31 中毒と依存症<ドラッグ>5
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ふう。さて、他に一般的すぎて困るのがスマホ依存症でしょうか?
スマートフォンは、人類史上でも最悪レベルに歪なデザインになっている。
それは考え得るありとあらゆる便利機能が集約されたタブレット端末である。
様々な情報に触れるために、視線を小さな画面に集中させる。結果として視野狭窄を引き起こすという点で、あまりにも歪んでいる。
タッチパネルというのも、また良くない。
指先で触れる。反応を返してくれる。
触れ方を変える。すると、違った反応を返してくれる。
この点だけ見ても、スマホはつれない恋人よりも魅力的だ。
君の興味を引きそうなニュースを取り揃え、広告も君専用にチョイスしてくれる。
君は、そそられてしまうだろう? 興味を持ったと判れば、似たようなニュース、似たような広告をガンガン送ってくる。いつの間にか君の興味は、そんなニュースと広告に埋め尽くされてしまい、君が興味を持っているのか、興味を持たされているのか解らなくなる。ゲームをすれば褒めてくれるし、SNSで攻撃的なコメントを書き込んでも止めたりしない。
スマートフォンは、極めて有能な、サイコパスの隣人だ。
便利に依存する人間を、便利に操るなんて本末転倒。そうは思わないかな?
もし君が手元のスマホを、この駄文ごと叩き割ると言うのなら、私は最大級の賛辞を送ろう。あくまで仮定の話で、やるなら自己責任でな。
もしも、本当の意味でスマホを使い倒したいというのであれば、よほど強烈な自我、目的意識が必要になるだろう。まして、スマホが生まれた時から当たり前だった世代からすれば、そんなエゴを持ち合わせる前にスマホを手に入れてしまう可能性が高すぎる。
大量の情報に振り回されるか、不感症になるか、ただただ同調して受け流すか。
いずれにせよ、『余裕』が足りなくなる。便利さに距離が足りないんだ。
スマホの携帯性は本当に恐ろしいよな。こんな便利なものが距離感ゼロってありえないだろ。肌身離さず、寝るときまで一緒とか正気かよ?
四六時中引き回し系サイコパス、それがスマートフォンって奴なのだろう。
およそ行動に依存するタイプの依存症は、ギャンブル依存型かスマホ依存型に大別できるように思う。
初期の快楽的な体験で沼にハマるタイプと、便利さに依存するタイプだ。
前者にはゲーム依存や窃盗症、収集癖、買い物依存、性行為依存。いや、ホント繁殖にさえ依存するとかどうなんだろうな。
後者にはネット依存も代表例か。大体スマホ依存に含まれてしまっている気もします。
ここまでで、自身の依存症を否定するには、酒・タバコ・カフェイン・小麦と乳製品・ギャンブル・スマホから離れる必要性が出てきてしまったが、大丈夫だろうか?
まだいけるかな? どうってことはないかな?