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酒天童子の墓に手を合わせ、自分も眠りにつこうと思っていたが、酒天童子の家から子供の泣き声が聞こえる。
茨木童子は家の中へ入ると、そこには赤子が泣いていたのだ。
『…そうか、安倍晴明はこれに気がついていないのか…』
茨木童子は赤子を抱え、村に住む姑獲鳥を訪ねた。
『まぁまぁまぁ、女の子じゃないのさ』
『酒天童子ときこの子だ』
『そうかい、母親と父親がいなくて寂しいだろうね……よし、私が面倒を見よう!』
『そう言ってくれると思ったよ』
茨木童子は赤子の頭を撫でながら言う。
男手の自分よりも、母性のある姑獲鳥がいてくれる事で、この子の未来は安心出来る物になった。
『そうだ、名前はなんて呼んでいたんだい?』
『確か、くに…と言う名前だったな』
『くにちゃん、これからお世話させてもらうからねー』
一方。連れ去ったきこに母体としての力が無いことを知った晴明は、次の母体と巡り会う為占い、数千年後に出会える事が分かった。
晴明はきこに無理矢理自分の子供を産ませ、世に放ったのだった。
沢山の年月が過ぎ、酒天童子ときこの子は大きくなり、村の若者と結婚し子供を産んだ。
そしてその子供達もまた大きくなり結婚し子供を作った。
やがて沢山の世代を重ね数千年は過ぎて行った。