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罪の花  作者: 桃の花@イベリア領
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エリカと白詰草

エリカの花言葉は『孤独』

白詰草の花言葉は『復讐』

偶然開いた本…「花図鑑」に載っていたその二つを見て、えらく自身にピッタリの花言葉だと、自嘲するようにセイカは笑う。その本のページを開いたまま、セイカは今までの自分を思い出していた。


******


自分はそこそこ裕福な家庭の長女として生を受けた。上には六つ上の兄がいて、その兄は何でも出来る所謂『天才』というやつだった。

反面、その当時の自分は比較的何でもこなす事は出来たが兄には適わず、天才にしか興味の無い、絵に描いたような屑である父親からは、『出来損ない』という評価を受けていた。

兄妹なのに、父親からの評価は天と地ほどの差がある。言い返したくても、自分も、兄も、母も言い返すことが出来なかった。

というのも、その当時の自分の家は例えて言うなら戦前の日本ような家で、父親が絶対であり、父親に逆らうことは許されなかったからだ。だから父が兄を天才といえば天才だし、自分を出来損ないといえば出来損ないだったのである。


それでもその時の自分はまだ良かった。兄は気遣って、よく自分を外に連れ出したり、勉強を教えてくれたりしていた。本当に狂い出したのは

『兄が死んでから』のことだろう


兄は自分が10歳の時交通事故で命を落とした。そしてそれから自分は、父親から今まで以上の好成績を残す義務を課された。

自分は『出来損ない』から死んだ兄の『代替品』になっていたのだ。

自分はこの時既に、父親を見限っていた。コイツはどうしょうもない奴だと、最低な人間なんだと。そもそもの所、出来損ない呼ばわりされていた自分が、天才であった兄の代替品になどなれるわけないのだ。

そんな風に諦め、兄の代わりになれない自分の事を、父親はよく蹴り、ある時は血を吐くまで腹を殴られ、ある時は窒息死寸前まで首を絞められた。


自分は否定され続けて生きていた。この当時から父親が憎くて仕方なかった。暴行を加えていた事は勿論憎かったが、それよりも一個人としての自分を否定された事が何よりも憎かったのだ

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