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U・N・オーエンの告白  作者: 面沢銀
Chapter.2 院外完成 
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Heat


 Heat



 けたたましい銃声が教会に響く。

 予想はしていたが、おおよそその予想の中で最悪の展開を迎えてしまった豊原に余裕はなく、とにかく伏せて銃撃を回避する。

 来宮に気を使う余裕などあるはずもなく、後頭部を掴み強引に床に叩きつけてしまったたため来宮は「ふごっ!?」という低い呻き声をあげた。

 床に突っ伏した来宮の顔は先ほどの吐瀉物と今の衝撃で吹き出した鼻血のせいで、女性としてはとても見られない顔になっているが、現状ではそのような事は些細な問題である。


 威嚇さえもなく、ノータイムで命を奪おうとしてくる迷彩服の三人。

 戦力差は歴然であり出口は敵に押さえられている、この絶望的な状況を覆す事は普通に考えれば不可能である。

 それでも豊原は生き残る道を考える、せめて一人から銃器を奪う事ができればそれも現実的なものになるが、その方法が思いつかない。

 柳沢と赤蘭にそれを実行させるのは難しいだろう。

 この現状を目の当たりにして、豊原は赤欄の触手の事などすでに思考の外になっていた。


「痛いーーー!! 助けてーーー!! 死にたくないーーー!!」


 痛打した顔面を押さえながら来宮が床に突っ伏したまま悲鳴をあげる。

 第一射が終わった間を縫うようにあげられた悲鳴は、普通の女性が本来とるべき行動である。

 それはあまりにも当然過ぎた。

 だからこそ、常識離れなほどに冷静な判断をした豊原を目にした後だったからこそ、迷彩服の三人は呆気に取られる。

 三人の詳細はともかく、訓練された相手への対応は日々の訓練にて対応を想定している。だからこそ、豊原の対応にも冷静でいたのだ。

 しかし、唐突に普通がやってきたのだ。

 来宮が普通から異常に対して対応にあぐねたように、異常が普通に対して対応するのにも間ができてしまうのだ。

 それでも相手は訓練された兵、その隙さえも一瞬。


 その一瞬があれば、さらなる異常が付け入るのには十分だった。

 柳沢の腕を振り払い、赤欄が飛び出す。

 同時にその腕が三本の触手に変貌を遂げ、のびたそれらは迷彩服の三人めがけて勢いよく伸ばされた。

 野犬を殺した時とは違い手心を加えているのか、致命傷を与えた様子は無い。

 狙いは制圧なのだろう。

 その判断は確かな殺意を持っている相手に対して、正しいとは言い難いのかもしれないが、殺さないまでも強烈な威力を持ったそれは相手の行動力を奪うに足りえた。

 完全直撃を受けたのは一人、その一人はその逞しいからだを壁に叩きつけられ昏倒したする。

 もう一人は腕を弾くだけにとどまるが、視認できるほどわかりやすく折れた片腕は首から下げた銃器の使用が不可能になったのを如実に物語っている。

 もう一人は紙一重で触手が体に直撃するのを回避したが体制を崩す、それでも訓練された動きで立て直すと赤蘭にめがけて銃を掃射する。

 赤蘭は触手を朽ちた天井から除く太い梁に伸ばすと、そのまま体を持ち上げ天井へと身を運ぶ。

 その立体的な回避は想定していなかったのか、さらに兵は再び反応が遅れてしまう。

 今度はその隙を豊原が見逃さなかった。

 ベンチに足をかけ、それを踏み台に大きく、素早く、一直線に跳躍すると、そのまま強烈な飛び膝蹴りを兵の顔面に叩き込んだ。

 完全に不意をつかれたのと、空中から豊原の体重をそのまま浴びせるような膝蹴りは、鍛えられているとはいえ兵の意識を刈り取るには十分な威力だった。


 だが、豊原が来宮の側を離れるのは誤算があった。

 側に豊原がいるという事でかろうじて平静を保っていた来宮がパニックを起こし涙で視界が、鼻血と吐瀉物で呼吸もさだまらないまま、ふらふらと立ち上がってしまったのだ。


「も~~~やだぁ~~~」


 べそをかきながら彷徨うように右往左往する来宮に対しいて残っているもう一人が銃をかまえる。

 首からさげた機関銃ではなく携行していたのであろうハンドガン。

 天井に逃がれた赤蘭ではなく、来宮を狙ったのは一人くらいは始末しようという意地のあらわれなのだろうか。

 発砲音と共に鮮血を散らしながら来宮が吹き飛ぶ。

 その発砲音は柳沢の体当たりと同時であった。

 体重のある柳沢に押しつぶされるように兵が朽ちたベンチ共々潰される。

 それでもあだ動けるであろう兵の顔面を豊原が勢いよく踏みつけ意識を刈り取った。


 絶望的な状況を引っくり返した豊原達であったが、来宮が撃たれたという事実に豊原と柳沢が戦慄する。


「うだれだ~~~いだい~~、死んじゃう~~~」


 しかし、元気いっぱいにべそをかく来宮の声を聞き大事には至ってはいないなと、二人はとりあえずホッと胸をなでおろした。

 そして見間違いなどではなく、どうやら本当に人間としては異常らしい天井からぶら下がる赤蘭に視線を投げた。

 来宮は大泣きしながら必死で助けを求めていたが、二人はそれどころではなかった。

 緊張はいまだとけない。

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