罠の危険
「知っての通り、今日はダンジョンに入る!今回入るダンジョンは初心者向けのダンジョン《マテリアル》だ!」
「別に俺ら勇者なら初心者向けのダンジョンなんて余裕だろ、ハハハッ!」
「まぁ、くずきくんなら分かんなそうだけどねー。」
「…」
「二人とも、気を付けて行こう。油断大敵って言葉もあるくらいだしね。」
「その通りだ!《マテリアル》では一般的にゴブリン、スライム、スケルトンなどが出るがまあお前たち勇者なら油断さえなければ勝てるはずだ!だが気をつけて欲しいのが一つだけある。」
急に真面目な雰囲気に変わった。この人はいつもなら熱血でふざけたように頑張れ!いけるぞ!大丈夫だ!なんて言ってくるのに大事なことは落ち着いて言ってくる。こういうところは感心できるし安心できる。ガインさんは勇者共と何度か模擬戦をしたが圧倒的な強さを誇っていた。それもそのはずガインさんはこの国の騎士団の騎士団長らしい。つまりこの国で一番強いと言うことだ。
「ダンジョンの宝箱を見つけてもすぐに開けないことだ。確かに魔道書がある可能性もあり、宝箱の中身はほとんどが高価な物ばかりだ。だが罠が仕掛けられている可能性がある。例えば宝箱にマネたミミックや落とし穴、モンスターハウスなどがある。どれも死に直結してしまうものばかりだ。必ず宝箱を見つけたら俺に言え、俺の部下に罠を解くことが出来る者も連れて行くからな。」
なるほど。確かにこの世界では若い人もすぐに命を落とすと聞いた。そのため命を落としても珍しくないという。
「分かってるよ。俺らをなめすぎだぜ、な!誠也!」
「あぁ、そうだな。」
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そうして俺たちはダンジョン《マテリアル》に来た。
ここがダンジョンか…
このダンジョンはこの国の壁の外にある場所だが何か異様な雰囲気にが感じられる。中は至る所に光る石《輝石》によって埋め尽くされている。
「ここがダンジョン《マテリアル》だ!くずきは俺と一緒に行動するように、お前たち勇者は油断のないようにでは、行くぞ!」
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最初は勇者共も慎重に戦っていた。初めて見る魔物に初めて戦い、命を奪うからだ。
「お!またゴブリンかよ、いい加減他の魔物とかいねぇのかよ。弱すぎて退屈だぜ。ハハハッ!」
「そうだよねー、私たち勇者だし当然っちゃ、当然だよねー。」
「これなら…魔王も…」
「そうだな。蓮の言う通りかな、もう少し強い魔物が来てもいけそうだな。もう少し奥に進もう!」
だか勇者共は認めたくないが強い。ゴブリンやスライムなどをどんどん倒し今では簡単にうち倒せる。雷島は拳でたこ殴りに、雨宮は水魔法をぶっ放し、雲山は…回復させてるかな?そして晴光はいかにも眩しいそうな光魔法と剣術で打ち倒す姿はまさに勇者だった。
俺はというと攻撃力が足りず全然ダメージみ与えられてない。この世界では防御力-攻撃力=ダメージとなっているため俺の攻撃力ではダメージを与えることが出来ない。そのため武器を使っているがそれでも与えられるダメージは少ない。
「待て!油断大敵と言ったはずだ!」
「大丈夫、大丈夫!俺らをなめすぎだぜ、ゴブリンが何体いても俺らなら倒せるぜ!」
「そうそう、私たち勇者ですよー!、ちょっと心配しすぎですよねー」
「…うん。」
「大丈夫ですよ、ガインさん。僕たちだってそれくらいは考えて動いてますから。」
晴光はそう言いつつも慢心しているように感じられた。
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「おいおいおいおい!これって宝箱じゃねえか!!」
「えっ!これが宝箱なの?中には何が…。早く開けよ!」
「宝は…何?」
「これでまた一歩、世界を救うことが…できる!」
そう俺たちは宝箱の入った部屋を見つけた。しかし勇者共はあれだけガインさんが言った言葉を忘れてしまっていた。
「待て!!開けるな!」
ガインさんは大声で叫ぶがすでに雷島がその宝箱を開けてしまった…。
「何だよ、何も入って無いのかよ。」
ガタッ!ドドドドドドドドン!
