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その4 大切な人を残したままでは新しい場所で生き抜く事は難しいです

俺は猟師らしきオッサンが置き忘れた銃らしきモノを放り投げて再び朝露に濡れた草叢に寝転んだ。


一度立ち上がっただけで、もう二度と立ち上がる気力も失った。


薬がなければいつ死んでもおかしくない身体だし、どこだか解らない土地勘もない場所をうろつく勇気も気力もない。


それに何より・・・たった一人で生き延びてどうするんだ?


誰も知り合いのいない土地で・・・何よりも彼女の居ない場所で。


こんな事になるなら伝えとけばよかったのか?


結婚して暫く経った時に聞かれた事。


『どうして愛してるって言ってくれないの?』


バカ!日本男子はそんな恥ずかしいことを口にしないものだ!


黙って俺についてくればいいんだ!


でも・・・


言っときゃ良かったのか?


素直に気持ちを伝えていれば・・・悔いを残さずに・・・いやいや、ダメだ!ダメだ!


言えない。


決して美人ではない妻が、笑うと結構可愛いとか、その笑顔に見送られると仕事も頑張ろうって気になるとか、作る料理は物凄く美味いとか、実は物凄く幸せだとか、その・・・あ・・・から始まる何とかだとか。


はぁ・・・もう会えないのなら後悔しても始まらないよな。


年を取ると諦めが良くなるな。


俺はやがて訪れるであろう、餓死か、風邪による病死か、薬を飲まないことで起こる発作による死を覚悟して目を閉じた。








「アキちゃん!7時だよ!」


妻の声に俺は『う~ん』と呻り声をあげながら寝返りを打つ。


え?


俺はいつものように暖房の効いた暖かで明るい寝室で目が覚めた。


え?もしかして・・・夢?


夢オチですか?


「お弁当は用意してあるから、ご飯は勝手に食べてね。じゃ、私はこれから寝るから」


最近、昼夜が逆転している妻はそう言って布団に潜った。


夢で良かった・・・のか?















尚、この物語はフィクションであり、実在の人物・事件・団体とは一切関わりがありません。

多少の事実を含みますが。


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