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ツワルキンの能力

「まずはてめーからかかってこいよ!!」


蓮はB級冒険者のツワルキンに先手を譲る。


「B級冒険者の《誘惑》ツワルキンに先手を譲るだと?もう勝負が決まったも同然だな…。」


「あぁ。こりゃもうあのガキに勝ちはないな…。」


冒険者たちは皆すでにツワルキンの勝利で間違いないだろうと思っていた。


「じゃあお言葉に甘えさせてもらうかなっ!!」


言葉を言い切るとともにツワルキンは蓮の元へ走り、ツワルキンの持つナイフで斬りかかる。その攻撃を蓮は瞬時に避ける。しかしツワルキンの攻撃は蓮に当たった。


「なっ!なに!?」


おかしい。俺は必ず避けてはずなのになぜ当たったんだ?ちっ!考えても仕方ねえ…。攻撃するのみだ!!


蓮は自らのスキル《剛腕》を発動し自分の攻撃力を二倍にする。今蓮の攻撃力は1720になる。これは一般では考えられない力だ。A級でも十分通用するくらいの攻撃力を持つ。その攻撃力で攻撃されれば一瞬で死んでしまう程の力だ。

蓮は斬りつけられてすぐにスキル《武術》によって拳を突き出した。その攻撃は実際はただのパンチである。しかし彼の攻撃力をもってすればそれは拳銃から放たれた弾にも見える。


「おらっ!!」


ツワルキンは蓮が殴ろうとするのを見て、ニヤリと笑う。なぜならツワルキンはすでに距離をとって蓮を罠に引っかかった蝶のように見ている。そして蓮が見ているツワルキンの場所には実際にはツワルキンはいない。


「まんまと引っかかったか、あのガキ…。」


「ま、そりゃそうだろ。なんたってB級冒険者だ。それくらいわけねえからな。」


冒険者たちは完全にこの勝負が終わったと確信していた。ツワルキンの持つスキル《幻影》によってすでにツワルキンの勝ちは決まったと…。


「な、何で蓮はツワルキンの居ないところで攻撃してるのよ!!」


「あ、あのどうして蓮はなにもいないのに攻撃してるんですか?」


晴光誠也は冒険者の1人に話を聞いた。


「…ツワルキンは実際は冒険者でやっていくのには難しいステータスをしているんだ。初期ステータス値が平均で70程しかなかったらしい。しかしそんなあいつがなぜB級冒険者になれたと思う?」


「…武器の力とかですか?」


「いや、違う。答えはやつの持つスキルだ。ツワルキンはステータス値に恵まれなかったものの1つのスキルをもらった。それがスキル《幻影》だ。」


「幻影…ですか。いったいどんな効果なんですか?」


「簡単さ。幻影を相手に見せて相手が幻影と戦っている間に攻撃するっていう単純なものだ。」


「そ、そんな…。その効果はいつ終わるんですか?」


「幻影だと分かればすぐに解けてしまうさ。しかし所見で気づく者はほぼいない。この勝負はツワルキンの勝ちだ。」


「そんなスキルせこすぎる!!そのスキルがあれば誰にでも勝つことが出来るじゃないですか!!」


「…そうでもないさ。」


「え?どういうことですか?」


「スキル《幻影》を発動するには厳しい条件があるのさ。まず相手の目を10秒間見続けなければいけない。その次に自分自身で攻撃をして避けられればそこから幻影の始まりだ。しかし10秒間も相手の目を見続けることは難しいし、必ず一度攻撃して避けられないと発動しないと言うことは発動する前に攻撃されればツワルキンのステータスならすぐに負けてしまう。そんなスキルだ。ツワルキンに初期ステータス値さえあればS級も見えていたんだが…神様は2つも才能を渡してはくれなかった…。」


「…。」


晴光誠也は2カ月前に囮にした久住 令のことが頭に浮かんだ。まだ彼にも何か出来たのではないかと。彼のステータス値に失望してスキルを一切見なかったが実は彼にも何かすごいスキルがあったのではと心がざわつく。


そんなわけがない!!あの時、くずきくんを囮にしなければ水希が死んでいたし、僕たち勇者はステータス値もスキルも持った天才であり、凡人の冒険者たちとは違う!!僕は正しい!勇者である僕は全て正しい!!ハハハハハハハハ!!…そのためにも蓮!この程度で負けるような勇者ではないことを見せつけてやれ!!



やはりおかしい…。攻撃しているのに当たらないだけではなく、攻撃されている所は全て当たらず別の場所に傷を受けるなんて。…これは一度やってみるか。


「ボーイ、君はよく頑張ったほうだよ。しかし俺の方が少し強かったそれだけさ!!」


ツワルキンは蓮の後ろに回り込み、幻影のタイミングと同じ時に攻撃しようとナイフを斬りかかった。


ドゴンッ!!


