437 「障害がある」を笑い飛ばす157
これと似たパターンとして、幸運の手紙というのもある。次のようなものだ。
これは幸運の手紙です。
受け取った人は、これと同じ手紙を3日以内に7人に送ってください。
そうすると、あなたには素晴らしい幸運がおとずれるでしょう。
これは不幸の手紙の手口を発展させたものだね。
受け取った人は、これと同じ手紙を送らなければならない。
もしも送らなければ大変だ。せっかくの素晴らしい幸運がおとずれなくなってしまうのだからね。
やっぱりこれも、不安をそっと煽っているのさ。
同じ手紙を送るという出口戦略をしっかり示すことで、行動を誘導される。
しかも、不幸の手紙と違って、不幸を押しつけるような罪悪感を感じなくて済む。そうだよ、なんてったって、幸運の手紙なんだからね。それをばらまいてなにが悪いって言うんだ?
このように、不安を煽るタイプの物語も、広まりやすい。
これも基本形のひとつと言えるだろう。
ただし、これは怒りや情熱を宿した物語ほどは優れていないと思う。
というのも、不安を煽るタイプは、不安と出口戦略が分かれているからだ。怒りや情熱は、そのあたりがうまく一体化しているから、違和感を覚えにくい。つまり社会性の「もっともらしい」という点からすると、怒りを利用するほうが優れていると言えるだろう。