リリィの目覚め
一人の少女は目を覚ました。その少女はリリィ=マナリィ、マナリィ王国の第一王女だ。彼女は起きた当初は困惑していた。確か盗賊に捕まっていたはずなのにどうして王城の寝室に寝かされているのか?あれは夢だったのかと。しばらくして盗賊から令が救ってくれたのを思い出しマナリィ王国に来るまでの濃密な時間を思い出した。そして自分を送ってくれたにも関わらず門番の者や国民たちが勘違いし、ついには冒険者まで令を魔族と呼び令に対して不快な想いをさせてしまったことに腹が立った。それからは令から強烈な殺気を感じ気絶してしまった。あれから令はどうなったのか。今、令はどこにいるのか気になりすぐにベットから飛び降りた。
バタン!
ドアを勢い良く開ける。
「父上!!」
そこには金色と赤色でできた王座に堂々と居座る男こそマナリィ王国の王、マセルル=マナリィである。
「おお…。我が娘リリィよ、よくぞ生きていた。久しぶりの再開だな。」
「はい。って今はそれどころではありません!!レイ様は今どこにいるのですか!!?」
「レイ?誰だそれは。」
「私を盗賊団《凍りつく刃》から助けてくれただけでなく、マナリィ王国まで連れてってくれた人物です!」
「な、なに!?《凍りつく刃》に捕まっておったのか…。《凍りつく刃》から上手く救出できたものだな。相当の隠密スキルでも持っていたのか?」
「いえ、レイ様は圧倒的な力で《凍りつく刃》を壊滅させた後に私を解放してくれました。」
「ほう…。《凍りつく刃》をその男1人で壊滅させたと言うのか、面白いな。ならそいつはA級以上の冒険者か。」
「いえ、レイ様は冒険者ではなく旅人と申していました。」
「ますます面白い。だが私はその事について詳しくは聞いていない。その男と戦ったマルスに聞くとしよう。おい、マルスを呼べ。」
後ろについていた側近が前に出た。
「畏まりました。」
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「失礼します!遅くなってしまい申し訳ありません、王よ。」
「よいよい、マルスよ呼んだのは例の魔族についてだ。」
「先日この国にリリィ王女を人質にして無謀にも1人で襲いに来た者の事ですか?」
「レイ様はそのような酷い人間ではありません!!」
「人間?ハハハ!リリィ王女よ、ご冗談を。あの力やスピードは魔族としか考えられませんし、人間ならなぜ門番の者に暴力を振ったのですか?」
「門番の者が私を誘拐した者と勘違いして襲ってきたので仕方なく対処しただけです!!」
「で、ではなぜあのような殺気を全員に飛ばしたのですか!!?」
「そ、それは分かりませんが…。でもレイ様は魔族などではありません!!」
「ふむ。マルスよ今の話を聞く限りはリリィの話も一理あるのではないかね?」
「そ、それは…確かに魔族でない可能性もなくはないでしょう。しかし確証はない以上私はあの男が魔族であると思います。」
「まぁ、よい。いずれ分かる事よ。それでもうこの話はよいな?」
「はい…。」
「分かりました。」
リリィは不完全燃焼の気持ちを抑えて部屋を出た。
私をマナリィ王国に送って下さったにも関わらず恩を仇で返すようなことをしてしまい申し訳ありません。
最後に別れの挨拶も出来ず行ってしまうなんて…。レイ様…。
リリィは胸が締め付けられる想いをした。




