75 クソどうでもいい仕事<ブルシット・ジョブ>5
対策を打つのなら、基礎所得保障に若干の条件を付け加えることだ。ただし、全員一律に無条件で受け取れる部分は変えない。というか、そこを変えると基礎所得保障ではないものになる。
例えば、現金を配布する形ではなく、期限付きの電子マネーを配布するのはどうだろう? 1ヶ月置きに配布されるが、有効期限が1ヶ月だったら貯め込んだりはしないだろ?
あとは、使用先に条件を付ける。高額商品や金融商品には使えない(転売による預金モドキの禁止)、ローンの支払いには使えない(基礎所得保障を受け取る権利を質に入れてはならない、人身売買モドキの禁止)、広い意味でのギャンブルには使えない(公営ギャンブルに加え、ゲームの課金ガチャなども対象)、酒やタバコの購入に使えない。
これぐらい使用に条件をつければ、前借り後払い・射幸心の煽動・中毒と依存症の対策にはなりそうだ。宣伝と広告については明確に制限はしなくても、このルールならサブスクが普及して間接的に減る流れにならないかな? ちょっと根拠薄いかな?
まぁ、高級品や金融商品、ギャンブルや、酒にタバコが欲しかったら、きちんと働けということで。
なんて思考実験をしたんですが、課題は為替。期限付きにしたことで、富の保存としての機能を落としているため、外貨取引で不利になるはず。米ドルのような貿易用の基軸通貨が別に必要になってしまうあたりが不安要素ですね。地域振興券のように期間限定のローカル通貨でやるか、逆に新しい基軸通貨にするつもりで全世界的にやるか? 中間規模だときついんじゃないかなと思います。
ちなみに、お金に期限を設けるアイディア「自由貨幣」はシルビオ・ゲゼルというドイツの実業家・経済学者が初出かな? 筆者は5年ぐらい前に小説のネタのひとつに考えてたんですが、それは地域振興券や電子ポイントを知っていたから。そういうのなしに1914年、100年も前にアイディアを出した人がいたことに驚いたのを覚えています。まぁ、江戸時代の米本位制も実質有効期限付き通貨だと思えば、むしろ現代人がお金に永続性を求めすぎなのかもしれませんね。