恐怖 ~強くなれずに弥生の時を~
米の収穫時期 むら全体が忙しくなる頃
僕も手伝わなくてはいけないことくらいわかっている
けれども人と会うのが怖くて 自室に籠もりきった
仕事もしないくせ 飯だって食いやがって あの男
そんな風に僕を見ている方はむらに多くいるだろう
むしろ殆どが僕を邪魔者みたいに思っているだろう
いいや 本当に僕は邪魔でしかないんだろうね
怯えているままじゃいけない 変わらなくちゃいけない
だけど僕を見る目が 鏃のように鋭くて
孤独な心を癒やしてくれる人など くれるものなど
存在しないのだと 僕はやっと理解した
米の収穫時期が過ぎ むらに争いが訪れる頃
僕も戦わなくてはいけないことくらいわかっている
けれどもここで終わってしまうのも怖くて
英雄として死んでいけたら 僕も変われるのかな
なんて思ってみたけれど やっぱり無理みたい
臆病な僕じゃ 無力な僕じゃ無理みたい
英雄になんて なれるはずがないのである
そして死にゆく勇気なんて あるはずがないのである
怖い怖い怖い 全部が怖くて仕方ないから
邪魔者と思われていることを知りながらも
僕は自室に籠もりきる道を選んだ 永遠に