その音と同時にツワルキンはぐったりと倒れていた。


「ど、どういうことだ!!あのガキ、ツワルキンを捕らえやがった!!」


「あいつ、まさか幻影が解けたのか!!?」


「勇者の実力はB級冒険者以上というわけか…。面白い。」


冒険者たちは困惑の表情でいっぱいだった。なぜツワルキンの幻影を見破ったのか。


「蓮!どうしてツワルキンの幻影が分かったんのよ!?」


「あ?幻影?なんだそりゃ?」


「えっ?ツワルキンのスキル《幻影》の効果で蓮が見ていたツワルキンは幻影だったのよ!!」


「なるほどな…。まぁ確かに言われてみれば納得だな。」


「どうしてツワルキンに攻撃を当てれたの?」


「まぁ、最初はまったく分からなかったけど徐々に攻撃されたところには攻撃が当たらず必ず後ろに傷がつけられるから後ろに本当はいるんじゃないかと思って確認のために後ろを殴ってみたら当たったって訳だよ。」


「さすがは勇者だね。」


ギルドマスターであるナイン=テルーシが蓮に声をかける。


「おいおい。ギルドマスターまでこの戦いを見に来てたのかよ。」


「お前当然だろ。なんたってこの国の勇者なんだからな。」


「勇者の実力はB級冒険者以上か…。面白いな。」


冒険者たちは勇者に賞賛の声を送る。


「勇者~!頑張れよ~!!」

「俺たちの希望なんだから魔族なんかに負けんなよ!!」

「お前なら俺たちを救ってくれると信じているぞ~!!」


「へっ!!なんだか照れくさいな、水希。」


「うん。でも悪くないかも。」


「冒険者たちも勇者を認めたようだね。」


「ギルドマスターさんが俺たちに何のようなんだ?」


「いや、たいしたことではないんだが君たちのランクをB級にしようと思ってね。その確認に来ただけだ。」


「なに!?俺たちがB級になれるのか。」


「あぁ。これは超特例だが、君たちがそれを望むならすぐにB級に上げるつもりだ。ちなみにガイン殿の許可はもらったがどうするかね?」


「…それなら俺たちをB級にしてくれ。」


「うん。そうだね。私たちはもっともっと強くなる必要があるからG級からじゃ遅いよね!」


「分かった。では今から君たちはB級の冒険者であり勇者だ!!1人の国民として君たちの活躍を期待しているよ。」


その言葉を聞いた冒険者たちはさらに声を上げる。


「「「「「「おおぉぉぉぉ!!」」」」」


「さすが勇者だぜ!!飛び級で上がるなんざ、あの冒険者の中で最強とうたわれるSSS級冒険者のアンベラル以来だぜ!!」


「だが勇者なら文句も言えないな…。」


冒険者たちは納得の表情をしながら当然とばかりうなずく。

晴光誠也が蓮の元へ駆けつける。


「蓮!いい戦いだったよ!!」


「誠也!!少し時間がかかったけど勇者の実力は見せつけれたんじゃねえの?」


「あぁ、もう僕たちを勇者と認めたみたいだしより一層勇者として努力しなければな!!」


「ああ!!」


勇者たちは自分たちの強さを実感しながら魔王を倒し元の世界に帰れる希望が見えた瞬間だった。


バタン!!


全員闘技場のドアへと視線を向ける。そこには受付嬢が息を切らしながら入ってきた。そしてギルドマスターの元へ走り出す。


「レミィ、何かあったのかね?」


受付嬢が急いで来たということは何か非常事態と知り誰も声を発さない。

レミィは息を整え、大きな声で話し出す。


「マ、マナリィ王国からS級冒険者である《白銀》のレイ様がギルドマスターに会いたいと来ております!!」


「な、なんだと!??」


勇者が来たときでさえ取り乱さなかったギルドマスターが取り乱した。


「マジかよ…。」

「S級冒険者だと…。」

「しかもマナリィ王国からってことは…。」


冒険者たちは驚きの声を漏らさずにはいられなかった。なぜならただでさえS級冒険者以上になれる人は冒険者の中でも一握りの人だけだがもう一つ大きな理由がある。それはマナリィ王国とサヨキル王国の冒険者ではランクが1つずれているのだ。つまり、サヨキル王国のB級はマナリィ王国ではC級ということだ。冒険者が最も多く存在するマナリィ王国だからこそこのようになっているがここにいる冒険者の多くはマナリィ王国に行ったがマナリィ王国の冒険者たちの強さを目にし、自分の弱さに絶望した者たちは歯がゆい思いを思い出した。


ギイィ


またドアの開く音がした。そこには白銀の装備で身を纏うS級冒険者《白銀》のレイがいた…。


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