糸杉の森にて 3
短かいです<(_ _;)>
この森のつくりだす雰囲気がそうさせるのか、うとうとしていたレミニアリスは非常に困惑していた。なにせ、『居眠りから覚めたらキラキラした男の人がいました。』なんて母が最近好んで読んでいる少女小説みたいではないか。
蜂蜜色の髪が陽の光で柔らかく輝いていて宝冠の様だとぼんやりとした頭では考えた。また、ただひたすらこちらを覗きこむエメラルド色の瞳にどう対応すればいいかわからず、ふっとレミニアリスはその視線を断ち切る。
相手は20歳前後とみられ、着ている衣装は上等なもの。もちろん、レヴァイノス風ではなく異国風だと見た。しかし、眠気から開放されずに瞳を閉じて質問する。
「……どうしてここに?」
質問にしては唐突だったが、意味は伝わったらしい。
相手はシャロットの蹄のあとを指して答えた。
「馬の足あとで。遊歩道から外れていったから何かに巻き込まれたんじゃねーかと思ったからな」
「ありがとう…こざいます。でも私の意志で来たから大丈夫、です」
いや全然大丈夫じゃないだろ、とレミニアリスの様子を見て苦笑する。
確かに、こくこくと夢と現の間を彷徨うレミニアリスは危なっかしい。
「……帰り方、わかりませんよね」
「ん?……あぁ、まぁ」
「ちょっと疲れてるので…、もうちょっと眠らせてくれれば…お教えします」
力加減を間違えたのか、もたれかかっていた木の幹からずるりと滑り落ち小さく悲鳴をあげる。そんなレミニアリスを慌てて相手は受け止めた。
「ごめんなさい、もうちょっと─────────」
「わかってるって。何もしないって」
誰かもわからない胸の中でレミニアリスは眠りへところりと沈む。
陽の光は暖かかったが、それ以上に自分を抱きとめる腕の方が心地良いぬくもりを持っていたような気がした。
時間がなさすぎて……!!
よろしくおねがいしますm(_ _)m