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新たな火種となり得るもの

「「あらあら、レア様ではありませんか」」


にこにこと笑顔を貼り付けた2人の異母姉が近寄ってきた。第四皇女エリザベートと第五皇女ミュリリアンヌである。この姉妹はレミニアリスの黒髪とは正反対な豪奢な金髪で青の瞳なのが特徴的だ。


「お姉様も相変わらずでなによりですわ」


いつものかわらない応酬にレミニアリスはげんなりしていた。いつになったらこの無意味で稚拙な言い争いから開放されるのだろうか、と。


「そうそう、先ほど議会でひと悶着あったのをききましたよ?……聞けばお父様のご不況を買ったとか」


「……そう、かもしれませんね。…私、ザーシュバルドへ嫁ぐことになりましたので」


あえてにっこりと笑うと異母姉はぎょっとしたようだ。


「は、はぁ?本当に言っておりますの?」


「私は嘘はつきません。お父様にご確認なさればよろしいかと思いますわ、お姉様」


青ざめた2人は淑女らしからぬ足どりで父の執務室のある宮殿へ行ってしまう。


「これはまた風当たりが強くなりそうな予感が致します」


ぼそりと呟かれたノエルの言葉にムスッとしながらレミニアリスは答える。


「お父様のご英断に私は拍手を送るわね。あのお2人が国外の同盟国の王や王子に嫁いだのを想像しただけで外交問題に発展するわ…。恐ろしいこと」


傲慢極まりないあの2人を父帝が国内の貴族に降嫁させようと策を巡らしているのは誰の目にも明らか。しかも、政治に絡んで来れないような家柄である。


「そうではなく…。あの方々を差し置いてをご婚約なされた姫様のことを例のごとく妬むのでは、と考えます」


ノエルの進言にポン!とレミニアリスは手を打つ。


「そっか!……セシリアに注意しておきましょう。ありがとう、ノエル」


「お役に立てたならば本望でございます」


そうこうしているうちに母がいるであろう、宮殿へ着いた。

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