人の青年がおそるおそる手を上げた。


「何か質問があるのか?言ってみよ。」


「わ、私たちの生活は…変わらないんですか…?」


青年は先程のヴァンパイアたちの虐殺行為を見たがために必要以上に恐れているなか精一杯の力で声を振り絞った。彼を罵ることは誰も出来ない、寧ろ勇敢な行為といえた。


「なるほど。確かに自分たちの今までの生活が送れるかという質問は分かるぞ。だが残念ながら答えはNOだ。いや、正確に言えば生活自体は変わらない。変わるのは生殖行為を強制的にしてもらうことぐらいだ。我が先程言ったが我らは人間の血を欲しておる。そのために大量の人間が必要だ。そのために生殖行為をしてもらい人間の数を年々増やしていきたいのだよ。

まぁ、我らにとってこれは養豚場と同じだ。汝らだってそうだろう?汝らが必要とする分、豚に数を生ませ、自分たちが必要とする分、豚を殺し食べる。

だが我らは人間とは違い、人間を殺さない!!人間とは違い、我らは寛大なのだよ。分かるだろ、人間共。」


マーレイは淡々と語ることでサヨキル王国の住民たちは家畜同然のように生かされる未来を想像した。


「そん、な…。」

「い、いやだぁぁぁぁぁ!!」

「それならいっそ今死んでやる!!」


マーレイに反抗しようと自殺を試みる者もいたがマーレイは黙って住民たちを見る。

やがて誰も口を開くことが出来なくなったとき、マーレイが口を開いた。


「死にたければ死ぬがよい。別に構わしない。人間を繁殖させればよいだけだ。貴様らが死にたければ殺してやろう。…どうした?早く出て来い。死にたかったんだろう?安心したまえ、少し痛むだけだ。…出てこないなら声のした方の人間全員を殺す。」


マーレイは子を言い聞かせる親のようにゆっくりと言う余り、住民たちは恐怖で動くことも口を開くことも出来なかった。

しかしマーレイの声のした方向の人間を皆殺しにすると聞いて住民たちは声を発した人物を押し出した。


「お、おい。な、何すんだよ!!」


押し出された人物はD級冒険者になったばかりの新米冒険者だった。冒険者の職につくものは初めは皆、とげとげしている。

だが徐々に冒険者としての仕事を積むと情報の大切さを知り、情報源の大切さを知り、情報を提供してくれる人間自身に感謝していつしか真っ当な人間になる。

しかし冒険者になったばかりの新米ではまだ荒々しい人物が多いため、どうしても反骨心が残っていて、重要な局面で暴走してしまう人が多いのだ。


「貴様が死にたいのか…。なら殺してやる。貴様の血を一滴も残さずにな!!」


マーレイが見せしめとして新米冒険者を殺そうとしたときだった。


「待て!!ヴァンパイア!!」


「…誰だ、貴様?」


マーレイたちの背中側に声が聞こえ、振り向くとそこには金色の防具を着た黒髪の男と赤色の防具を着た男に水色の防具を着た女に黒色の防具を着た女、合計4人がいた。


「俺たちはこの国をこの世界を救うために呼び出された勇者だ!!俺たちが来たからにはお前たちヴァンパイアの好きにはさせない!!」


金色の防具を着た男がマーレイに大きな声で住民たちに聞こえる声で叫ぶ。


「…貴様らが噂に聞く勇者か…。ふん、取るに足らん存在だな。貴様らが何をしようと無駄だ。貴様らの実力では我の計画を止めることなど出来ない。…やれ、ヴバ、ラウル、クイ。」


マーレイは興味の無さそうに勇者たちをすぐに視界から外した。


「おいおい、マーレイ。まさかあんな奴らを俺たちがやらなきゃいけねえのか?冗談だろ?あんな雑魚なら俺の部下のヴァンパイアに任せるぜ。」


ラウルは喉を潤したばかりで当分は人間を殺すことが面倒だと考えていた。


「…ラウルの意見に同意ですね。僕たちがやる必要性はないと思うのですが?何かマーレイには僕たちが直々にやる必要があると考えているのですか?」


五大吸血鬼のクイが本を閉じてマーレイに意見を述べる。クイは165センチと他のヴァンパイアたちの中で1番身長が低く、童顔で子供っぽい見た目をしたヴァンパイアだがこのヴァンパイアの中では1番年を取っている。


「なら俺が全ての勇者を倒そう!!腕がなるな!!」


ヴバが1人で全ての勇者を倒そうと燃え上がっていた。ヴバは身長2メートルを超える巨体な肉体を持つヴァンパイアでいつも熱く、戦闘狂でもあった。ヴバが戦闘を始めると止めることは誰も出来ないためマーレイはヴバが戦いに行く前に急いで口を開いた。


「待て、ヴバ。まだお前の出番ではない。少し待て。」


「分かった!!マーレイが言うなら俺待ってるぞ!!」


ヴバは誰の言葉にも従わないが例外が1人だけいた。それは《ブラット=インベーション》のリーダーであるマーレイだ。ヴバは1度負けた人物に対してはその人の言うことを聞くのだが言い換えればマーレイ以外には誰にも負けたことがないということだ。ヴバは五大吸血鬼の中でも上位の戦闘力を持っていて、前回圧倒的な強さを見せたラウルでさえ、手も足も出ずに敗れたのだ。


「ラウル、クイ。我は貴様らが確実に勇者をやってくればそれでよい。お前たちが行くもよし、必ず勇者を殺せる部下を出すもよしだ。それはお前たちが決めるがよい。我は1度勇者の血が吸ってみたいだけだからな。」


「まぁ、確かに勇者の血は少しは気になるな…。なら1人俺が貰うぜ。いいよな、マーレイ?」


ラウルが唇を舐める動作をしながらマーレイに本心を話す。


「よい。我も1人でよいからな。」


「…僕も1人貰うとします。」


クイが珍しく人の血を欲しがるのを見てラウルは面白いものを見つけたように問いかける。


「クイ、てめぇ、人間の血を欲しがるなんてどういう理由だ~?ヒャハハハハ!!てめぇもやっぱり勇者の血は興味あったのかよ?」


「本では書かれていない未知の味を知ることは僕の生きがいですからね。あの水色の防具をした女の血でも貰います。」


「へ~、なら俺はあの眼鏡をかけた黒色の防具を着た女にするかな。」


「では我はあの金色の防具を着た勇者としよう。ヴバ、貴様はあの赤色の防具をつけた者を殺してこい。」


ヴバはマーレイに話しかけられると勢いよく立ち上がり嬉しそうに返事をした。


「俺、頑張る!!俺があの勇者を殺す!!行くぞ~!!」


「…では勇者共に絶望を見せてやるとするか。行け、我の部下たちよ。」


今、ヴァンパイアたちと勇者の戦いが始まった……。

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