番外 モブ兵士は魔王陛下の奇行を見た!
超短いです
反乱鎮圧の遠征の帰路、川辺で蛇の魔王ディランが足を止めた。
黒衣の魔王はいつも、遠征の行き帰りも変わらぬ無表情で馬を進める男だ。鎮圧もまた義務の一つに過ぎないとでもいうように、淡々としている。だがその日だけは違った。
彼は馬を降り、川辺にしゃがみ込んだ。
副官が怪訝そうに眉をひそめる。
「……陛下?」
ディランは答えない。
ただ川の流れを見つめ、しばらく石や流木の間を探るように手を動かしていた。
やがて、小さな白い石を一つ拾い上げる。
ただの石ころだ。
川で丸く磨かれた、どこにでもある石。
だがディランはそれをしばらく眺め、ほんのわずかに表情を緩めた。
その優しい顔を見たのは、副官も含め、居合わせた数人だけだった。
そして彼は石を腰の小さな袋に入れる。
副官が小声で言った。
「……お守りでしょうか」
「さあな」
誰も深くは聞かなかった。
ただ一つだけ、兵たちは知っている。
遠征の帰り、魔王は時々こうして、一見無価値とも思えるガラクタの類を拾い集めているということを。
その石が――
かつて幼い彼が集め、
決して手渡されることのなかった
“宝物”だとは、
誰も知らない。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
魔王陛下のちょっとした奇行を、モブ兵士の目線で書いてみた番外でした。
本編では語られない小さな一場面ですが、彼が拾い集めているものの意味は、別視点で少しだけ分かります。
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