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突然の来訪者
「時屋 三蔵 だな?」
その言葉に一人の中年の男が、閉じていた瞼を重そうに上げた。
男ーーー三蔵の目の前には、一人の若い眼鏡をかけた青年が立っていた。
青年の雰囲気は厳かで、こんなボロいあばら屋にはおよそ似つかわしくない格好だった。三蔵は内心はあ、とため息をついた。
「ああ。いかにも俺だがーーあんたは?」
男は息を吐き出すと、鋭いような声色で言葉を発した。
「九条 利。 依頼をしにきた。」
「依頼、ねぇ、、、なんだ?浮気調査か?」
「素性調査だ。この女について調べて欲しい。」
そう言って九条は一枚の写真を出した。
三蔵は髭をさすりながら受け取る。
「あんたは、真実をみれると聞く。頼む。俺は真実を知りたい。」
九条が頭を下げた。
その言葉に三蔵は目を見開き、やがてニヤリと笑った。
「高くつくぜ。」
その言葉に九条はほっとした表情を見せた。