お母様に任せなさい
あれ、ノエルは?笑
母が居を構える宮殿は代々の皇后が住まう由緒ある宮殿だ。白を基調として金箔で装飾された部屋はシンプルながらも最高級のものを使っていることがわかる。
見慣れたこの宮殿の他に、父の側妃2人が使用する宮殿もあるが、レミニアリスはあまり近づきたくない。
「アリナディス様、レミニアリス様がいらしております」
扉の外で控える女官が室内へ声をかけると「は〜い」と間
延びした声が帰ってきた。
レミニアリスの母であるアリナディスはもとは同盟国ブライムスの王女である。その頃ブライムスは帝国の傘下に入ったばかりで、母は人質として差し出される形で皇太子であった父に嫁いだらしい。
女官は苦笑しながらも扉をあけて通してくれる。
「いらっしゃい、レア。今日はどうしたの?」
光の溢れる空間で母はカウチで絶賛読書中だった。
……しかも、少女小説を。
大陸の3分の1を治める帝国の正妃の威厳は掻き消え、頬をほんのりと桜色に染めている。
「お母様にご相談があったのですけど…。帰りますね」
「だめよ、レア。もう少しでキリのいいところに……」
「ソレって貴族のご婦人たちの間で流行っているらしいモノですよね…。どこで手に入れたんですか?」
「レアも気になるの?いいわよ、特別に─────」
「ご遠慮します」
むーっと今度は頬を膨らまし、およそ○○歳(年齢は淑女に聞くべきではありませんのよ?と言われた)とは思えぬ仕草で本を置く。そして良い香りを醸し出す茶器に手を伸ばすとテキパキとお茶の準備ができる。
「さて、レア。相談ってなにかしら?」
母はさくりと一緒に置かれた甘い菓子にも手を伸ばし「おいしいわぁ」と笑顔になる。
「ザーシュバルドの王太子殿下との婚約が決まったそうです。お父様から今朝方聞きました」
「ん………?」
「ザーシュバルドの王太子殿下との婚約が決まりました」
ポカーンとした表情から抜けだせず、母は時間が止まったようにフリーズする。
「ア、アアアアアルフが……そう言ったのね?」
「?はい。ついでに、議会で口火を切ってお父様に反抗しろ、とも」
ピキッと、空気が揺れた気がする…のは気のせいか。
「なんってことをーーーーーっ!!!」
急に立ち上がり、叫んだ皇后に何事かと女官達が何事かと視線を交わす。
「お、お母様???どうなさったのですか?」
「レア!あなた、その通りにしちゃったのね?!」
はいそうです、と素直に答えると今度はへにゃりとカウチへ沈む。
「いいこと、レア。私はザーシュバルドの王太子との婚約には賛成です。でもね、議会で反抗はちょっと…」
「貴族達の反感を買うからですね?……ですが、お姉様ともう関わりたくないので私はいいのですけれど」
そう言った娘に対してアリナディスは妙な顔をする。
「我が子ながら考えることが斜め上ね、レア」
不思議そうな顔をしたレミニアリスを見つめてアリナディスは伏し目がちに話す。
「……。まさか自分の娘がもう嫁ぐのねぇ。最近までこーんなに小さかったのに」
「お世話に、なりました?」
「ふふ。そうね。…準備は完璧に仕上げるわ」
にっこりと艶やかに笑ったアリナディスはレミニアリスが知る皇后の姿だった。
お母様、レミニアリス以上のマイペースっぷりwwww
そろそろ王子を出したいな〜と考えております(( ˘ω ˘ *))
レアの口調が安定しないので、お許しくださいm(_ _)m