「な、何の音だよ!!?」
「ひぇっ!な、何?」
「あっ…ゴ、ゴブリン?」
「何だ…、ゴブリンが一体出ただけか…、驚いて損したよ。ハハッ。」
しかしゴブリンは一体では終わらなかった…。
「グルァァァ!ニンゲン!ニンゲン!」
「ニンゲン、殺ス。」
「グハハ!グハハ!ゼンブデ、ナナニン。」
「モンスターハウスか!!?クソッ何だと!!?全部で100体はいるじゃねえか!!?」
「イヤッ!助けて!誠也、蓮、静香!」
雨宮がゴブリンに捕まってしまった。ゴブリンは人間の男は殺すが女はゴブリンの母体となるため捕まえる習性があるため雨宮はゴブリンに捕まえられた。
「待ってろ、水希!俺が今、助けに行く!うおぉぉ、どけどけ、邪魔をするなー!」
晴光は全力を尽くして助けに行こうとするがゴブリンの大群には勝てない…、なぜならゴブリンは単体ではあまり生活せず、いつも集団にいるからだ。先ほどは単体だから倒せていたが本当の戦い方は集団である。
「下がれ、晴光!俺が雨宮を助ける!だからお前たちは早く戻るんだ!」
ガインさんはそう言って目にも止まらぬ速さでゴブリンの大群の中に入っていった。そこでゴブリンと戦う姿は一種の踊りかと間違うほどにきれいな剣術さばきだった。
しかし勇者共と俺、全員を守ることは出来なかった。
「た、助けてくれぇ!雷島、雲山、晴光!!」
ガインさんが雨宮を助けに行ったため俺を守る者は居なくなってしまったのだ。
「ゴ、ゴブリンが!!早く助けてくれ!」
「はあ?今、勇者の水希がゴブリンに捕まってるんだぞ!何でそんなときに勇者でもないお前を助けなきゃいけないんだ。勇者でもないやつが助けろだと!?ふざけんな!お前みたいな何の力も無いやつは死んでも誰も困らないんだよ!勝手に死んじまえ!」
「そ、そんな…」
「ニンゲン、ツカマエタ!!」
ザンッ!晴光が俺を襲おうとしたゴブリンを斬り殺した。
「あ、あぁ、ありがとう晴光!助かったよ!」
「悪いがくずきくんを助けたわけじゃない…」
「えっ!?どういうことだよ?」
「君は今から水希のために囮になってもらう。水希を助けることでまた一歩、この世界を救うことに近づくんだ!だから君には水希の近くの大群の中に入ってもらう。」
「な、何を言ってるんだよ!!俺たちは同じ世界から来た、同じクラスメートだろ!それなのに俺を囮に使うなんてふざけるな!」
「君は何も分かっていない!水希を助けることでこの世界の人を何百人、何千人もを救うことが出来るんだ!そして!水希の囮になれるのは君しか居ないんだ!
だからといって悲観することはない。なぜなら君の、くずきくんのおかげでこの世界の人を救うことができるようになるんだからね。」
「イ、イヤだぁぁあ!!俺はこんなところで死ぬなんて、まっぴらごめんだ!!誰か、誰か助けてくれぇぇぇぇぇ!!!!」
「すまない。そしてありがとう。」
そう言った後に俺は晴光によってゴブリンの大群にの中に投げ込まれた。
「イヤだぁぁぁあ!!」
「くずき!クソッ!すまないが俺もルテア様に勇者を絶対に死なせるなと言われているんだ。本当にすまない…。
おい今のうちに逃げるぞ!!くずきの犠牲を無駄にするな!!!」
そうして彼らはこの部屋から抜け出していった。
俺を残して…。
「ニゲラレタ、デモイッタイイル!」
「殺セ!殺セ!」
「死ネ!死ネ!」
「ヤレェェェェ!!!」
「く、来るなぁぁ!!化け物どもめっ!!」
俺は必死に走った。けれど俺のステータスは
逃げることをさせてはくれなかった。
「待て!待ってくれ!殺さないでくれぇぇぇえ!」
「ヤットオイツメタ!」
「殺ス、殺ス!」
「死ネェェェェ!」
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
ガコッ!その時俺はどこか別の罠に引っかかってしまった。
「えっ!!?うわぁぁぁぁぁぁ!これは落とし穴か!クソッ、このままじゃあ死んでしまう!」
しかし何も出来ずに俺は落とし穴の奥深くまで落ちていった…。