婚約者は 3
エントランスではよく似た2人の金髪の姉妹と、女官が向きあっていた。
「エリザベート様、ミュリリアンヌ様!お止めください、こちらには国賓の方々がいらっしゃるのです!」
「レア様がここにいると聞いたのよ。ちょっとお話があるだけよ」
「そうよ、ここにいることはわかってるの!!早く通しなさい!」
「姫様にお二人はここで待つようにと言われております!」
さきほど報告に来た女官は必死で皇女2人に対峙していた。ルベルトの輝きとはまた違う豪奢な金髪を揺らしてエリザベートが女官に詰め寄る。
「……あなた、たかが女官の分際でこのわたくしに歯向かおうというの?」
「私は第一皇女レミニアリス殿下の女官です。ご命令には従えません!」
「なんて、なんて……無礼な!」
女官が目をつむり、ひゅっとエリザベートの手が空を切ったそのとき、その手をパシリとつかむ者がいた。
「……レヴァイノスの皇女殿下ともあろうお方が不当な理由で臣下に手をあげるのはどうかと思われますが」
その手を掴んだのはルベルトで、後ろにはレミニアリスがいる。
「怖い思いをさせてしまったわ…。ごめんなさい」
レミニアリスは女官の側へより、その手を握った。
「い、いえ!なんてことありません!」
あわてた女官は動揺してノエルに視線を向ける。そのノエルは頷き、そっと女官を後ろへ下げさした。
「レア様!この方はどなたですの?!」
エリザベートはいきなり手を掴まれて驚いたようだった。そんな姉をなだめているのはミュリリアンヌ。
「お姉様、こんなところで立ち話はなんだと思うのです。牡丹宮へご招待しますわ」
「わたくしはこの方がどなただと聞いているのです!」
レミニアリスはため息を付いて激昂したエリザベートの疑問に答えようとルベルトの隣へ立つ。そしてその腕に自分の腕を絡ませた。
「こちらは、ザーシュバルドの王太子殿下。そして私の婚約者殿です」
次回、ルベルト視点になります。
よろしくおねがいします.m(_ _)m