表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記述主義者がペンを捨てるまで。  作者: ほんの未来
第7章:記述主義者と努力嫌いのための努力論。
76/563

55 環境的余裕<スラック>~人間×時間×空間軸

 さてさて、人間(ヒト)×時間×空間軸。

 環境問題について考えていきましょう。


 環境的『余裕(スラック)』。

 適切であれば、内外のバランスを考えた行動ができます。環境というのは、個々人が精神的環境を抱えていて、その外には家庭・生活環境があり、さらに地域環境、国家環境、地球環境と、より大きな構造が(ひろ)がっていきます。もちろん、個人を犠牲にして地球環境を救うべきだとは思いません。ただ、折り合いはきちんと付けなければ、そもそも生きていけない。問題を一方的にばらまかない。内部で解決するか、問題を交換してそれぞれで助け合って解決する。そういった内外のバランス感覚を持つことができる。

 過剰であれば、という仮定はあまり現代的ではない気がしますね、現状。歴史を踏まえるなら、環境破壊や絶滅動物、大量の森林・生物資源があったはずなのに、気付けば手遅れ、というパターンは多い。ピラミッド建設からの砂漠化であるとか、リョコウバトの絶滅であるだとか。そうして考えてみると、昨今の魚の値上がりも、海洋資源を獲り尽くしてしまっていると考えられます。なので。過剰であったとしても、将来的には漁獲規制や養殖のような持続可能な仕組みを考えていかないとすぐに枯れ果てますよ、という歴史的教訓をしっかり心に刻んでおきたいものです。

 不足すると、地球環境が悪化していきますね。まさに今の私たちの置かれた状況でしょうか。これは万引きの構造に似ていて、誰かが万引きを1度行うと、その店は損失の補填のために何十倍もの商品を売る必要が出てきます。私たちは、環境の万引きをしてしまっていませんか? 誰か1人の環境的収奪を(まかな)うために、何十人もの人が節制をしなければならない。あるいはそれでも追いつかない。そして、この環境万引きをしてしまう人の割合が思うより多い。全体でフォローし切れていない。こうなってくると、個別に吊し上げたところで意味はなく、また別の誰かがやらかすだけ。この原因を、たとえば資本主義の野心的な部分、欲望が原因だと考えるのは無理がないでしょうか? 何故なら、環境問題が人類の喫緊の課題であることは明らかで、この環境問題を解決したい、というのも野心や欲望を満たすものであるからです。むしろ、金融デスゲームのように、お互いを追い詰め合った結果として『余裕(スラック)』を失い、環境的『余裕(スラック)』も同様に犠牲になっている。そう捉えた方が環境問題への対策を考えるのに役立つのではないか、そんな風に思っています。

 (こじ)らせると、環境活動(エコテロリズム)でしょうか。有名絵画にスープを投げつけるアレです。あの類の事件を始めて知ったとき、正直やられたと思いましたよ。たったひとつしかないものを傷つけるとはどういうことか、世界に知らしめる。まぁ、有名絵画はきちんと保護されているので傷つけたように見せかけただけではあるのですが。できることなら、ああいう行為は筆者(わたし)が真っ先にやりたかった。もちろん、小説のネタとして、という意味でだ。実際に傷つけないのであるならば、実際にやる意味はない。話し合いのための『余裕(スラック)』を失う分、実社会でやらかす環境活動(エコテロリズム)は環境問題の解決を遠ざけてしまっているように思う。むしろ創作(フィクション)が得意する領分で、現実に先を越されるというのは本当に悔しいものだ。


 人間(ヒト)×時間×空間軸として、環境問題について考えてみました。

余裕(スラック)』という視点から環境問題に光を当てるというのも、なかなか興味深い視点ではないでしょうか?


 これで3軸組み合わせは終わり、次からは4軸組み合わせを考えていきます。


   †

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