事の発端
初投稿です。
ぼちぼち書き進めていくつもりです( ゜∀゜)o
レミニアリス・レヴァイン。
それが与えられた名前であり、運命。
この大帝国レヴァイノスに生を受けた皇族の姫ならば必ず果たさなくてはならない使命、なのだが。
「なぜ私がザーシュバルドへ行かなくてはならないのです?」
憮然とした声が議会に響き渡る。
声の主は威圧感のある貴族達が居並ぶなかでもピンと背筋を伸ばして立った1人の少女。可憐で清楚な薄青のドレスを身に纏い、艷やかな黒髪を背中に下ろした少女は更に言い募る。
「私などでなくとも、他にお姉様がいらっしゃるではありませんか。なぜ第一皇女の私が嫁ぐことになるのか理由をご説明くださいませ」
天青石の瞳に激情の色を宿した第一皇女、レミニアリスは議会に乗り込み父帝へ直訴をしていた。
愛娘の瞳を真正面から受け止めた父帝は深くため息を付いて娘を見る。
「レア、それについては何度も説明した。私はくどいヤツは嫌いだ。……なぜわからぬ?賢しいそなたならば到底理解できる話ではないか」
「そういうお話ではありません、お父様。どうして私をお選びになったのか今一度、お聞かせいただきたいのです」
「何度も話しただろう?我が皇后の娘はレミニアリス、そなたとセシリアしかおらぬ。ザーシュバルドの要求は正妃の娘を嫁がせること。セシリアは幾つだ?」
「まだ14 です。それについてはは納得しているつもりです。ですが……」
「くどい。下がれ、レミニアリス。ここでそなたの為に割く時間はない。話しなら牡丹宮に帰ったときにせよ」
いくら威圧的な貴族には屈しなくとも、父の威風堂々とした命令には逆らえず、レミニアリスは一礼して足早に去って行く。その表情は屈辱に染まる………かと思うと。
「……ノエル」
「はい、姫様。お疲れ様でした」
扉の外で待機していた1人の女官ににっこりと笑いかけた。ノエル、と呼ばれた女官は主の清々しいまでの笑顔に一礼する。
「やったわよ、ノエル。お父様もいじわるねぇ…。私に悪役をやらせるなんて」
先ほどまでの激情の色を宿した瞳は何処へやら。
レミニアリスはあっけらかんとして呟く。
「これで国内貴族の私に対する評価はだだ下がり…。シナリオ通りだわ、ノエル」
「ですが、よろしいのですか?本当にザーシュバルドへ嫁ぐことになりますが」
姫様が軽んじられるなんて断じて許さない、とノエルは瞳に剣呑な色を表した。
「いいのよ〜。これで煩わしいお姉様達とも半永久的にサヨナラできて………あ」
噂をすればなんとやらですね、とノエルは肩をすくめた。